IS~ある少年の過去と記憶   作:1056隊風見鶏少尉

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更新が遅れてしまい、すみませんでした。
サブタイにもあるようにあの人が登場します。

それでは、どうぞ


六話 『中国娘と不審な水』

――おかしいなぁ、どうしてこうなったのだろう?

俺、星野凛はただいま、現実から目をそむけていた。

 

バシンッ!!

 

「話を聞け馬鹿者」

 

今はそれどころじゃねぇよ……

 

頭の痛みを無視して考える。

 

何で、何でだよ…………何で――

 

「――何で俺もクラス代表に選ばれてんだよっ!」

 

大型ディスプレイの上にクラス代表が表示されている、名前は織斑一夏。そこまではいい、しかし補佐として俺の名前が入っているのが納得出来ん!何だよ補佐って、要らねぇだろうが!!

 

「オカシイでしょ!?クラス代表は一人じゃなかったんですかね!?」

 

「何だそんなことか。それなら特例として認められたからだ」

 

理由! 理由が簡単すぎる! あれか!? 男性操縦者が二人だからか!? ふざけやがって!!

 

「ちなみにその事を希望したのはクラスだそうだ。諦めろ」

 

クソッ、はめられた! あの時の「使わなきゃ~」はこういうことだったのか!!

 

「ぐおおおぉおおおっ!」

 

机に突っ伏し、キャラ崩壊もいとわずに奇声をあげる凛。

 

「ま、まぁ、元気出せって」

 

一夏……そういえばお前は代表だったな。

 

「あぁ……お前も頑張れよ」

 

一夏も大概、苦労人のようだ。同情しよう。

 

「まったく、では授業を始める」

 

今日の授業は急遽、ISについて見せたいそうでグラウンドに行くことになった。

その間、着替えはしていないのでするためにわざわざ体育館の更衣室にまでいかなければならないという面倒くささ。

 

「しかし、この学園広すぎじゃね?大分走ってやっと着いたんだけど」

 

「まぁ、世界で唯一のIS養成所みたいなものだしな」

などと他愛もない会話をしながらも一夏は着々とISスーツに着替えていく。

 

「ん、星野、速く着替えないと千ふ――織斑先生がうるさいぞ」

 

「あぁ、分かってる。だが俺は一人で着替えたいんだ。そっちの方が落ち着くしな」

 

「?まぁ、先に行ってるぞ」

 

「あぁ、すぐに追いつく」

一夏は急ぎ足で向かっていった。

 

さて、俺も着替えるか。

凛も早めに着替え始める。

 

別に俺が性別を偽ってるとかそんなんじゃない、ただ単純に見られたくない、見ても気分が悪くなるだけだ。

 

制服を脱ぎ、裸になる凛。彼の全身には切り傷や銃創など至るところにあった。

 

「はっ……ちくしょうが」

 

それを見て、自嘲げに吐き捨てる。

 

 

「うわ、星野のは全身タイプ(フルスキン)か、羨ましいぜ」

 

一夏に追い付き、グラウンドにつくと、そんなことを言われた。俺に対して一夏は腹や腕、脚がでているタイプである…………あれじゃなくて良かったーーーっ!

 

「あぁ、これでよかったぜ」

 

「恥ずかしいからな、それは全身が隠せていいな」

 

まぁ、確かに全身は隠せてかなり助かっているがタイツみたいで少し恥ずかしいんですよね。

 

「……そう思えるんだ、俺はそっちの方が羨ましいよ」

 

聞こえないような声で呟く。

 

「ん?何か言ったか?」

 

「いいや、何でもないさ」

 

そうして、授業が始まった。

内容はISでの飛行、そしてそれからの急降下から完全停止らしい。

まぁ、楽勝だろ。俺も最初は手こずったが。

ちなみに俺は出来るがやらない。

 

「星野はやらないのか?」

 

「あぁ、危険だからな」

 

「何で――」

 

「完全な状態の機体の呼び出し(コール)が出来るのはお前達しかいないからだ」

そう、俺は両手両足が待機状態になってないから――ってこれ前にも話したような? まぁいいや。

 

なるほどといった顔をする一夏。そこで早くやれといった指導がとぶ。本当は両手足を忘れたからなんですけどね、もちろん指導(という名の暴力)を受けた。……暴力教師め。

 

機体を展開した一夏とセシリアは上昇し、しばらくして一人が急降下、そして見事な完全停止を行ってみせた。

対する一夏は――グラウンドに突っ込んだ。

轟音とともに砂埃が上がる。はぁ、と織斑先生はため息をついた。

「織斑、グラウンドに穴を開けてどうする」

 

