後悔は無い。
男がいる。黒いスーツ、黒い手袋、黒い革靴に黒いネクタイ……極めつけに、その黒い仮面。全てを黒一色に塗りつぶした男が、このキヴォトスの先生の前に立っている。そして、男の視線の先には
「先生。俺は、お前に三つ警告したな。」
“……いきなり、何のつもりかな”
先生の疑問はただ一つ、この男は、黒い処刑人だとか言われて、キヴォトスでは随一の極悪人として恐れられている。そんな男が、何故ここにいるのか?
黒ずくめの男は、先生の前に立っている。先生の方へ振り向くことなく、ただ前を――プレナパテスへと、視線を向けている。
「一つ、責任に吞まれるな。」
男は、前へとゆっくり歩み出した。その手には、いつの間にか、赤熱化した、真っ赤な短剣が握られていた。
「二つ、何かを得ようとするならば、何かを捨てろ。」
“何を……!”
「三つ。」
黒ずくめの処刑人は、歩みを止めた。
「お前の行き着く獲物は俺の獲物だと。」
一閃。
真っ赤な軌跡が空を舞い、その軌跡が裂けるようにして、ずぐずぐと空間に広がり始めた。赤く、黒い空間の傷口は、確かに男を吞み込んで――。
「会いたかったよ、プレナパテス……。」
刹那、男の背には黒い翼が六枚程、生えていた。彼の頭には、黒い光輪も見える。彼の手に握られた赤い剣は、きぃと甲高い音を鳴らしながら、その輝きを増していた。
“これは…!?”
「先生!」
不意に、先生へアロナが声をかけた。その声には、焦燥と動揺が見て取れた。
それが何を意味するのか―――先生には、なんとなく分かった。
「先ほど、プレナパテスは別時間軸の先生だと言いましたが、目の前のこの人は――」
“まさか……。”
「
男は何も答えない。ただ、じっとプレナパテスを見ている。その視線には、確かに怒りと、絶望と、憎悪が込められていた。
「彼女たちが殺されて幾十年…………ずっとお前を探し続けていた。」
「お前
「あぁ、全くその通りだ。それには全く同意するよ。」
男は、ついにその仮面を脱ぎ捨てた。
「なら、お前がツケを払わなきゃなァ!」
そして、処刑人の復讐の幕が開けた。黒く、残酷で、憎悪に満ちた、悲しい復讐の戦いが、始まったのだ。
続かない。