IS~ある少年の過去と記憶   作:1056隊風見鶏少尉

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何とか今週に投稿できたらと思っていたのでよかった……

それでは、どうぞ。


二十八話 『教師として』

 

 

 

 

 

「――失礼します、織斑先生はいますか?」

 

先ほど、星野凛が職員室から出ていった後、誰かがまた入ってきた。しかも織斑先生を探しているようだった。

 

だが織斑千冬は声で誰なのかを導き出し、体を預けていた椅子から腰を上げる。

 

「来たか――デュノア」

 

千冬は先日、シャルロット・デュノアを呼び出していた。

訳は個人的に『お話』をしたかったからである。

 

「まぁ、ここでは何だな、追いて来い」

 

そう言って職員室から出る千冬。後にデュノアも追いていく

 

目的の場所に着くまで無言の二人。

 

「――さて、入れ」

 

「……ここは?」

 

「なに、ただの『談話室』だ」

 

談話室と聞くと聞こえはいいが入ってからデュノアは無意識で身構える。

ここの談話室は少々特殊な構造になっており、盗聴、盗撮、防音等と中からも外からも会話が漏れない聞こえない仕様になっている。

 

「そう身構えるな、座れ」

 

真ん中に置かれた椅子とテーブル。それ以外は何もなく、壁紙が一面白色なのがいっそう不気味だった。

だが、織斑先生の指示に従い座るデュノア。それを見てから千冬は口を開いた。

 

「では、話そうか。私はまどろっこしいのが嫌いでね、単刀直入に言おう――貴様、私の弟と生徒に手を出そうとするとはいい度胸だな」

 

苛立ちを抑えもせず目の前に座るデュノアを睨み付ける。

 

「先日、貴様は織斑と星野に菓子類をくれたそうじゃないか、中に何が入っていたか知らんわけではあるまい」

 

「…………………………はい」

 

重苦しい間が続き、やがてそれに耐えきれなくなったようにデュノアが答えた。

 

千冬は盛大にため息を吐き出す。

 

「……何故そんなバカなことをやった? 一応、聞くだけは聞いてやろう」

 

千冬は事と次第によっては謹慎を増やそうと思っている。

 

「…………間が差しました」

 

ピキ、と千冬のこめかみから音がした。

 

「で、でも一夏には純粋に食べて欲しかったんですよ!?」

 

「ほう……あんなものをか」

 

事前にその菓子類を見ていたので、あれを食べてほしいなど正気とは思えなかった。

 

「貴様、正気か? あの菓子類からは貴様の頭髪、体液等が検出されている。さらに、クマリンという多量に摂取すれば身体に障害が表れる量の成分が星野の貰った菓子類から検出(で)てきたがこれについては何だ? また魔が差したか?ふざけているのか貴様は」

 

 

言ってみろと言わんばかりに腕を組み、椅子に体を預ける千冬。

 

「…………星野凛、君にもです……」

 

「…………話にならんな」

 

何かを隠すように言い淀んでいたが、どちらにしろ肯定したデュノアにこめかみを押さえて大きくため息を吐く千冬。

 

「(――さて、どうしたものか)」

 

と内心で考えを巡らせる。

 

まず浮かんだのはデュノアをアリシア・ルイスと会わせて全てを話した方がいいのではないかということ。

 

千冬は一度だけだが楯無と一緒に会っている。

どことなくデュノアに似た雰囲気を感じた。

姉と言っていたのでデュノアのことを言えば姉として叱ってくれるだろうと思う。

ならば早く会わせればいいと言いたいところだが彼女は今身柄を一時拘束といってもほとんど収監といっても良いようなもので、面会日も決まっているので無理なのだ。

それにデュノアには男性操縦者の殺人未遂の容疑で「懲役7年と保護観察・情状酌量の余地あり」 、ということが決まっている。

なので学園を卒業するまではIS学園で身柄を引き取っているようなものなのここから無理矢理動かそうとすると色々と手続きがあり、大変なのである。

 