全くもって正論だった。

「星野、出してやれ」

 

見れば、一夏は頭を地面に突っ込んでじたばたともがいていた。

 

ええー……自分が行けよ。思うが、殴られるだけなので、しょうがなく助けてやる。

 

「ぷはっ、た、助かったぜ、星野」

 

「情けないぞ一夏ッ!男ならそれくらいやってのけろ!」

 

礼を言う一夏とただ見ているだけで助けに来ずに文句をいう箒。

 

「だいたいお前は――うぁっ!」

 

「大丈夫ですか、一夏さん!?」

 

後ろからセシリアが飛び出してきて箒にぶつかり、一夏の元へ駆け寄る。

 

「え、あぁ、大丈夫だ」

 

「そうですか、良かったですわ、ですが大事をとって保健室にでも――」

 

「ISがあるのだからその心配は無用だ」

 

むんずとセシリアを掴み、一夏から離させる。

 

「あら、殿方を心配するのは淑女として当然ですわよ?」

 

「お前ら、喧嘩しているなら自分の心配をした方がいいぞ」

 

「「何だ!!」ですわ!!」

 

バシンッ、バシンッ!! と二発の音が響く。

 

「邪魔だ、騒ぐな、やるならば授業後にしろ。分かったかオルコット、篠ノ之」

二人は、はいとうなずいたあと、こちらと一夏を見る。

 

口がパクパクと動いているので読唇してみると――

「「あなたたちのせいだ」ですわ」

 

だそうです。意味が分からん。

 

その後、授業が終わり、教室に戻って休んでいると、数人の女子がある話をもってきた。

 

「ねぇ、しってる?2組に入った転入生の話」

 

「何でも中国の代表候補生らしいよ」

 

「へぇ~そいつはスゴいな」

 

(こんな中途半端な時期に転入生か、何かあるのか?)

 

凛は内心で思考する。

 

「でも今のところ専用機を持っているのは1組と4組だけだからクラス代表戦は大丈夫でしょ?」

 

「――その情報古いよ」

 

と扉を開け放ち、小柄なツインテールの少女が好戦的な笑みを向けていた。

 

「2組にも新しく専用機持ちが入ったのよ、そして私は鳳・鈴音(ファン・リンイン)!2組のクラス代表として1組に宣戦布告しにきたってわけ!」

 

ガタッと、隣の一夏が立ち上がり、ファンとやらを見ている。

 

「鈴?……鈴じゃないか!いつ振りだ!」

 

知り合いだったようだ。てかやっぱりか~、その呼び方だと俺も名前呼ばれてるんじゃないかと思っちゃって反応しちゃうだろうが一夏……。

 

「一夏?……一夏!久しぶりね!」

 

「てか、何だよその登場、全然似合わないぞ」

 

「う、うるさいわね!」

 

その時、後ろから暴力教師の魔の手が。

 

ゴンッ!

 

出席簿らしからぬ音をたてる、そして殴られた鈴は頭をおさえて振り向く。

 

「何すんのよ!――ってち、千冬さん!?」

 

「もう次の授業が始まる時間だ、戻れ邪魔だ」

 

「す、すいません……また来るわ、逃げないでよ一夏っ!」

 

千冬こと織斑先生に道を譲り、捨て台詞のような言葉をのこし、帰っていった。

 

「ど、どういうことだ、一夏! あの女は誰だ!?」

 

「そうですわ、あのお方とどういった仲ですの!?」

 

一夏を問い詰めていたふたりの頭わ出席簿が襲う!

 

「授業が始まるといっただろうが、席に戻っていろ」

 

渋々、という体で席につくセシリア、箒の二人。ちなみに他は先生を目視したとたん、席に着いていた…………すごすぎだろ、色んな意味で。

 

 

「親父さん、元気か?」

 

「当たり前でしょ、一夏もたまには食べに来なさいよ」

 

「ここ最近、行ってないからな、今度暇なときにでも行かせてもらうよ」

 

「う、うん、待ってるから」

 

………………。

 

…………………………。

……あのさぁ、人が今から飯食おうとしてんのに何をこいつらはイチャコラやってんだ。

 

よそでやれよ! ほら、俺の後ろから恨みがましい視線が送られていることに気付きませんかね一夏!

