IS~ある少年の過去と記憶   作:1056隊風見鶏少尉

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まず謝辞を。
一週間も投稿が出来ず申し訳ございませんでした。
今月から来月の頭まで何かと忙しくなると思いますが最低でも週一投稿はしたいと思っていますのでどうかよろしくお願いします。

そしてこの話にはシャルロットファンの皆様には理解しがたいことが書かれていますので先に言っておきます、すみませんでした。
それでもかまわん! という方はどうぞ。

そして報告を。
お気に入りが120件を超えていました!
皆様、ありがとうございます!


二十二話 『ラビットハンティング・side一夏to』

 

 

 

 

 

 

 

星野凛が学園から離れたその翌日、特別措置としてIS学園にシールドがはられた。

そして、対象者シャルル・デュノアは織斑一夏とともに護衛として担任と副担の織斑千冬、山田真耶が就くことになった。そして何事もなく平穏な日々が数日続いた。

 

「それは本当なんですの!?」

 

「その話、マジなの!?」

 

教室へ向かっていると、廊下にまではっきり聞こえるほどの大声が耳に飛び込んできた。ちなみにシャルロットは先生からまだ正体は隠しておけと言われ男のままである。

 

「なんだ?」

 

「さ、さぁ?」

 

「やかましいなバカどもが……」

 

「あ、あははははっ…………」

 

 織斑先生が少々怒気を含ませた声で呟くのを山田先生が聞き、苦笑いをする。

 

「本当だってば! この噂、学園中で持ち切りなのよ? 月末の学年別トーナメントで優勝したら織斑君かシャルル君か星野君と――」

 

「俺とシャルルがどうかしたのか?」

 

「きゃあああっ!?」

 

一夏とシャルルが教室に入り、一夏が声をかけると悲鳴が返ってきた。

 

「俺たちの名前が出てたみたいだけど」

 

「さ、さあ!?」

 

「き、気のせいだと!」

 

「お、思いますわよ!?」

 

素晴らしいほどの一体感で会話を繋げる三人。

 

「やかましいぞ、席につけ、授業を始める!」

 

だが後ろから現れた織斑先生を見た途端、蜘蛛の娘を散らしたかのように集まっていた女生徒は席についた。

 

――流石です、千冬姉。

 

 

「織斑、デュノア、ちょっと来い」

 

授業が終わった時に織斑先生に呼び止められた。

 

「何ですか、織斑先生」

 

「どうしたんだ、千冬姉――いてっ」

 

「織斑先生だ、いい加減に覚えろ」

 

出席簿アタックである。地味に痛い。

 

 

「まぁいい、お前たちはいつも通り職員室で待機だ」

 

俺達はIS訓練に出れるはずもなく職員室で待機を命じられている。

 

「はい、分かりました」

 

「わかったよ千冬ね……織斑先生」

 

「私もできる限りすぐに戻ってくる。では山田先生、頼みます」

 

織斑先生に言ってから俺達は山田先生のあとを追いていく。千冬姉がついていたら心強い。

 

「……更識さんってどこにいったんだろうね?」

 

唐突にシャルロットが聞いてきた。

 

「う~ん、俺も分からん」

 

あの後、一言二言言葉を交わしたがそれきりでどこかへいなくなってしまった。山田先生や織斑先生に聞いても知らないという。

星野もあれからIS学園からいなくなったと、そのことで大分学園中が騒ぎになったことを思い出す。

 

中に入ると数人しか教師がいなかった。山田先生も授業があるとかですぐに行ってしまった。

とりあえず使われていないイスをふたつ持ってきて座る。

 

「あ、ありがと」

 

シャルロットもそれにしずしずと座った。

 

「………………」

 

「………………」

 

数日もこんな環境、状況でかける言葉もどうしたらいいかも分からずに黙ったままである。

 

いつまでも続くかと思った時間だが、それは意外にも早くおとずれた。

 

「…………あの、一夏」

 

「ん、何だシャル?」

 

「巻き込んじゃってごめんね」

 

