IS~ある少年の過去と記憶   作:1056隊風見鶏少尉

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二十五話を期待していた皆様、すいません。
色々あって二十五話はもう少し先になります。

閑話は後一話か二話で終わるかと思います……多分

それでは、どうぞ。


閑話 『手にしたもの』

 

 

 

 

 

――ガシャン。

 

――ガシャン。

 

一歩、また一歩と歩いているのか、独特の振動が伝わってくる。

不快感はせずむしろ心地良いくらいだ。

 

「――――」

 

僕は……そうだ、撃たれてナイフを投げてそれから……それからどうなったんだっけ?

 

僕は目を開けた。

 

「――――――」

 

じょじょに意識は暗い微睡みから戻ってきており、頭もおぼろ気ながらも状況の処理を始める。

 

――最初に目にしたのは影だった。

太陽は天高く昇り、僕の顔に丁度影を落としていた。

 

――最初に耳にしたのは風の音と複数の人が喋っている声だった。

 

だが、いくら影が出来てるといってもギラギラと燃えるように輝いている太陽の光を『銀髪のボブカット』の髪が反射して眩しい。

ザァーッ、と砂を巻き込んだ風が巻き起こる。

 

誰かが声をかけて指示し、風を受けるなかでちょっとした悲鳴をあげる声が聞こえる。

 

僕も砂が目に入らないように目を閉じていたが砂が顔に当たらないのを不思議に思い目を開けて見てみる。

すると、片手で砂が飛んでくるのを防いでいてくれていた。

 

「…………うっ!」

 

いつまでも目を開けていたのが災いしたのか、丁度砂が目に入り呻き声をだす。

それと共に振動が止まり、これをかけられる。その声色はまさか、といった驚きの念が込められていた。

 

「――……凛……?

 

僕を抱えてくれているラウラが僕の名前を言うと周りも反応する。

 

「ラウラ……ただ――」

 

ただいま、ごめんなさい。と言おうとしたが遮られる。

 

抱えられていた体を投げられたからだ。

 

浮遊感は長くは続かず、そして落下する。

 

――ドシャァッ!

 

砂があったため、ある程度は衝撃は吸収してくれたが痛い。

 

「大丈夫~、星野~!」

 

「りーん!」

 

だいぶ飛ばされたみたいだ、皆の声が遠くに感じる。

 

「お姉ちゃん、やりすぎだよ……」

 

「――いいのよこのくらい。このくらい……」

 

ラウラはひどく怒っているようだった。

当たり前か、ラウラやイリア、皆を悲しませるようなことしちゃったんだし。

 

「ラウラ……ごめんなさい」

 

上体を若干埋まっている砂から起こして頭を下げる。ラウラとイリアもISから降りていた。

 

「……わたし言ったわよね? 必ず生きて戻ってきてって。 でも胸騒ぎがして見に行ったら撃たれてて、倒れてて…………駆け寄っても反応が無くて……」

 

「…………ごめんなさい」

 

ラウラが俯き、若干だがすすり泣く音が聞こえた。僕はただ謝るしかなかった。

 

「――でも……生きてて良かったわ」

 

僕が頭を下げて謝罪をしているところにラウラは抱きしめるように包容してきた。

 

「良かったわ、本当に、本当に……」

 

「ごめん、なさい……」

 

僕もつられるように涙が出てきた。

特有の鼻の奥からツーンとしたなんとも言えない感じがする。

 

「ふーっ、良かった……お帰り、凛。お姉ちゃんとこのわたしを困らせるなんていい度胸じゃないか~……」

 

イリアもラウラに続くように抱きついてくる。声は少し震えていて目には涙が溜まっていた。

 

「ごめんなさい、イリア」

 

「いいっていいって、それより、先に言うことがあるでしょ?」

 

そうだった、言いたいことはまだたくさんあるけど、今は言わなきゃならないことがあるんだ。

 

僕が言おうとした時、他の皆がやっと着き、続けざまに抱き着いてきておしくらまんじゅうみたいになる。

 

「ほしの~!」

 

「り~ん!」

 

「……グスッ、りん~!」

 

皆、心配かけてごめんね。

 

「――ラウラ、イリア、皆」

 

――だから僕は言うんだ。この言葉を。

 

「――――ただいま!」

 

――ただいまって皆に言うんだ。

僕は皆の所に帰ってきたんだから。

 

「――おかえりッ!」

 

「――おかえりなさい」

 

「「「――おかえり~ッ!!」」」

 

 

 

――――この時、僕たちは本当の自由を手にした。

 

 

 

 

自由を手にして翌日に近くの廃墟が建ち並ぶ場所に今までの死んでいった家族たちのお墓をつくった。

 

僕たちで152人のお墓を作った。名前こそないものの、きれいにそして安らかに眠れるよう想いを込めてつくり、最後にお祈りした。

 

 

 

 

「――そういえばだけど、どうして僕って助かったの?」

 

お祈りをすまし、歩いている途中でいまさら疑問に思ったので聞いてみた。

 

「それはね、これのおかげよ」

 

ラウラがそういって取り出して渡してきたのは何の薬品も入っていない空の注射器だった。

 

ただ目盛りが書かれているほうとは反対の方に『Nano・Rejuvenate(ナノ・リジュバネイト)』と書かれたシールらしきものが貼ってあった。

 

「これは?」

 

「それは前に入れられた治癒力があがるナノマシンよ」

 

そう言われて皆と一緒に投薬されて気分が悪くなったり吐いたりしたアレだというのを思い出した。

 

「投薬(い)れてからすぐに傷は塞がったけど、意識が戻らなかったり心臓が動いてなかったりして大変だったのよ?」

 

