ぜんぜろつめた 作:寒さで体調をよく崩す人
しっぽっぽーの続き想定。
先日、少しだけエレンの尻尾に触ることが出来た。
……出来たのだが、緊張で心臓がバクバクしていてどのぐらい触っていたのかよく分からなかった。
肝心の触感も若干あやふやというか、ざらざらしていてほんのり冷たかったのは覚えているのだが、それ以上は思い出せない。
「はぁ……もうちょっと堪能したかったような、うーん……」
あの出来事から数日経った休日、あまりにも恥ずかしくて連絡を一度も取ってないし、相手からも来てない。
同じ気持ちなのか、呆れたのか、嫌われたのか——
「……嫌われてなんかない……よね? きっと……」
掛け布団を抱きしめ、顔を埋める。
心の中にあるわだかまりが、どんどんとぐちゃぐちゃになっていく。
言いたい言葉はあるんだけど、言える気がしない。
でも、きっと私がこうして一人でいる間もエレンはお友達とも普通に話したりしてるんだろうな。
そう考えたら、なんていうか——
—————————
「なんていうか、モヤる」
連絡したいけど、なんだか怖くて出来ない。
それに相手からも来ない。
最後のメッセージに付いた既読が、なんだか切なくて、暗海に突き落とされたみたいで怖くなる。
深海みたいに冷たい感覚がして、怖くなる。
触らせてから、お互いの関係が変わってしまったような気がしてならない。
一言で言い表したくても、紡ごうとした矢先に言葉が去っていく。
「なんてことない、別にいつも通り。 平常運転だし、リンが——アンタが嫌うことなんて、してないはず。 だから、このまま」
うつ伏せのまま呟いて、目を閉じる。
眠ろうとしても不安が渦潮みたいになって、じわりじわりと血が抜けていくような恐怖に晒される。
私がこんな感情抱いたのって、いつの話だ……っていう。
……もしかして初めて?
「……かもね」
結局、独り言は誰にも届くことはないし、一回ぐらい言ってみてもいいのかな。
でもそうしたら後戻りできる気がしない。
——好きだとか、言えるわけないじゃん。
対面じゃないだけマシとか、華やかな恋とか知らない、一人でも恥ずいもんは恥ずい。
「そういえば、昨日リナがリンとお茶会したんだっけ……」
別に嫉妬してるわけじゃない。
仲間に嫉妬してどうするわけ? サメらしく噛みつく? そんなことするわけないし。
あーあ、よく分かんない、だるい。
どうしたらいいとか分かんない、もういい、寝よう。
寝て起きたらきっと良くなって……
ぐぅ……
「そういえば、お腹空いたな……」
……あれ?
これを口実に、プロキシをご飯に誘えばいいんじゃね?
「ごめん、待った?」
「今来たとこ」
突如、エレンから連絡が来てびっくりした。
待ち合わせ場所は、ルミナスクエアのよく分からないシンボルあたり。
お腹空いたから一緒に食べに行こうって、あの日の事をやっぱり気にしてなかったのかな。
でも、やっぱり気まずいものは気まずい。 お互いぎこちないから、きっと考えてることは同じだったのかもだけど。
休日だったらしく人がいつもより多くて、ちょっとした拍子にはぐれてしまいそうだった。
「……行こ」
「あ、ちょっと待って」
エレンの手を慌てて握った。
……ん?
「っ!?」
握ってから、私が今やったことに気が付いた。
なにやってんの私!? 緊張が喉が震えていくような感じがしていくし、声の出し方もなんだか覚束なくなっていく。
どうしようどうしよう、なんていう言い訳をしたらいいの。
一度唾液を飲み込んで、気持ちを整理——なんて手間をしてたら、体が火照って湯気が出て、最後には多分壊れちゃう。
こんな状況に耐えられる人なんてきっといない。 頭の中のプログレスバーが最大になるのを待ってられず、言葉が飛び出していってしまう。
「ほ、ほら! 人多いから、はぐれちゃうかも……で、でしょ?」
「……え? ……そう、なんだ? ……あー、な、なら、こうやった方がいい……かも」
指と指の間に、彼女の指がそっと入る。
人よりも低い体温だからか、ひんやりしていて気持ちいい。
……あれ? これってもしかして恋人繋ぎじゃ?
意識するともう歯止めが止まらなくなり、顔がどんどん火照っていく。
これが現実だっていうなら、怖いぐらいの幸せを享受してることになる。
「アンタってさぁ……時折、変なところで大胆だったりするよね」
「そ、そうかなぁ……?」
「別に責めたりしてるわけじゃないから」
苦笑いだっていうのに、とても嬉しそうで気分が晴れやかになっていく。
うん……やっぱ気にし過ぎはよくないかも。
「それじゃ、行こっか!」
「行く、けどその前に……」
尻尾でそっと引き寄せられる。
さっきまで私が居た場所に、歩きスマホをしていた人が通りすぎて行った。
「手を繋いだりだとか、そういうのは私だけにしておいて」
それだけ言うと、お目当てのお店へと手を引いてくれた。
作者は感想投げるのが苦手なので、投げずに済むようにアンケートを設置してみます。
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