申し訳ないといった風に謝ってくるシャルロット。

 

「いや、むしろ謝るのは俺の方だよ。俺なんか、人を頼ってばっかりだ」

 

言葉をいったん区切り、そして続ける。

 

「だから、その言葉をかけるのは俺じゃなくて楯無さんや星野とかだ、俺も二人には謝らないと――だから生き抜こうぜ」

 

「うん……ごめん」

 

先ほどの暗い表情よりは明るくなったデュノア。場が少しだけ、明るくなる。

――その時、デュノア携帯が鳴る。

 

「ごめん、ちょっと出てくるね」

 

そういって一夏から少し離れ、電話をするシャルロット。

声は聞き取れず、何を言っているか分からなかった。

数分で電話を切り上げ、こちらに戻ってきた。

 

「何だったんだ? 電話」

 

少々プライバシーだが、一夏はそんなことには気付くはずもない。

 

「えっと……知り合い、かな?」

 

多少狼狽えながらも答えるデュノア。すると再び口を開いた。

 

「あの、僕ちょっとトイレに……」

 

「ん? 分かった、じゃあ俺も行こうかな」

 

「えっ!?」

 

シャルロットは驚いたような顔をする。

 

「? 俺も丁度いきたかったし、何よりついていった方が安全だろ」

 

「ソ、ソウデスネ……」

 

自分が考えていたことと一夏の言ったことが違い、気まずさと羞恥で顔が真っ赤になるシャルロット。

 

 

「? どうした?」

 

「な、何でもないよ!? さ、早く行こう!」

 

「お、おう」

 

一応移動するので千冬姉とすれ違いになるかもしれないから書き置きでもしておこう。

 

男子用教職員トイレは近くにあるが先にシャルロットの方からすませてもらう。

一応、守る側からしたら優先順位は低いのだ。

 

「うん。じゃあ……」

 

若干顔を紅潮させてトイレに入っていった。

 

……ここで待つのはすごく気まずいな。

 

今更ながら思う一夏であった。

 

 

 

「――おまたせ」

 

数分して出てきた。

シャルロットはまだ男として学園にいるので注意しながら出てきた。

 

「おう、じゃあもど――」

 

「一夏ぁっ!!」

 

――ろうか、と言おうとしたら大声で自分の名前を呼ぶ声に掻き消された。

 

声のした方を向くとそこには同クラスでファースト幼馴染み、篠ノ之箒が仁王立ちでたたずんでいた。

 

「一夏! 何をしているのだ!」

 

「箒!? お前こそ何してるんだ、今授業中だろ?」

 

そういうが箒は怒ったようにツカツカと歩み寄ってきた。

 

「それはこっちのセリフだ、お前たちこそ授業はどうしたのだ――ッ! まさか貴様っ……お、男とうつつを抜かしていたのか!?」

 

顔を真っ赤にしていう箒、盛大に誤解している。

 

「いや違う、これは訳があって……織斑先生にもちゃんといってある」

 

一応弁明する。まぁ本当のことであるが。

 

「そんなこと、私は聞いていないぞ!」

 

「いや、そんなこと言ってもな、色々あって話せないんだ、ごめん」

 

謝るが、何が悪かったのか、さらに怒ってきた。

 

「そんなもの、幼馴染みの私にも言えないことなのか! そんなにその男が大事かっ!!」

 

一応、織斑先生にはまだ周り荷は言うなと言われているし星野から守れと言われなくても守るし、何より大切な友達だから当たり前だ。

 

「あぁ、大事だ。だから言えなくてごめん」

 

「……い……一夏ぁっ、貴様っ!!」

 

激しく激昂すると箒はどこからか木刀を取り出し、こちらに向かって振りかぶろうとした、だが――

 

「――何をしている? 篠ノ之」

 

急に現れた織斑先生によって阻まれた。

後ろから肩に手を置き、冷ややかな声で箒の名前を呼ぶ。

その声と雰囲気に威圧され箒は固まってしまう。

 

 

「貴様は授業中だというのに抜け出し、あまつさえ他者に手をあげようとするとはな」

 

「で、ですがそれは一夏とて一緒のはずです!」

 

「言い訳は聞かん。それに今貴様の持っているものは何だ? 言ってみろ」

 

「こ、これは」

 

「貴様の処罰は後だ。織斑、お前一人で行動するなとは言わんがデュノアに誰か付き人は着けて行動しているのか?」

 

……は?

