IS~ある少年の過去と記憶   作:1056隊風見鶏少尉

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約8ヶ月ぶりの
ま た せ た な !

 と言いつつあまり進まないほのぼの回です。すでに頭の中で出来上がっているものを書き起こすのって難しいよね。



六十二話『夏休み』

 

 

 

 ――あれから二週間が経った。星野凛やナターシャ・ファイルスはまだ怪我の療養のため入院しており、時折、ラウラやナターシャの友人のイーリス・コーリングなどがお忍びで来たりしていた。

 そんな中、星野を除いて一学期終了式が迎えられ、IS学園は夏休みに突入しようとしていた――

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 「――――夏、か……」

 

 ここ最近朝起きるとひしひしと気温が前よりも高くなっていることを感じ、感慨深く呟いた。

 

 「――あら、Summer()はキライ?」

 

 起きていたナターシャにそんなことを聞かれ、しばし考えてから答えを口にする。

 

 「……季節自体は普通ですよ。ですが暑さや天気が少し。大切なことを思い出させますが、それ以上に嫌な記憶が強いので」

 

 「複雑ね」

 

 ちなみにわたしは好きよ、海で泳げるものとナターシャは心なしか目をキラキラと輝かせ、夏の到来を楽しみにしていた。

 

 「――ナターシャ・ファイルスさん、星野凛さん。二人ともだいぶ良くなりましたね。まだ退院は認められませんが外出は許可出来ます」

 

 さらに一週間が経ち、俺たち二人は主治医から外出を許可された。それをどこからか聞きつけたラウラとイーリス・コーリングがやって来た。

 

 「――おーす、調子良さそうだなナタル」

 

 「えぇ、絶好調よ」

 

 「兄さん、もう良くなったと聞いたがどうだ?」

 

 「あぁ、良くなったらしい」

 

 調子を確認した二人は俺たちを外に連れ出した。有無を言わさずにあれよあれよと動き、素早さに目を白黒させた。

 

 「もう夏休み、というやつだからな。兄さんと一緒にどこか行きたかったのだ」

 

 「気分転換にはピッタリだろ? 病院なんか退屈だからな」

 

 その二人の回答に苦笑いを浮かべ、ついていくしかなかった。

 

 

 

 

 「――それで? どこにいくの?」

 

 ナターシャの問いにラウラが答える。

 

 「――メイドキッサ、という場所だ」

 

 ラウラの回答に星野が困惑した表情で問いかける。

 

 「…………何故、メイド喫茶なんだ」

 

 「あれだろ、Japanのメイドカフェはご来店したご主人様を癒してくれるんだろ?」

 

 イーリスがさもこれがメイド喫茶だろ? とでも言いたげな顔で告げる。

 近からずも遠からず、といったところだろう。あれで癒される人はいるだろうが、万人がそうではないだろう。

 

 「そうなのか? わたしはてっきりメイド服というものを着て給仕出来るとクラリッサ大尉から聞いたのだが」

 

 …………時間があれば絶対ドイツに行こう。そしてクラリッサとかいうヤツに会って話をしなければ。

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――

 

 ナターシャが着替えるということで外にでて待っているとラウラから話しかけてきた。

 

 「聞いたぞ兄さん。その、あの治癒する薬が身体に入ってないとか」

 

 「あぁ、見事に全部死滅したらしい」

 

 「身体は大丈夫か? どこか異常を感じるところは?」

 

 特にこれといってないので無い、と言うとラウラホッと息を吐く。

 

 「本当に心配したんだぞ。あの時は心臓も止まっていたんだから」

 

 「……ごめんよ」

 

 そう言って頭を撫でる。

 

 「いいさ。生きて私の前に立っているのだから、許す」

 

 そりゃ、良かった。と言って撫で続けた。ラウラは思い出したかのように懐からあるものを取り出した。

 

 「兄さんが寝ている時にクロエから渡されたんだ。これは一本、兄さんが持っていてくれ」

 

 そう言って目の前に出されたのは『Nano・resurrect(ナノ・リザレクト)』と書かれた注射器だった。

 

 「…………心配性な妹だな」

 

 「こうでもしないと私が生きた心地がしないんだ」

 

 自分で言って苦笑を浮かべるラウラ。

 

 「むしろ俺よりラウラの方が心配だよ。ほら、俺って悪運強いし」

 

 「何を言う、私がいるから兄さんは悪運が強いのだ」

 

 「…………分かってるじゃねぇか」

 

 ふふん、と胸を張るラウラに聞こえないように言う凛。そうだ、ラウラ(家族)がいるから俺はまだ死なないのだ。

 

 「――なら、ラウラもそうだな。俺がいるから色々とツいてる。

 ……ちゃんと生きてくれよラウラ」

 

 「――――当たり前だぞ兄さん。私は兄さんと一緒に生きてくと決めたんだからな」

 

 ラウラの答えに俺は笑った。

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――

 

 

 やって来たのはレゾナンス。近くて何でもある言う理由が大きい。

 

 前に来てみてわかったことだが、何でも揃っている。流石は近くにIS学園があるだけはある。

 

 「あ、私お洋服見たい」

 

 ゾロゾロと歩いているとナターシャがポツリと呟く。

 

 「メイドはどーすんだよナタル」

 

 「服見に行ってから行くに決まっているでしょ? メイドキッサなんて初めていくんだもの」

 

 確かにな、とイーリスは頷いて服屋に向かった……おい、話し変わってるよ。

 いつの間にか服屋に入り、あれこれと試着している二人。それに巻き込まれる形でラウラも着せ替え人形のようにされていた。

 

 「ーーか、かわいいっ、次これ着てみない?」

 

 「おお、めちゃくちゃ似合ってやがるぜ」

 

 とても楽しそうである。対する俺はというと?

 

 「………………」

 

 こういう時に難儀なもので、全く会話に入れないものである。やることもないので俺も紳士物の服でも見ていた。恐ろしく少ないが。

 

 「おー、絶望的に丈が足りねえ」

 

 そして哀しきかな、俺の身長にぴったりなのがないという。

 身長百五十七という、男性としては少々小柄なために紳士服売り場のもののほとんどが合わない。

 

 

 「アロハシャツか……トムあたりに買ってこ。社長は……まぁアロハでいいか」

 

 結果的にメンバーたちに日本のお土産として買うことにした。女性陣も……まぁアロハでいいや。持ってねぇだろ、つかアロハどんだけあんだよ。紳士服だぞここ。

 

 「ーーん、待ったかい少年」

 

 ナターシャ達が終わったらしく声をかけてきた。今手に持っているアロハを見てクスリと笑う。

 

 「似合うと思うわよ、アロハシャツ(ソレ)

 

 「からかわないでくださいよ。これは俺が着るんじゃありませんて」

 

 苦笑しながらいうとナターシャはマジだと言わんばかりに顔をしかめていた。え、マジだったの?

 

 「ーーさて、こっちもそろそろ行こうぜメイドキッサ」

 

 買い物袋片手にいうイーリス。その声色はどことなく浮かれているように感じた。

 

 「ーーうむ、こういったことは初めてだか楽しいものだな、誰かと一緒に買い物をするというのは」

 

 ラウラが顔を綻ばせ楽しそうに告げる。星野もそれにつられて笑った。

 

 「ーーだな。ラウラ」

 

 自然と手を繋ぎ、歩き出す。二人もイーリスもナターシャも笑顔だった。




さて次回はあいつらがメイドキッサにいます。
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