 

「はい、おまちどう」

 

鈴に出されたのはラーメン。

「お前、昔からラーメン好きだよな」

 

「まぁね、それより一夏、あんた少しは病気でもかかりなさいよ」

 

「どういう意味だよ、それ」

 

一夏も渡された盆を持って、鈴についていく。

 

このままではせっかくの食事が台無しになってしまう。俺は頼んだそばを持って一夏と鈴が座っている席を華麗にスルーし――――――

 

「どこいくんだ、星野?」

 

――――できませんでした!

 

ちくしょう……渋々一夏の隣に座る。するとセシリア、箒とも合流。まったく美味しくない食事の時間が始まりそうです。

 

 

 

――――結果。

味がしなかった。

次々に行われる言葉の応酬。一夏は困惑した表情を浮かべ見ているだけ。

さらには「一夏を鍛えてあげる」の一言でどうやったらねじ曲がるのか、俺までその仲に加えられていた。 なぜ俺までやらねばならんと意見をすれば、「黙ってろ」の一言。

さすがにキレそうになったところで昼休みが終わり、解散となった。

 

おい、ふざけんなよ。

 

 

 

 

――――放課後、第三アリーナに5人が集まっていた。

 

鈴、セシリア、箒、一夏に気だるい表情の俺である。

 

「一夏、さぁやるわよ!」

 

「ま、待て、一夏の相手は私だぞ!」

 

「わたくしを忘れてもらってわ困りますわ!」

 

……帰っていいだろうか。何が悲しくて無関係な俺が呼び出されるのだろう。一応『手足』を持ってきた俺を誉めたい。

 

「うぅ、星野、なんとかしてくれ」

 

あ、このバカ、ここで俺に話を振ったら

 

「何よ、ソイツと相手しようっての!」

 

「一夏ぁっ!」

 

「一夏さん!」

 

ほらー、この娘らが怒る。

 

「別に、俺が一夏の相手をするわけじゃないぞ」

 

「なら何よ!?」

 

「三対二で相手をしてやるっていうことだ」

 

流石に一夏ひとりで三人は荷が重いだろうからな。

「星野……」

 

おい、そんな仲間はお前だけだみたいな目で見んな。うざい。

 

「ふん!舐めんじゃないわよ!」

 

「舐めるなよ、次は負けん!!」

 

「…………」

 

頭に血がのぼっているのだろう、鈴はISを展開する。箒は装備の刀を出す。

セシリアは、何故かマズイといったような困った表情をしている。てか、何か勘違いをしていないだろうか?一人ずつ相手をさせてやるって意味だったんだが。

「おい、やる気があるのはいいが目的を忘れていないか?」

 

「はあっ!」

 

「やあっ!」

 

箒が斬りかかり、鈴が左右が青竜刀のような武器を投げてくる。

間違いなく直撃コースなので即座にIS『弐式』を展開し、かわす。

 

「くっ、避けるな!」

 

俺に死ねと言うのかこの女は。

 

「当たりなさい!」

 

お前もかよ。

 

即座に展開したので『手足』はもちろん装着していない。つまり、ここだけISが起動されていないのと同じでかなり…………ヤバイです。

 

「うおっ!」

 

動揺した隙をつかれ、危なく手首を切られそうになった。ヤバイ、超怖い。

回避しながらもひときわ大きいケースを取り、開ける。

 

「はあっ!」

 

鈴が青竜刀を振りおろす。

 

――ガキンッ

 

金属同士のぶつかる音。

見れば、凛の右腕にはISが装着されており、ショートブレードのようなものを握っていた。

 

「よし、来い」

 

腕力だけで押し返す。体制を崩したが、そこへ割り込むように箒の一閃。

 

「甘いぞ、もっと鋭く、速くを心がけろ」

 

それを軽くいなす。

 

何か、なしくずしてきに戦闘になりました。隙が無さすぎて残りの『手足』を着けられません。てか俺一人かよ、一夏はどうしたよ!? お前らって一夏と相手することが目的じゃなかったのかよ!

 

 

上空で行われている戦闘を尻目に、地上では――

 

「……じゃあ、セシリア。よろしく頼む」

 

「えぇ、なぜこうなったか分かりませんが、分かりましたわ」

 

二人ともISを展開し、構えて、そして思う。

 

――せめて、邪魔にならないようにしよう、と。

 

 

 

「はぁ……疲れたわ」

 

本当に、何でこんなことになったんだろうか。

二人はゼーハーゼーハーと息切れをしている。

 

まぁ、ひたすら回避と攻撃をいなしてたから相手が疲れるのは当然か。

 

「おつかれ、星野」

 

「一夏、一発でいい、殴らせろ」

 

「何で!?」

 

何でじゃねぇよ、お前のせいだからだろうがよ……!