 

「何言ってるんだ千冬姉、シャルルならここに――」

 

と言って振り向いたが誰もおらず目線は虚空をさ迷った。

 

「――シャルルッ!!」

 

気が付けば走り出していた。

 

「――落ち着け」

 

走り出した体を織斑先生に強引に止められた。

 

「何すんだよ千冬姉!このままじゃシャルルがっ――いてぇ!」

 

「落ち着けといっているのだ馬鹿者が。冷静さを欠いては出来るものも出来ん。私は校内を捜す、お前は外を捜せ、いいな?」

 

おなじみの出席簿アタック。かなり強めで結構痛い。

だがひとまずは落ち着くことができた。

 

「な、なら私も――」

 

「貴様は山田先生と職員を呼びに行った後、待機だ。そら、急げ織斑」

 

「は、はい!」

 

そう言われて俺は駆け出して、シャルルを捜しに行った。

 

 

千冬姉に言われた通り外に出て、広大な敷地内を走って捜し回ること数分、彼女を見つけることができた。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……見つけたっ!」

 

火事場の馬鹿力とでもいうのかその数分間、一夏は休むことなく走り、シャルロット・デュノアを見つけることができた。

だがその反動か、息も絶え絶えになり肩で呼吸をし足も止まってしまっていた。

霞む視界では遠くにいるシャルロットが何をしているかはわからない。

 

だだ急がなくてはならない。

シャルロットのいる場所はシールドが張られていないのだ。まるで誰かに導かれて連れてこられたように。

 

(くそっ、動け! あとちょっとなんだ、ここでシャルルを守れなかったら一生俺を許せねぇ! それに星野と約束したんだ、シャルルを守るって! 動け!)

 

焦る気持ちとは裏腹に体はのろのろとしか動こうとしない。一歩、また一歩と歩むが、遅い、遅すぎる。

 

「くそっ……このっ、『動け』!!」

 

その時、一夏の視界が一瞬ホワイトアウトした。何事かと思ったが次には通常の視界に戻っていた。――いや、戻ってはいなかった。

視界にひろがるはIS特有の様々な状態を示すバイタルサインのようなものが空中投影されていた。

まるで主人(あるじ)である一夏に応えるように。

 

 

――これならいける!

 

バイタルサインは全良好(オールグリーン)、自身の状態も心なしか、先程と比べると良くなっている気がする。

一夏は加速器(スラスター)を噴かし、全力でデュノアの元にいき、抱え飛んだ。

直後、ハイパーセンサーでマズルフラッシュとデュノアのいた場所に飛来した弾丸がめり込むのが確認できた。

 

「わっ! って一夏!? どうしてここにいるの!?」

 

急に浮遊感に襲われ、抱き抱えられている相手が一夏であると確認してシャルロットは叫ぶ。

 

「僕がここにいても一夏や皆に迷惑がかかるだけだよ! だから僕のことはもうほうっておいて!」

 

「そんなことで友達を見殺しに出来るかよ! それに約束したじゃないか、一緒に謝ろうって!」

 

一夏がシャルロットに怒鳴り付けるように言う。

 

「それに星野とも約束したんだ、必ず守り抜くって! だから絶対にお前は死なせねぇ!」

 

「……一夏」

 

デュノアが何かふくみのある声で一夏の名を呟く。

(このまま飛んでどこか安全な場所に!)

 

しかし、突如鳴る警告音、『CAUTION!』と眼前に表示される。

――何かにロックオンされた!?

