夏休みも中盤に入った。
毎度のごとく殺人的な暑さもあり、家でエアコンをかけながら勉強なんてすればそれだけで電気代がどれだけ掛かるか想像するだけで怖いし、かと言ってエアコンをケチっても人間暑ければ喉が渇く訳で、飲料を買い込めば冷蔵庫が圧迫されてしまうし、お金も掛かる。
何が言いたいかと言えば……季節で一番嫌いなのが夏なのだ。
そして、夏は夏で仕事をする時間も増えており……
「はーいアクア君撮影OKでーす」
「ありがとうございます。ではお先に失礼します」
僕の分の撮影が終わったので早々に帰る事にした。
こういう時の脇役はありがたいのだ。
撮影自体はまだ進むものの、残りは主役の人達を中心に撮るので僕の仕事は午前中の撮影だけで済んだ。
まだ夏休みの宿題が終わって居ないので、それも消化しないといけないが……『臆病者』と『アカギ』がヒットしたこともあり、主役の仕事も増えている。
早い所宿題を終わらせないと後半になるにつれてパンクしてしまうし、よりによって僕が中学生だからか、学園もののオファーが多くなって来ているのだ。
それはそれで良いんだけど……
僕が主役で出演したのがそもそもアングラというか、裏社会系の物だからそっち方面のオファーがメインで、『凍牌』とかならまだ麻雀だからなんとでもなるけど……『バトルロワイアル』みたいなアクション性が強いのはちょっと厳しい。
『臆病者』は殴られるシーンがメインだったからまだ何とかなったけど……この先も不良系やアングラものだと立ち回りの練習もしないといけない。
出来ればほのぼの系か学園ラブコメなんかが良いけれど……と嘆いていても仕方が無い。
とりあえず、宿題が入ったカバンを手に持ってファミレスで勉強しよう。
ファミレスならエアコンも聞いてるし、ドリンクバーも付いてるから長時間居る分には出費もそこまでかからないかな?
まー後は小腹が空いたら何か食べれるけど……しかし、あまり食べ過ぎると食費代がちょっと嵩むし中々難しいものだ。
そうこうしていると駅前まで歩いており、とりあえず目に着いたファミレスに入った。
中に入るとすぐさま店員が応対してくれた。
「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
「1名です」
「ではこちらの席にご案内します」
店員さんに着いて行きながら周りを見渡すとそこそこの人がおり、うちの中学校の近くだからか学生も多くいた。
夏休み中に制服で来ているって事は部活か何かで学校に来ているんだろうし、中にはノートを広げて勉強している人も居た。
「それではご注文お決まりでしたらこちらのタブレットでお願いします」
「わかりました」
席に着き早速タブレットを操作すると色々なメニューが出て来た。
「ホットサンドとか美味しそうだし、パスタも良いな……偶にはピザも食べたいし……」
色々考えた結果食費は妥協しない事に決めた。
それから数分後
店員さんが僕のテーブルを何回か行ったり来たりしたが……ようやく注文したものが全部届いた。
ちょっとノートとかを置くスペースが無いので、一旦食べる事に集中しよう。
周りから視線を感じるが気にしたら負けだ!
いざフォークを持ちパスタを食べようとしたが……湯気が出る程熱い為、しばらく食べられそうになかった。
ならばピザなら大丈夫だろうと思い手に取り口に運ぶも……想像以上にチーズが熱く、お冷を一気に飲んでしまった。
困った……どれも頼んだ物は熱くて食べられそうにない。
僕は冷めるまで我慢をする羽目になった。
しかし、宿題をするにはテーブルにスペースが無いので出来ないし……
他に時間を潰せそうなものと言えばスマホぐらいしかなかった。
ツイッターではアイなんかがこまめに呟いて常に更新しており、『B小町』全国ツアーの日程も書かれていた。
あんまり興味は無いけれど……母親ではあるし、一緒の事務所にいる訳だから知らないって事の方が可笑しいからそう言った情報は確認している。
僕にとって一番重要なのは『B小町』の全国ツアーが行われると言う事はその期間中はニノさんの料理を食べられないという事なので、こっちの方が僕的には極めて深刻な問題なのだ。
父さんの料理は勿論美味しいし満足しているが……ニノさんの方が圧倒的にレパトリーが多いのだ。
カナンさんは……ご飯にしらす干しと板海苔と醤油かけて出されても満足するから見て居て面白い。
まー有馬なら切れるだろうけど……
さて、全国ツアー自体は来週だし、宿題もその時までには終わるけど……期間中のご飯をどうしようかな?
五反田監督の所で食べるのも有りだよなぁ~。
監督の母親のご飯美味しいし、何より色々とお世話になってる訳だから……顔出しに行くべきだよね。
あ~あ監督の母親とうちの母親交換してくれないかな?って思うのは贅沢なんだろうか?
監督の母親とアイを比べると天と地ほどの差がある。
本当は人と人を比べるのは良く無いし、その人にはその人の良さがあるはずだけど……僕にはアイの良さよりもアイのダメな部分の方が目に付いてしまう。
あんなに誤魔化してばかりいるのは何か原因でもあるのだろうか?
その原因を知れば僕はアイを理解出来るのだろうか?
アイが教えないと言うのならば、こっちから調べて見るか……
いつまでも子供みたいに癇癪を起してもしょうがない!
そう考えながら無意識に僕はピザに手を伸ばし……
「あっつ!」
やけどしてしまった。