IS~ある少年の過去と記憶   作:1056隊風見鶏少尉

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読者の皆様、大変申し訳ありませんでした!!m(__)m
ちょっと遅れますとか言いながら一ヶ月以上も置いてしまいました。
思った以上に次のことや閑話のことであーでもないこーでもないと悩んでいた結果、こんなにも経ってしまいました、すいません。

何を言っても言い訳みたくなる不思議……。それと二話ほどあとで投稿します。



閑話 『暗雲』

 

 

 

 

 

 

『――なら、今回の議会では他に意見を申すものはいるかね?』

 

どこかで老若男女が入り交じって席に着き、その中でしわがれた声が響く。

 

『………………』

 

全員が黙り、辺りがしん、と静まり返る。

 

沈黙を肯定ととった老人は話を切り上げるべく声を出そうとする。

 

『ならば当議会はこれにて終了――』

 

『――お待ちください』

 

まさに終わろうかと言うとき、一人の女性が待ったをかけた。

 

『……なんだS(エス)』

 

 

エスと呼ばれた女性は待ってましたと言わんばかりに話始める。

 

『その件、私に任せてもらえないでしょうか?』

 

エスはニッコリと笑みを浮かべて老人に告げる。

 

『……正気かね? 先日に目が覚めたばかりだと聞くが?』

 

『万全です』

 

エスがいうのを見て老人は悟られないようにため息を吐く。

 

『それに、報告によりますと数日前に施設の一つから実験体たちが逃げ出したとおっしゃっていましたね? ならば話が早い、この事については私がやりましょう』

 

横にいた女性がギョッとしてエスを見る。

それを知らずにエスはさらに口を動かし、老人に言う。

 

『第三機と一個隊を貸していただきたい』

 

『……何故だ』

 

老人の表情が険しくなる。噛み砕いて言うとエスは兵器と部隊を寄越せ、と言っているのだ。

 

『逃げ出した子供たちはISを持っています。送られてきたデータからそう推測出来るかと』

 

この言葉に老人は苦い顔をする。

今、いくらISが軍事兵器以上の戦闘力を持っているとしても数という点で見れば圧倒的に少ない。

我々もISは数えるほどしか持っていない、それにそれは全て施設にある。

 

『実験体が持っているISの回収も行います』

 

エスは頭を下げる。しばらくの間、沈黙が支配するがそこに老人の声が響く。

『…………よかろう、許可する』

 

『ありがたき』

 

老人の言葉を受けて感謝の言葉を述べたエスは顔を上げる。その顔は嬉しそうに笑みを浮かべていた。

 

『――ではこれで当議会は終了する。資金、資材、ISの調達はこれまで通り、そして――』

 

『――施設から研究データの回収、脱走した実験体の持っているISの回収だ。実験体は生かすも殺すもエスの判断に任せる』

 

『はっ!』

 

エスは力強く頷く。

 

では、と一拍置いて老人は呟く。

 

『『『――亡国機業(ファントムタスク)に栄光あれ』』』

 

その場にいた全員が忽然と姿を消した。

そしてその場所には誰もいなくなった。

 

 

 

 

部隊や兵器を招集するのに思ったより時間ががかかったのを何でもないとばかりに廊下を歩いていたエスと隣にいた女性は互いに話していた。

 

「――勘弁してくれよ、アタシたちにしわ寄せが来るんだぜ?」

 

新しく来る奴らとも合わせなきゃならねぇ、と少し幼さが残る声で女性は愚痴りながらガシガシと頭を掻いていた。

 

「まぁいいじゃない、興味が湧いたのよ実験体たちに。あの『上位成績者たち』には特に、ね」

 

「興味? 珍しいなァ」

 

エスは女性に笑いかける。

隣の女性は興味を持ったように聞く。

 

「えぇ、会うのが楽しみよ」

 

二人が外に出たときには部隊や兵器が揃っていた。

 

「――――さて、行こうぜ『S』quall(スコール)」

 

「――えぇ、行きましょうAutumn(オータム)」

 

 

互いに顔を見て微笑みかけるとオータムとスコールは一緒に歩みだした。

 

 

ISが発表されてから旧時代の兵器となりかけていた戦闘機や戦車、輸送機に全部隊が乗り込み目的のために動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――お前、ちょっといいか?」

 

集合写真を撮った夜、なんとなく一人で外に出て辺りを見ていたら後ろから声をかけられた。

 

振り向くとそこにはフードのようなものを目深に被った人が立っていた。

 

「何?」

 

声からして女の子だと思うその子は僕のことをただじっと見ていた。

 

「写真」

 

「へ?」

 

「写真を寄越せ」

 

しばらくして口を開くと僕にそんなことを言ってきた。

 

「写真って…………これのこと?」

 

僕は懐にいれていた写真写真を取り出してみせる。

 