 

回避行動をとろうにも生身のシャルロットを抱えている状態では満足に動けないだろう。

 

ハイパーセンサーで確認するとこちらに正確に向かってくる三発のミサイルらしき飛来物。

 

空中投影された説明らしきものには『FIM-92 スティンガー』と書かれていた。

 

――FIM-92 スティンガーは、FIM-43 レッドアイ携行地対空ミサイルの後継として造られたもので、開発においては、どのような状況下でも使用できる全面性と、整備性の向上、敵味方識別装置(IFF)の搭載に主眼が置かれた。主目標は、低空を比較的低速で飛行するヘリコプター、対地攻撃機、COIN機などであるが、低空飛行中の戦闘機、輸送機、巡航ミサイルなどにも対応できるよう設計されている。このため、誘導方式には高性能な赤外線・紫外線シーカーが採用され、これによって撃ちっ放し能力(発射後の操作が不要な能力)を得ている。

また、ミサイル本体は円形の使い捨ての樹脂製コンテナに収められており、BCUは掌サイズの円筒形で、発射機本体下部の取り付け穴にねじ込んで取り付ける(BCUはシステム全ての電源である)。このため、発射準備は迅速かつ容易に行うことができる。発射時には目視で目標を確認し、その後本体のスイッチを入れ、目標を捕捉する。引き金を引くと、シーカーが冷却され、ミサイル後部のブースターによりコンテナから打ち出され、本体から9~10m離れたところでロケットモーターが点火、超音速まで加速する。

また、発射後の操作は不要で、再発射はミサイルのコンテナとBCUを発射機本体に交換するだけで完了する。

 

ミサイルを撒こうにもそうすればデュノアに負担がかかってしまうため下手に動けない。

もうすぐ自分に当たるだろうというところまで三発の放たれたスティンガーミサイルは迫っていた。

そこで一夏のとった行動は――デュノアに被害が及ばないように盾になることだった。

デュノアを固く抱き締めこれから襲うであろう衝撃に無意識に身を硬直させる。デュノアを自分の体の影に入れて爆風から少しでも守ろうとする。

 

――直後、背中に一発のスティンガーが当り凄まじい爆発を巻き起こす。続けて二発も誘爆し耳をつんざくような音と衝撃が二人を襲う。

 

「ぐああああああああっ!!」

 

 

「きゃああああああああっ!!」

 

シールドエネルギーが大幅に削り取られ、地に墜ちる一夏とデュノア。

しかし、一夏はシャルロットをしっかりと抱き抱えたまま落下した。

 

意識がなかば飛びかけている一夏にとって方向感覚は今は無に等しかった。

だがこの手に込めている力を緩めてはいけない、そう思っていた。

 

――ズガァンッ!! ガガガガガッ!!

 

地面に激突し、それでも落下の衝撃を殺しきれずに転がるISを纏った一夏とシャルロット。

それでも奇跡的にシャルロットは無事だった。

無傷とまではいかないが地面に激突する際に偶然にも一夏が下になり、転がった時も一夏が抱きしめていたおかげで骨折程度ですんでいた。

 

「うっ…………」

 

「痛っ…………一夏? 大丈夫……?」

 

転がった時についには放れてしまい、一夏と離れたところにいるシャルロット。

 

一夏のISが解除され、生身になる。これでどちらももう自分を守るものが無い。

一夏はまだ意識が保っているようで這い這いの体でシャルロットの元に少しでも近付こうとする。

 

「一夏っ!!」

 

ボロボロの一夏に駆け寄るシャルロット。そして彼の安否を確認すると彼女に向かって呟く。

 

「逃げろ…………シャル……。たのむ……」

 

「イヤだよ、一夏を置いていくなんて僕には出来ないよ!!」

 

目に涙を溜めて倒れている一夏の服をギュッと掴んで言うシャルロット。

 

「早く……逃げろ……来る――」

 

一夏がそう言った後、背後からジャリッ、と歩みを停める音がしたかと思うと背中を襲う衝撃。

 

「キャアッ!?」

 

