カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第1話

「ヒカル君……私達別れよっか?」

 

 目の前にいる星野アイは突然そんな事を言いだした。

 星野アイと出会ったのは3か月前に劇団ララライでのワークショップの際に会ったのだが……その時から頭のネジがぶっ飛んでいる少女だった。

 アイ曰く愛を知りたいからセックスしようとは……中々香ばしい頭の持主である。

 それに関してもちゃんと『セックスで感じるのはエクスタシーであって愛では無いと思いますよ』って伝えたけれど、『そんなのやってみなきゃ分からないじゃん!』と鼻息を荒くして返答していた。

 確かに感じ方は人それぞれなので一概に言えない部分はあるし、星野アイは美少女ではあるのだし俺もやりたいなとは思っていたから渡りに船であったが……しかし何が琴線に触れたのか、依然と分からず演技指導だけで無く……俺は実技指導もこなしてしまった。

 そういった事もあり、アイは自身の目的の為なら捨て身特攻も辞さない……大和魂を持った少女と言えば聞こえは良いが、俺から言わせれば唯の考え無しのあっぱっぱーである。

 そんなあっぱっぱーな彼女が別れて欲しいとお願いしているが……

 

 そもそも俺はアイと交際して無いから別れるも何も無いのだが……まぁー肉体関係を持ってしまった以上は筋を通すべきなのだろう。

 

「別れるのは構いませんけど……何かありましたか?」

 

 もしかしたら俺自身気が付いていないだけで……何か悪い所があってそれがどうしても受け入れる事が出来ないって事なのだとしたら、教えて欲しい位だ。

 こういった事は貴重な意見として受け止めないといけない。

 何故ならそれがモテる為の努力なのだから……

 

「えっとね……妊娠した」

 

 俺の予想とはだいぶかけ離れた答えが返って来た。

 俺はアイとの行為でゴムの着用は勿論……アフターピルもちゃんと飲んで貰っているので妊娠の確率は極めて低いはずだ……しかし、物事に絶対は無い以上カミキヒカルは星野アイを絶対妊娠させるマンだったのだろう。

 

「……そうですか、では私と結婚しますか?」

「無理!」

 

 食い気味での返事だったけど……俺何か嫌われるような事したっけ?

 

「君は顔も良いし、適当に若者らしく付き合ってくだけなら別にアリなんだけど、君と一生一緒ってのは私には荷が重いかなぁ」

 

 まー俺女たらしだし……彼女の立場からすれば、彼氏がそんな事をしていたらストレスを感じてしまうのは無理からぬ事だもんな

 

「私知ってるんだ。大輝君って君と愛梨さんの子供だよね?」

 

 どうやら俺の考える問題点とアイの考える問題点は大分違うようだ。

 

「無理無理! 流石にそれはキツいってw 私には背負えないよ!」

 

 アイは困ったように笑いながら最後に結論を述べた。

 

「子供も……うーん私じゃ難しいかな。だからもうおしまい。私は君を愛せない」

 

 アイはそう言うと部屋から出て行こうとしたので……俺は慌ててアイに声を掛けた。

 

「アイさん待ってください! 別れるのは全然良いので最後に一筆書いて貰って良いですか?」

「え!?」

「書く内容は……『私星野アイはカミキヒカルの子を妊娠しましたが自身の都合でカミキヒカルと別れました』ってお願いしますね」

「え!?」

「ハンコは持っていないと思いますので……サインと親指での朱印をお願いします」

「ええ!?」

 

 驚きのあまり目を白黒させながらもアイは言われた事を一筆書いてくれた。

 とりあえずこれさえあればアイが死んでも、俺が八つ当たりで復讐される筋合いは無いだろう

 しかし、アイが実際に死んだら葬式には顔を出した方が良いよな?

 でも、そうすると……当然関係者はいる訳だし、殴られかねないよな?

 まー長年父親不明となって葬式の日にだけ現れたら殴られてもおかしくは無いか……

 何か納得いかないけどこればかりは仕方が無いかもしれないな

 とりあえず……スリッピングアウェーの練習しておこう

 

 

 

 それから2か月程が経過した時だった。

 

 それは偶々劇団ララライの稽古場で俺と愛梨パイセンと上原パイセンと大輝君の4人でピザを食べている時だった。

 

『B小町のセンターであるアイが活動休止……』

 

 稽古場に置いてあるテレビから『B小町のアイ』が活動休止のニュースが流れて来た。

 

「あれ、アイって確かワークショップに来てた子だよな? 何か怪我でもしたんなら見舞いにでも行くか?」

 

 上原パイセンは俺の顔を見ながらそう尋ねるが……

 

「いえ、アイさんとは縁を切ったから辞めておきます」

「そうか……知り合いとは言え元カノだからってなんにでも首突っ込むのもアレだしな」

「そうねぇ~それにしても『B小町』も売れて来てこれからって時期なのに……色々と大変ね。ハイ大輝あ~ん」

 

 愛梨パイセンはそう言いながらも大輝君の口にピザを運び、大輝君もひな鳥みたいに口を大きく開けて……

 

「あ~んモグモグ」

 

 可愛らしく食べていた。

 

「う~ん大輝を見ているともうひとり位欲しくなるな! 愛梨……カミキの子をもう一人作らないか? 出来れば女の子が良いな」

「私も欲しい所ではあるけれど……最近は大きな仕事が入ってるからちょっと時間が取れないのよ。ヒカルはどうなの?」

「俺もここの所モデルに役者に引っ張りだこだし、受験も控えてるので勉強もしないとで寝る時間を作るので精一杯です。しかも、お得意さんが出来たので気合入れないと行けないし……」

「お得意さんは大事だからなぁ~」

「清十郎はどうなのよ?」

「……ああ、最近はトラブルが多くてお得意さんが増える一方だ」

 

 一番まともじゃない愛梨パイセンがまともな理由を話してるのに、俺と上原パイセンがまともじゃない理由で忙しいと答えてる所に日頃の行いの悪さが出ていた。

 

「お前らいつまでくっちゃべってるんだ! 稽古の時間過ぎてるぞ!」

「あ、金田一さんもピザどうですか?」

「ピザだぁ? いや……稽古……だが……一枚位なら……」

 

 何故金田一さんがそんなに葛藤しているのか分からないが、そんなに悩むなら食べれば良いのに……

 

「カミキ……金田一さん健康診断に引っかかったらしいから」

「そうなんですか? じゃあ残りは……」

 

 俺はそう言うと他のメンバーに持って行こうとしたところで金田一が慌てて叫びだした。

 

「食べる! 食べるって!!」

 

 いや、無理して食べる必要は無いんだけど……  

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