あの後、欲しいという子達が多く、全員分は無理だったけど同じ写真を何枚か撮って配ったのだ。

その時に僕も貰ったのだ。

 

「違う」

 

ありゃ、じゃあなんだろう……。

 

「じゃあ……これ?」

 

僕は肩にかけていたバッグからカメラを取り出す。

「そうだ」

 

フードの子は僕がカメラを差し出してもいっこうに受け取ろうとしない。

不思議に思って考えていたらあることを思い付いた。

 

「……もしかして撮って欲しい、とか?」

 

「……そうだ」

 

どうやら当たりのようらしい、顔は分からないけど声はちょっと不機嫌だった。

 

そうと分かれば僕はカメラに入っている紙の枚数を見る。幸いにも二、三枚は入っていた。

 

「良いよ」

 

そういって僕はカメラを向ける、撮ったことは無いけど大丈夫だろう。しかしフードを取らなくて良いのかな?

 

「違う、私だけじゃない」

 

そう言ってさらに不機嫌さがにじみ出た声になる。

「え? じゃあ、誰と?」

 

「…………」

 

途端に黙ってしまった。取るのは僕だから違うとしてじゃあ誰だろう?

 

「……あの二人だ。二人」

あの二人? 誰だろ?

 

僕はしばらく考える。二人? 二人でいる人? 二人でとる? 双子?

 

「…………もしかしてラウラとイリア?」

 

「……そ、そうだ」

 

二人でいるといったらラウラとイリアが当てはまる気がしたので言うと頷いた。

 

「分かったけど二人に聞いてみないと。えっと……名前は?」

 

ラウラとイリアの元に行く前に名前を聞く。フードの子だとちょっと呼びづらいし分かりにくい。

 

「…………マドカ、私はマドカだ。それしかない」

 

「うん、じゃあマドカ、行こう」

 

僕はマドカといった子の手を掴んで移動する。マドカから不機嫌さがいっそう増したような気がするけど気にしない。

 

「ラウラ、イリアちょっといいかな?――」

 

二人を探している場所に行って事情を説明する。

 

「えぇ、もちろん良いわよ」

 

「良いよー!」

 

二人とも良いようだ。

 

「それじゃあ撮るよー」

 

先頭にマドカ、左右にラウラとイリアが並んで立つ。

しかし、まだフードを取らないマドカ。

 

「フード、取らないの?」

 

「良いんだ、このままで」

 

ラウラがマドカに言うがどうやら取らないらしい。 そうなら、とラウラもそれ以上は言わなかった。

 

「いくよー」

 

カメラのシャッターを押す。しばらくして写真が下から出てくる。

それをとってマドカに渡す。

 

「はい、写真」

 

「あぁ」

 

「こら、その前にお礼を忘れてるわよ?」

 

ラウラがマドカに注意する。

するとマドカが若干たじろぎ、僕の方を向く。

 

「あ、ありがとう……」

 

照れているのか、ちょっと言葉につまりながら言うマドカ。

 

「う、うん」

 

どう返したらいいのか分からなかったのでこちらも言葉につまってしまう。

 

その後、マドカが帰ったので僕も部屋から出ようとしたら声をかけられた。

 

「ねぇ、写真ってまだ余ってる?」

 

「? まだ二枚……くらいあるよ?」

 

「ね、写真、撮ろうよ」

 

「おぉー! 撮ろう撮ろう!」

 

カメラを確認すると二枚ほど入っていたので言うと写真を撮りたいと二人が言ってきた。

 

「うん、良いよ」

 

さっそくカメラを構えて二人を撮ろうとするとイリアがこちらにやって来た。

「なーにやってんの、凛も撮るんだよっ!」

 

ガシッと捕まれて引きずられていく。

 

「え? でもじゃあ誰が撮るの?」

 

「あそこに置いてタイマーでもしたら良いんじゃない?」

 

とラウラが丁度良い高さになっている棚のような場所を差す。

 

「うん、分かった」

 

タイマーを設定する前に位置などをあわせておく。

 

「じゃあいくよ、5秒前ー」

 

タイマーをセットして二人の元に駆け寄る。

場所は端にいこうとしたら中央にさせられた。

 

――カシャッ。

 

一瞬のフラッシュの後にカメラの下から写真が出てくる。

 

ラウラは写真を撮って僕にそれを差し出してくる。

 

「はい、記念に」

 

「え、いやいいよ。僕はもう持っているから」

 

「いいからいいから、持っておきなさい」

 

そう言って渡してくる。何かおかえしをしないと。

そう思い、カメラに目がいく。

 

「……じゃあ僕からも」

 

と二人に言いながらカメラを向ける。

二人はすぐに察してくれたのか並んでくれた。

 

――カシャッ。

 

写真が出てくるのでそれを手にとって二人に渡す。

 

「はい、僕はこれを」

 