反射的に悲鳴を上げ、蹴られた衝撃で掴んでいた服を離して倒れるシャルロット。

 

「――手間取らせやがって」

 

目の前にいたのは顔を隠している男だった。

恐らくあの男が雇った殺し屋か何かだろうとデュノアは思った。

 

「シャルル、逃げ――ぐあっ!」

 

「一夏!」

 

逃げろ、と言おうとした一夏をその男は蹴る。一夏はたまらずに呻き声をあげる。

 

「てめぇがいなけりゃもっと速く済んでたんだ! 邪魔しやがって!」

 

憂さ晴らしのように一夏に蹴りを入れたり踏んだりして、その度に苦痛に顔を歪める。

しばらくして満足したのかシャルロットの方を向く。

 

「まぁいい、あんたには何の恨みもねぇが――死んでもらう」

 

懐から取り出した手にはP228を持っていた。

 

P228――P226を小型軽量化したモデルがP228である。このP228は小型軽量化に伴いP226よりも安価になった。それに加え装弾数が13発+1発と多めである。

 

また、特殊部隊や一部警察で採用されているのが確認されている。一般的にP228は、P226のスライドを短くしただけのものと誤解されがちだが、装弾数を減少させることによってフレームがスリム化され、手の小さい人でも使用できるようになっている。また、P226のグリップとも若干異なり、親指が当たる部分がややへこんでいて、P226に比べても握りやすくなっている。

 

それをシャルロットの眉間にもっていき照準を合わせる。

 

ただただ呆然とするデュノア。助けようにも満足に動くことができない一夏。

このままデュノアは撃たれ、死んでしまう、ここにいた誰もがそう思った。

 

――ヒィンッ。

 

空気の切り裂く音と共にそれは起こった。

 

P228の銃身(バレル)と遊底(スライド)が半ばから斬られ、手首が銃を握ったまま自然落下していく。

 

「お――」

 

男が何か言う前にシャルロットとの間に入ってきた黒い影――それは織斑千冬だった。

スピードを殺さずにそのまま生かし、履いているハイヒールの踵(かかと)の部分で相手の水月(すいげつ)に貫かんばかりの蹴りが炸裂した。

声も出すことすら叶わず吹っ飛び、仰向けに倒れ動かなくなってしまった。

泡を吹いて気絶していたのだ、もっとも、そのまま放っておけば間違いなく死ぬであろうが。

 

「デュノア、無事か?」

 

織斑先生は手にしているIS用ブレードを下げシャルロットに安否の確認をする。

 

「一夏、一夏!」

 

織斑先生を無視し、一夏の元に駆け寄るシャルロット。

無視されたことに多少の怒りがわいたがよく見ると腕が折れていると察する。それに織斑千冬も弟がボロボなのだ心配しないはずがない。

千冬は一夏の元に行き、安否の確認をする。

 

「一夏、無事か?」

 

「一夏ぁ! 一夏ぁ!」

 

服を掴んで泣いているデュノアはひとまずほうっておき、一夏のことを確認する。

 

「千冬、ねぇ……助かった、ありがとう」

 

「――織斑先生と呼べ馬鹿者。まったく、無茶しおって」

 

呆れたように、しかしどこか安心したような声で一夏に言う千冬。

 

「――だがよくデュノアを守った。身を呈しては、やりすぎだがな」

 

「はははっ……」

 

――ダァンッ! ダァンッ!

 

場に轟く二発の銃声に、和みかかっていた空気は再びはりつめる。

千冬はブレードを構えこちらに向かってくるであろう物を迎撃せんとする、が何も起こらない。

不思議に思う千冬だったが気は抜けない。

 

 

「――クリア。あれで全員か?」

 

そんな時、どこからかそんな声が聞こえた。

千冬の超人的な聴力は確かにその声を聞いた。

 

「……星野か?」

 

おもむろに呟く。そしてその方向に顔を向ける。

一夏もつられて顔を向ける。

そこには星野がいた。

横には厳つい顔でかなり身長が高い男と、その後ろに何人かの男女が後をつけるように歩いていた。

 

