あれから半年ほど経過して分かったことがいくつかある。
まず1つ目、この子にはある体質がある
そもそも魔術っていうのは誰でも使える訳じゃない、それぞれ固有の魔術がある。
俺みたいな何も無い者もいれば、ある日突然に覚醒したりする者もいる。
この子には「どんな魔術や呪いでも受け入れ、それを吸収する体質」があるらしい。
それが適合者という言葉の意味なのだろうか?
そして2つ目、この子は…すごく、優しいという事。
この子はこの組織に故郷を滅ぼされ、無理やり連れてこられたらしい。親を殺され、友を殺され、そして家を焼かれ…この歳の子が経験することでは無いことは確かだ。
しかしこの子はそんな事をした組織の一員である俺に、「ありがとう」と言ってきたことがある。
「確かに、あなたは組織の一員。だけど何か悪い事をした訳じゃないでしょ?」
「私は確かにこの組織を憎んでる、けどそれは同じ様に苦しんでる誰かにさえも八つ当たりする理由にはならない」
そんな事を言っていた。
…本当に、あの子は俺より年下なのか?
俺や上の連中よりも人間しているじゃないか。
許す事が出来る強さと相手を受け入れる優しさ。
それを持っているこの子を、俺は生贄にしようとしている。
…後、半年か。
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すごくまずいことになった。
いきなり大きな音がしたと思ったら、何か形容し難いものにタコ足が生えたようなものが建物の中に出現した。
本で読んだ魔物というものか?と思ったがどうやらそんなものじゃないらしい。
あれはもっと、不気味なものだ。
俺は近くの同じ奴隷に聞いた
「あれはなんだ!?」
「ありゃ書物からでてきた魔神だよ、ここにはそーいうのがあるらしい」
なんだそりゃ、しかもなんか軽いなこいつ。
「君よりも奴隷歴は長いんでね」
自慢する事でもないと思うが…?
「…あいつは」
メリィは無事だろうか。
俺は直ぐにメリィの部屋へと向かった。
「メリィ?」
「なぁにお兄ちゃん」
良かった、無事な様だ。
「何かあったの?大きい音が聞こえてきたよ」
「…なんかヤバい奴が暴れてるだけだ、気にすんな」
その時、一際大きな音がした。
「一応見てくる」
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「おお、少年」
「アンタか、あの化け物は?」
「さっき再封印されたよ、何やら偉そうな服の人がいっぱい現れてね」
見ると鎖か何かに縛られた本がある。
「一体なんで…」
「誰かが刺激を加えてしまったんだろう、それでじゃないかな」
相変わらず軽い言葉を並べる、なんかもう胡散臭すぎてこいつが何かやったのかと思うほどだ。
「そういや君、どこに行ってたの?」
「別に」
「そういや君、あの適合者とやらの世話係だったよね」
「だからなんだよ」
だからなんだよ
「…入れ込むのは勝手だけどさ、後で痛い目見るぜ?」
………
「…わかってる」
「ならいいんだけど、反乱なんて起こしたら死ぬの確定だからね」
「奴隷仲間が居なくなるのは、少し寂しいよ」
こいつに仲間を思う気持ちなんてあったのか。絶対コイツ反乱考えてるだろでも。
そんな見た目してるもん。それにこいつ糸目だし。
糸目の奴は裏切るって相場が決まってんだよ。
知らんけど。
「せっかくこうして共に今日を乗り越えれたんだ、友達になろうよ。君名前は?」
「…クリス=エーテルラック」
「僕はフレア=ラヴァツキ、よろしく」
こうして俺は奴隷歴3年目にして奴隷先輩兼友達ができた。
胡散臭いけど、まぁ害になる奴ではないだろう。
胡散臭い感じ、出せてるかなぁ。
次はクリスとメリィの関係を深めていきたい。
テンポはまだちょっと遅いかな?