 

「はぁ、はぁ……なんで、当たらないのよ……」

 

鈴が悔しそうに呟く。理由は普通に何個かあるが、教えない。自分で分からないとこういうのは向上しないからな。

 

「はぁ、先帰るわ」

 

「あ、じゃあ、俺も」

 

くそ、適度に運動したって感じのその感じが腹立つわ。

 

「では、わたくしも」

 

「鈴と箒はどうする?」

 

「私は…………もう少し休んでいくわ」

 

「私もだ…………先に使って良いぞ、一夏」

 

「あぁ、サンキューな箒」

そう言って部屋に戻る一夏とセシリアと俺。

 

少し後に、先程の言葉でまた口論が始まったのは、また別のお話。

 

 

 

 

整備室に『手足』を置いて、さぁシャワーでも浴びようかなぁとドアノブに手をかけようとして、止める。

 

(――人の気配がする。)

上手く隠せてはいるが、存在感が滲み出ているのだ、仲にいる人物は。

 

さて、どうするか、誰かは知らんが、素人、生徒ならば困るな。かといって手練れや不審者ならば厄介事に巻き込まれかねん。

この間わずか一秒。驚きの速さで導きだした答えに沿って行動を開始する。

 

「一夏、入るぞ」

 

「ん?どうした、星野?」

 

「いや何、お前の携帯電話を貸してくれ」

 

「何に使うのかわからないが、ほら」

 

サンキュ、と礼を言って、目的の人物を探す――おっ、あった。

そして電話をかける。

 

「あ、もしもし織斑先生ですか?こんな時間にすみません、俺の部屋に不審者が――」

 

「待って、ストップ!!織斑先生はナシだから!!」

 

すごい速度で止めにきた女子。

薄い水色のような髪色でショートカット。活発そうな印象に見えるが、俺には【裏の匂い】がした。

 

「もう、つまらないわね。そこは入ってきなさいな」

 

どこから取り出したのか、扇子には『作戦失敗』の文字。

 

「いや、まず誰ですかね?」

 

「あら、まずお姉さんに聞く前に自分から名乗ったら?」

 

分かっているだろうに。

 

「世界で二人目の男性操縦者の星野凛だ。よろしく不審者さん」

 

あらひどい、その言葉に『それだけ?』と付け加える。

その目は、見定めるように俺を見ていた。

 

「……他には特に」

 

そう、と短く告げる。

 

「よろしくね、私は楯無。更識楯無。気軽にお姉さんとでも呼んでね」

 

そうそう、と何かを思い出したように告げる。

 

「あなた『随分と変わったものを持って』いるわね」

 

――あ?

 

「あぁ、安心なさい。いじってないし取ってもいないわよ」

 

「……本当にか」

 

ナイフを投げそうになるがそれを止めて聞く。

 

「本当よ。もし無くなっていたらお姉さん、何でもしてあげるわ」

 

この言葉を聞いて少し安心した。

本当に取った場合なら自分を追い詰めたりはせずに言葉を使ってくるからだ。

ただ、少しエロイと思ったのはしょうがないと思うんだ。

 

「連絡を受けてきてみれば、またお前か更識」

 

「うげ、織斑先生」

 

いつの間にか来ていた織斑先生は、逃げようとした楯無の襟首を掴み部屋から去っていった。

 

「何だったんだ?」

 

「さぁな」

 

短い返事をし、もう一度礼をいってから部屋に帰る。

 

「――……ふぅ」

 

確認してみると、やはり、どちらもすべてのものが無くならずに存在していた。

思わず、ため息を吐き、ベッドへ腰かける。

 

「何だ、あの楯無とかいう女は……」

 

やりたいことが分からない上に正体が謎すぎる。

 

「……めんどくせぇ、依頼しとくか」

 

警戒する対象が増えたな、と凛は毒づく。

 

部屋の電気はつけておらず、机に設置されている頼りない灯りが辺りを照らす。

ベッドに腰かけている彼には僅かにしか照らされておらず、彼の顔は陰で覆われて、表情を見ることは出来なかった。

 




意外と関係ないお話。
凛の使っていたショートブレードは『アヴェンジャー』という名称で、どちらかというとサバイバルナイフに近い外観をしています。

次回は試合…………かもしれません、多分。
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