「あいつ……」

 

一夏は呟いていた。

 

「千冬姉、ちょっと手伝ってくれ」

 

一夏は千冬に頼み立ち上がらせてもらう。

だがまだふらふらとした足取りだったため、見かねた千冬は一夏を支えてやる。

 

「ありがと、千冬姉」

 

「織斑先生だ――まぁ、今日くらいは多目に見てやる」

 

「ははっ、ありがと。――シャルルは大丈夫か?」

 

「僕は大丈夫だよ、でも一夏は」

 

「俺は大丈夫だよ、それより腕、痛くないのか?」

 

「え?」

 

シャルロットは一夏が指差した右腕を見てみる。今まで気付かなかったがだらんと力なく下げられた腕はあらぬ方向に曲がっていた。

 

「いた、痛たたたたたっ!」

 

思い出したように激痛が襲い、痛がるシャルロット。

 

「悪い、怪我させちまったな」

 

「い、良いよ謝らなくて……だって僕はまだ生きているんだもん、これも一夏のおかげだよ」

 

そう言って折れていない腕を一夏にまわして抱きつくように体を密着させるシャルロット。

 

「痛てててっ、それでも怪我させたことに変わりはねぇよ、悪い」

 

シャルロットに謝罪するが返ってきたのは無言。しかし抱きしめる力は先程よりも強くなっていた。

痛がる一夏、呆れる千冬、そんな場所に第三者が現れる。

 

「大丈夫ですか~皆さーん!」

 

ISに乗った山田先生が降り立った。

 

「山田先生、遅いです」

 

「ええっ!? す、すいません!」

 

千冬に言われた山田先生は慌てたように謝る。

その慌てぶりに二人はバレないようにクスリと笑った。

 

「お久しぶりです、織斑先生、山田先生、一夏」

 

そこに星野凛が話しかけてきた。

後ろの数人も俺たちの近くにいる。

 

「星野、お前がいるということは目的を達したのか」

 

 

「はい、確保しました。そっちは……手酷くやられたみたいですね」

 

織斑先生の言葉対象の二名を見せ、一夏の惨状と付近に転がっている銃の破片と腕、倒れている男を見ていう星野。

 

「まぁ、そうだ、はははっ……」

 

乾いた笑い声を発する一夏、それに星野はいう。

 

「いや、よく守った一夏。重荷を背負わせてしまって悪いな。織斑先生も協力してくれてありがとうございます」

 

横から「あの~、わ私は……」と控えめに言われたので協力してくれた山田先生にも感謝を述べる、すると「い、いや、そんなことないですよ……」、と照れながら謙遜する山田先生……どっちなんだよ。

 

「さて、デュノアもすまないな、危なかったみたいだし――デュノア?」

 

凛の言葉など聞こえていないのか一夏に抱きついて顔をうずめたままである。 凛はどこか疑惑の残る顔でデュノアを見ていた。

 

 

 

 

 

 

シャルロット・デュノアside

 

 

また私を助けてくれた、庇ってくれた。

――織斑一夏。

 

私の体内(なか)で何かが熱くたぎるのを感じる。

 

これは、一体何だろうか。

 

自分のためにボロボロになるのもいとわない一夏を抱きしめる。強く、強く。

私のことを守ってくれた、必要としてくれた。

こんなに嬉しいことはない。

 

抱きしめるとこの内にたぎる炎がさらに過熱する。

 

――そうだ、これが【恋】だ。

前にお母さんが言っていたことと同じだ。

恋は盲目と、お母さんはよく言ったものだ。まさにその通りだと思った。

 

もう一夏しか見れない。見えない。

 

ならばこれは【恋】なのだろう、ならば――

 

――たとえどんな障害があっても私は一夏の隣にいよう。

 

誰にも一夏は渡さない。

離れないように再度強く抱きしめる。

 

 

――ダレニモ

 

――ワタサナイ。

 

 

 

シャルロット・デュノアsideout




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シャルロット・ヤンデル?
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