大変長らくお待たせいたしました。いろいろとあって投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
次話はできる限り早くに投稿いたしますので。
それでは、どうぞ。
「ーー海だぁぁぁっ!」
臨海学校に向かうバスの中、海が見えた瞬間に女性陣ーー特に相川清香がはしゃいでいた。
俺たちは一号者のバスに乗っており、他の組は二、三、四組のバスに乗っていた。
しかし、全員がいるわけではない。同じ一組のシャルロット・デュノアは来ていない。今までやってきたことがことなので、今回の臨海学校は自粛させることにすると織斑先生は言っていた。
それから目的地に辿り着き、旅館『如月亭』に案内された。
「ーー今日から数日間お世話になる如月亭の女将、東風谷 奈綱(こちや なずな)さんだ。全員、粗相の無いようにな」
女将といわれたーー三十代ほどだろうがそれほど歳を感じさせず、派手すぎない着物とアップにされた髪の毛、右の目元のホクロが印象的ーー東風谷奈綱と呼ばれる女性が出迎えていた。
全員が「は〜い」と返事をし、女将の奈綱さんは「あらあら、短い間でしょうけれどどうか、よろしゅうお願いいたします」と少し京都訛りの入った言葉で挨拶してきた。
「それではあまり羽目を外しすぎるなよ、解散」
織斑先生のセリフを皮切りに話をしながら割り当てられていた部屋へと入っていった。
俺たちも割り当てられた部屋に向かった。
「おぉっ、すげぇ」
部屋に入ると、いかにも風情あふれる和室、窓から見える砂浜や海の景色に思わず声を上げる凛。
「いちか〜、いるわねぇ〜。海行くわよ海!」
しばらく部屋で景色を堪能しようとしていたところにドンドンと部屋のドアを叩く音と聞き慣れた声に遮られる。
「あぁ、分かったよ凛、行くぞ」
二組で一夏の幼馴染、凰・鈴音だった。
「あ? どこにだ」
星野がそう尋ねると一夏はこちらを向いて答える。
「海だろ、ここまで来て行かないなんて損だぜ」
そういうと一夏は水着へときがえはじめた。まいったな、行くって言われても水着無いしな。まあ、持ってきてないんですけど、ラウラからも渡されてないんだけど。
上の制服を脱いで上着だけになる。二の腕からは傷も奇跡的にないから良かった。
一夏からは入らないのかと言われたが水着を受け取ってなくて無いというと貸してやると言われた。サイズがあわねぇだろ、と思い遠慮させてもらった。
「こっちよ〜一夏!」
すでに女性陣たちは海でキャッキャッウフフと遊んでいた。一塊の集団でちらほらいるがその中の一つが声をかけてきた。いわずもがな、鈴だった。
「おっそいわよ、一夏。さぁ何かいうことは無いの?」
「ああ、遅れてすまん」
一夏は鈴やみんなに謝罪の言葉をいうが鈴は「はあ〜……」 とため息を吐く。
「違うわよ一夏、そこはもう一押ししないと。「似合ってるぜ」くらい言いなさいよ」
という鈴にそんなこといわれてもなといった表情を浮かべる一夏。
「似合ってると思うぞ、鈴もセシリアもみんなも」
それを聞いた二人は満足そうな顔をしたが、やっぱり指摘する前に言って欲しかったという表情をしていた。
「というかアンタは水着じゃないのね、一夏は水着なのに」
鈴が星野にそう聞く。星野は一夏に聞かれた時と同じように答える。
「ーーまあ、水着があっても入る気はないんだけどな」
俺がそういうと何で? といった顔で見てきた。正直にいうと理由は二つある。入りたくないとかそんなんじゃなくちゃんとした理由が。
ひとつは身体の銃創とかが酷いこと。いくら治るといっても完全じゃない、弾丸が貫通した場所は周りの細胞でもつなぎ合わせたかのように陥没し、深く斬られた場所はそこが盛り上がり、あたかもそこを斬られたというのが一目で分かってしまうほどだ。これを女性陣たちに見せつけるというのはよろしくないだろう。実際に気持ち悪いだろうしね。