「私たちの写真ね、なんだか照れるわね」

 

「そうだね、ちょっと恥ずかしいや」

 

二人は自分達の写真を見て、何だかクスクスと笑っている。

僕も渡された写真を見る。

自分がそこに映っているのを見て何だか二人と同じようにクスクスと笑いが込み上げてきたのだった。

 

 

 

 

 

 

それから数日、僕たちは放浪中に人の集団と遭遇した。

初めは普通の人かなと思ったけど銃を撃ってきたから敵だと認識した。

敵の弾丸が右肩に当たったけど血は止まった。

 

全員倒して銃や弾を回収する。丁度AKとブローニングHPの弾が少ししか無かったから良かった。

 

敵の武器はAKや同種の弾薬を使っているものもあったがM4のように小口径の銃や弾を使っているものもあった。

だけどせっかくなのでAKを使う人とM4を使う人と分けることにした。

 

次に僕はブローニングと同じ9㎜の弾を探したがなかなか拳銃を持っている人がいなかった。

 

「……あ、いた」

 

重なるようにして横たわっている二人の太ももにホルスターが着いていた。

さっそく二人のホルスターを取って弾を回収しようとする。

 

「――ってあれ、銃が違うや」

 

二つの銃はどちらも同種のガバメントタイプのようでしかも、45ACP弾という9㎜よりも一回り大きい弾を使うのでブローニングに合わない。

しかもこのガバメント、かなりカスタムされているようで原型こそ同じだが色々と換えられていると一目でわかった。

片方は全体的に黒色だが銃身(バレル)が変わっていたりしていた。

もう片方も銃全体がクロームシルバーで、銃身(バレル)や引き金の軽さ(トリガープル)が僅かな力で引けるほどのフェザータッチというのに変わっていたりしていた。

 

「どうしたの?」

 

「わっ!」

 

銃を変えるべきか悩んでいたら後ろから唐突に声をかけられたのでビックリした。

 

「ごめんなさい、驚かせちゃったみたいね」

 

「ううん、別に大丈夫だよ」

 

「そう? なら良いけど、何か考え事?」

 

「いや、そうじゃないけどこの拳銃にあう弾が無くて」

 

そう言って僕は弾切れのブローニングHPをラウラに渡す。

 

「ふむ……それならこれを使いなさい」

 

そう言ってラウラが取り出した銃はCz75という銃とマガジン数個だった。

 

確かにこれの口径は9㎜だけどマガジンもあるのならCz75を使おう。

 

「ありがとラウラ。じゃあこれあげる」

 

僕は手にしていたガバメントをラウラに渡す。

 

「良いけど……二挺も?」

 

「一挺はそうだけどもう一挺はイリアにあげて」

 

持ってなかったら、と付け加えてからマガジンを渡す。

 

「ありがとう、使わせてもらうわ」

 

 

そういって二挺を受け取ってくれた。

イリアは黒色のカスタムガバメントを選び、「カッコイイ! この銃!」と喜んでいた。

 

 

 

 

 

その後、小さな町のような場所にたどり着いた。

といっても人気はなく、建物も壊れていたりしている。

 

そこで僕たちはこの町を調べてみた。

 

食糧や衣類もあったが、どれも傷んだものや破れたものばかりだった。だが少なからずは食べられる物も服も手に入れることが出来たので皆で分けた。

ラウラとイリアは何かを見つけたようで建物に入っていった。

数十分後、出てきたら二人ともご機嫌でこっちに何かを見せてきたイリア。

 

「みてみて、カッコいい銃がさらにかっこよくなったよ!」

 

そういってこちらに見せてきたのは先ほどのガバメント。

一見して何も変わっていないように見えたが一ヶ所だけ変わっていた。

一ヶ所、グリップの部分の色が変わっていた。

両側黒色のグリップにまるで爪痕のように黄色で着色されていた。

イリアは「へへん、かっこいいでしょ?」と言いたげな顔をしている。

 

「着色する場所は一緒ね、意外と楽しいものだわ」

 

といってラウラはイリアの銃と自分の銃を見比べていた。

 

ラウラもグリップの部分だけ変えていた。

クロームシルバーの銃本体に両側黒色のグリップだったのが、グリップの色がアイボリーに着色されていた。

 

「まさかアイボリーなんて色があるとはね、黒じゃ何か変だったから丁度良かったわ」

 

「えぇ~!? 黒色がかっこいいんじゃん!」

 

「私のはシルバーだから黒色は微妙だったのよ」

 

「あれはあれでかっこよかったのに~!」

 

と二人は自分の銃についてあれこれ語っていた。

 

 

和気あいあいとその日は過ぎていった。

 

――このときは悪夢がすぐそばまでやってきていると知らなかった。




この閑話は次話が長かったのでちょっと切った回でした。
次話で閑話は最後です。
そしてその次は二十五話です。
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