「……ごめんなさい」

 

 

「ふふっ、もういいわよ、ちゃんと、ここにいるんだから」

 

さ、行きましょ? というとISに乗り込むラウラとイリア。

 

そういえば、と思いラウラに聞く。

 

「僕たちってISに乗れないのかな?」

 

あれだけ何かしらやられたなら出来るかも知れないと思って疑問を投げかけてみる。

 

「うーん……そうね、やってみないことにはなんとも言えないわね――マイン」

 

少し考えたあとにISに乗っていたマインを呼んで訳を話す。

 

「いいよ」

 

と快く受けてくれた。

 

マインが降りたISに早速乗ってみる。

――だがやはり何も起きなかった。

 

「やっぱり、動かないか……」

 

僕は残念とばかりに呟く。

 

「ま、しょうがないって、いつか乗れるようになるって」

 

励ますようにイリアが頭をポンポンと撫でてくる。

「そういえば、この機体もだけれどエネルギーって大丈夫なの?」

 

マインが二人に聞く。

聞けば訓練中以外はよくエネルギーを充填させていたらしい。

 

「大丈夫じゃないかしら? 現に乗れてるわけだし、そういったことも今のところあらわれていないんだから」

 

ホントだー、とイリアが感嘆の声を上げる。僕にはよく分からないがどうやらエネルギーが無くても動くらしい。

 

「まるで生き物みたいね、『 』は」

 

「――『 』? IS(アイエス)って名前じゃないの?」

 

聞いたことのない言葉が出てきたので聞いてみる。

 

「この子――この機体の名前よ。ISっていうのは全体を通しての名前みたいなものじゃないかしら?」

 

「お姉ちゃんのって『 』っていうんだー、私は『 』って書いてるね」

 

「へぇー、二人は『 』や『 』ってかいてるんだ。私は……あ、『 』ってかいてる!」

 

イリアとマインは何かを確認するような動作をしたあとに言う。どうやらISにはが違う名前が付いてるみたいだ。

 

「あ、そうだ!」

 

僕はぶら下げていた手に当たった無機質な感触の存在を思い出し、告げる。

 

 

「――みんなで写真、撮ろうよ!」

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「もうちょい寄って寄って! 出てるよ!」

 

「もうぎゅうぎゅうだよ~」

 

「いたい、いたい、足踏んでる!」

 

僕たちは皆で集合写真というのを撮ろうとしていた。

写真に皆が収まっているかやタイマー設定はマインが担当してくれた。

 

「――しっかし、思い切って切ったね凛。お姉ちゃんもバッサリ切ったね」

 

「ふふっ、そうかしら? でもイリアの方が思い切って切ったんじゃない?」

 

「そ、そうかな……?」

 

撮るにあたって皆で髪を切った。

ナイフで切ってもらったり、自分でバッサリいくものもいたり、切らずにそのまましばる者もいたりした。

 

僕は自分で切った。今まで長かった髪がなくなり、短くなった髪が風で揺れる。頬や首筋を撫でる風がどこかむず痒く感じられた。 ちなみにマインは切らなかった、このままで良いらしく伸びた長髪を後ろでまとめて束ねていた。

 

ラウラやイリアも長くなった髪の毛を切っていた。 伸びていた髪をラウラは前と変わらずボブカットのように切り揃える。イリアも前と同じようにショートヘアになるように切っていた。

 

「まぁね、でもわたしといったらやっぱりこの髪型じゃん?」

 

「まぁ、そうね」

 

出会った時と変わらない風貌になった二人。

 

「凛は髪の色、だいぶ変わっちゃったね」

 

隣にいるイリアはふと僕の髪を触ってそんなことを言う。

僕の本来の髪は黒髪だったが、今は白髪が大部分を占めていて黒髪の部分の方が少なくなっていた。

実験のせいなのか日々のストレスのせいだったのかは分からない、気が付いたらそうなっていた。

 

「――凛はキレイな黒髪だったのよね。もちろん今の白と黒の髪の毛もきれいだし、好きだよ」

 

イリアの隣にいるラウラがそう言ってきた。

 

……ちょっと照れる。

 

「――ふふっ、髪の毛、同じだね。これで色も一緒だったら良かったな」

 

イリアが自分の髪の毛を指先で軽くいじりながら言う。

確かにイリアの髪は金髪に少しだけ黒髪が入っている感じで確かに僕と似ている気がする。

 

「ありがとうラウラ、イリア。僕も今の髪は好きだよ。それに――」

 

「二人の髪型や髪の色だって、僕もキレイだと思うし、好きだよ」

 

 

 

「あら、ありがとう、嬉しいわ」

 

「おぉー嬉しいねそういってくれると。でもちょっとて、照れるなぁ……」

 

 

「――――よし! じゃあみんないくよー! 5秒後だよー!」

 

話しているときにマインの調整が整ったようなので叫んで合図を出す、そしてタイマーをセットしてこちらに向かって走ってくる。

 

「うわわっ! 時間ない!」

 

一列目でしゃがんでいた僕の隣にマインが来たので少し詰めてから肩を組む。最初は驚いたような顔を見せたがすぐにこっちに肩を組んできた。

周りも、そしてラウラたちも一緒に肩を組む。

連帯力が高いというのか、シャッターが切られる前には全員が肩を組み、繋がっていた。

 

 

そして訪れた5秒後、シャッターが切られ一瞬だけまばゆい光が僕たちを包む。

 

――撮られた写真に写っている全員が笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――And, the story begins with all of the end. (――そして、物語は全ての終わりから始まる)

 




さて、トーナメント相手どうしようか……

次話投稿は少し遅れるかも知れません。
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