「……はあ」

 

頭が痛い。千冬はこめかみを強く押して頭痛を紛らわせる。

 

「反省の色は無しか。ならばまた後で罰を与える。反省しろ、そして自分のしたことを考えろ」

 

「罰なら謹慎二週間もしたじゃないですか!?」

 

ずうずうしくもデュノアが抗議する。

 

「黙れ馬鹿者。あんなもの罰に入らん」

 

実際、離すべきの一夏が同室していたのだ。それでは罰もなにもないだろう。それに星野凛がいなければあの件は片付かなかっただろうし、あそこで凛たちが来るのが遅ければ死んでいたのは一夏とデュノア自身だ。デュノアにとって星野凛は恩人ではないだろうか。

怒りで手を出してしまいそうになるのを理性で抑え、こめかみを揉みしだきながら、口を開く。

 

「デュノア、本来ならば貴様は今回の学年別トーナメントには出場(で)れん。しかし――」

 

「委員会(上の連中)は例外なくISを持っている者を出場させろといっている……そこで、だ」

 

千冬は一度言葉を区切ってから続ける。。

 

「貴様には訓錬機で参加してもらう」

 

「そ、そんな! それじゃあ僕の実力が十分に出せないじゃないですか!?」

 

立ち上がり、織斑先生に抗議するように前のめりになるデュノア。

 

「なに、貴様の使うISよりは多少火力不足にはなるが性能面ではあまり変わらん。喚装装備(パッケージ)の使用も決められたものなら使うことを許可しよう」

 

 

まだ何か文句でもあるかと千冬はデュノアに言う。

 

「……分かりました」

 

デュノアは数拍の間の後、重々しく呟いた。

 

「――あぁそれから、貴様にいくつか聞いておきたいことがあったんだ」

 

思い出したように千冬はデュノアに言う。

 

「力、とはなんだと思う?」

 

「力、ですか……?」

 

デュノアは一瞬迷い、それから言葉を発する。

 

「誰かと共にいるための力です」

 

「……そうか」

 

千冬は表情をわずかに曇らせる。

だがそれも瞬間的なもので、次には元の顔に戻っており、再度デュノアに向けて言う。

 

「なら貴様にとっての共にいたい者とは誰だ」

 

千冬の言葉を聞いたとたん、頬を赤らませて恥ずかしがりながら名前を口にする。

 

「……い、一夏、です」

 

――ピキッ。

 

分かっていた。大分前からそんな素振りを見せていた。

だからなおさら腹がたつ。

 

 

「そんなものを力とは言わんよ」

 

千冬は席を立ち、部屋から出るように歩いてデュノアを素通りする。

 

「貴様のそれはだだの虚勢に過ぎん」

 

一度止まって、しかしデュノアの方は見ずに告げる。

 

「力とは。力のありかたとはをもう一度よく考えろ。いつまでもそんな考えでは取り返しのつかないことになるぞ」

 

それだけを言って千冬は出ていった。

 

 

デュノアは言われたことを素直に考えてはみたものの、答えなど出るはずもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

それからさらに数週間が経ち、それぞれの専用機持ち達は優勝すべく研鑽し、その他の者も一抹の望みをかけて励んでいた。

 

 

そして遂に行われる学年別トーナメント。

 

タッグを組んでの試合となるこのトーナメント、注目を集めるメンバーは以下の通りである。

 

『織斑一夏・星野凛ペア』

 

『セシリア・オルコット ・ 凰・鈴音ペア』

 

『更識簪・布仏本音ペア』

 

『ラウラ・ボーデヴィッヒ ・ シャルル・デュノアペア』

 

『相川清香・篠ノ之箒ペア』

 

それぞれの思惑蔓延るトーナメント――どうなるかは誰にも分からない。







次回、『学年別トーナメント』(グリ○イア風)

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