「それはなーー」
「兄さん、どうだ! 似合っているだろう!」
俺のセリフを遮って一人の女性が声をあげる。それはかつて同じ者たちを家族とし、苦楽を共にしたラウラ・ボーデヴィッヒという妹の声だった。
ラウラは紺色に白のレースがついた可愛らしいが布面積が少なく、きわどい水着を着ていた。可愛い、それに似合ってもいる。だがいかんせん露出度が高すぎないか。
「待てラウラ、その水着は何だ」
おれはラウラのーー着ている水着もだがーー手に持っていた水着に目をやる。握りしめているのはどう見ても男物の水着。しかもかなりアレなやつ。どうみてもブーメランみたいに投げれますよあれ。
「これか、これはだな更識姉先輩から兄さんにいいのではないか、と言われてな。似合うかと思って買ってもらったのだ」
更識妹ーー同じくその場にいた更識簪に視線を向けると、申し訳なさそうな顔をしていた。
楯無会長ェ……なんてもんチョイスしてくれてんだ。
「ラウラ、悪いがそれを履くのはちょっと……てかな、俺は入れないんだ」
それを言うと少し残念そうな顔をするが入れないと聞いて何か合点がいったような顔になる。
「兄さん、もしかしてーー」
「ーーーー泳げない?」
そのセリフに場の空気が一瞬凍る。
「あぁ、そうだ。俺は泳げん」
だが星野はそんなものは知るかといった風に告げる。
その衝撃の回答にどういった答えを返したらいいか戸惑う者、吹き出す者の二択に分かれた。
「ブフッ! アンタ泳げなかったの?」
「てっきりわたくしも泳げるものだとばかり……」
「おそらくわたしもだぞ」
ラウラのまさかのカミングアウトに今度は全員が戸惑う。
「ラ、ラウラさんもでしたの」
「いがいだ〜」
「うむ、海など遠方から眺めていただけだったのでな、泳ぎ方など知らんのだ」
あ〜、分かるぞラウラ。俺は一度だけ任務で海に飛び込まざるをえなかったので、飛び込んだら見事に溺れたんだよな。あと少しで社長に助けられるのが遅かったら溺死してたねあれは。
それの後、泳ぎ方など教えてもらったが、何一つとしてダメだった。何だよ、身体がまず浮かねえよ。沈むわ。
「知ってるかラウラ、海の水ってすっげえしょっぱいんだぜ」
実体験済みだ。がぶ飲みしちゃったからな。
「うむ、それは聞いたことがある、だから今確かめてみよう!」
「あ、まってよ、らうり〜ん!」
ラウラが海の味を確かめるために海辺の比較的浅い場所に飛び込み、本音がラウラを妙なあだ名で呼び、同じく飛び込んでいた。
「気をつけろよー二人とも〜」
俺はラウラとのほほんさんに軽く注意しておく。万が一、溺れられても助けに行けないからな。
「ーー箒も似合ってるぜ」
一夏は鈴たちの集団から数メートルほと離れていた篠ノ之箒に話しかけていた。
「……ふん」
だが箒は一夏に拗ねたように鼻をならしそっぽを向くだけだった。
一夏は苦笑して箒をみていたが、諦めて皆の方へ体を振り向かせようとした時、視界の隅で何かが動いたのを見た。
確かめるためにそちらを見ると箒がーー頬だけを少し朱に染めてーー掌を差し出すような格好をしていた。
一夏は嬉しそうな顔で箒の手を取り、皆の方を向いて今にも海へと走り出さんとしていた。
それに鈴がしかたなくといった程で乗り、三人で海へと駆けて行った。
残った俺と簪、セシリアは燦々と降り注ぐ太陽の光を遮るために持ってきていたシートやパラソルを立てたりしていた。
「ーーあまりハメを外しすぎるなといっておけよ? あの四人には」
後ろから声が聞こえてきたので振り返るとそこには黒の、なんとも色っぽいビキニを着た織斑先生と比較的に地味な色で抑えているものの、自身のたわわに実ったふたつの果実とビキニが激しい自己主張を訴えている山田先生とーー
ーーーーその二人に連れられ、後ろからシャルロット・デュノアが姿を現した。