カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第110話

 車に揺られること数十分……僕たちは今コストコ居た。

 

「食料と飲料はここで買いましょうか? あと足りないものはその都度買い足しする方向で」

「おう。じゃあ俺と愛梨で食料選ぶから……後は個人で食べたい物は適当にカミキの籠に入れるように」

「「はーい」」

 

 大輝さんと有馬はそう言うとすぐさま移動してしてしまった。

 

「あの……本当に良いんですか? 私もお金払いますけど?」

 

 黒川さんは父さんにおずおずと聞いていたが……

 

「いえいえ、大丈夫ですから……黒川さんも好きな物取りに行って良いですよ」

 

 父さんはにこやかに答えた。

 その間も大輝さんと有馬は遠慮せずにどんどんお菓子や飲み物を籠に入れて行ってるけど……少しは自重すべきじゃないかな?

 

「カミキさん……こんな事言うのもアレですけど、お金大丈夫なんですか?」

 

 黒川さんや大輝さんが居る手前父さん呼びは辞めた方が良いと思い、あえてカミキさん呼びにした。

 父さんは一瞬(。´・ω・)ん?って顔したけどすぐに元のにこやかな顔に戻した。

 幸い黒川さんには見られて居なかったし、一瞬だったから気が付かれなかったようだ。

 

「ええ、勿論です」

 

 父さんはそう言ったけれど……車代で約1400万とかなりの金額飛んでるし、カナンさんと『B小町』の件も有るから……この様子だと競馬に行ったのは言うまでもないようだ。

 

 そして、しばらくすると大量の籠を持って上原さんと愛梨さんが来たけれど……

 食料もそうだけど酒がやたらと多いし、二泊三日で消費出来る量なのか疑問に思えてしまった。

 

「では愛梨パイセンお願いします」

「わかったわ!」

 

 流れるスピードで父さんは愛梨さんにカートを渡してセルフレジの所に行ったが……稀代の大女優がスーパーで買い物してる姿に一般人も芸能人も大した差は無かった。

 

 しかし……

 

「あら……以外と高いのね」

 

 レジの金額を見たらトータルで五万を超えていたのに……焦る事無くクレジットカードで支払っていた所を見るに金銭感覚は大分バグっていらっしゃるようだ。

 

 その後大量のビニール袋を皆で抱えて車に運び、キャンプ場に向かった。

 

 運転しているのは父さんでは無く、上原さんで父さんは助手席に座っており、2列目の席に有馬とあかねが座り3列目は僕と大輝さんで4列目は愛梨さんが一人で寛いでいた。

 

「そう言えばアクア君が主演のアカギ見たけど凄かったわね。個人的には市川戦のロシアンルーレットがたまらなかったわ!」

「……ありがとうございます」

 

 姫川さんは表情は見えないけれど……うっとりしてるような声を出してそう言ったけれど……ロシアンルーレットのシーンも確かに盛り上がる場面だよ? だけど……あのシーン単独を褒められるのはちょっと違くないかな?

 

「まーアカギは基本心理戦の駆け引きが多いし、口数も少ないからあのシーンは特に重要だし、なんせアカギが驚いた数少ないシーンだからな」

 

 大輝さんはそう言ってフォローしてくれたが……確かにそう言われるとアカギが驚いたシーンは数少ないし、そう言った細かい感情の浮き沈みを評価されたならば役者としては嬉しいものだ。

 

「それにしても……カミキがまさかダメギなんかをやるなんてねぇ~」

 

 有馬はそう言うと父さんが座っている助手席を見ながらつぶやいたけれど……

 

「平山はやってて物凄く楽しかったですけどね。……何と言うか物凄く人間らしくて実に良かったと思います」

「最後のセリフが『死にたくなーい。死にたくなーい』なんて情けないわよ」

「……死ぬのが怖くない人間は誰も居ません。どんなに強がっても最後は泣きわめいてしまうものなんです。それが理不尽な物なら猶更ですよ」

「ふーん」

「そう言えば大輝さんも月9のドラマが決まったんですよね?」

「……よく知ってるなアクア。高校生の探偵物なんだが、最近は推理して犯人逮捕解決って訳じゃ無くて、犯人との格闘シーンもあるから意外と大変なんだ。体力は勿論だけど……アクション性が強いから暇な時はジムにも行くようになったぞ」

 

 そう言うと大輝さんは腕をめくり力こぶを見せてくれた……ムキムキって訳では無いけれど引き締まった筋肉をしていた。

 

「カミキも少しは運動した方が良いんじゃない?」

「あんまり筋肉が付くとモデルの仕事に支障が出ますので……それに体力だけならありますから大丈夫ですよ?」

 

 そのちっちゃい身体の何処に体力があるのか気になるけれど……

 

「カミキは体力と言うよりも持久力と回復力は凄いからな」

「ああ、俺も実際に見た訳じゃ無いけれど……最高で3人までなら相手にできるんだっけ?」

「そうですね。3人までなら何とかなりますけど……それ以上だと分が悪いですね」

 

 なんか違う話をしているのは気のせいかな?

 

「と……ところで何処にむかってるんですか?」

 

 黒川さんが行先を聞いて来た。

 そう言えば……何処に行くのかは僕も聞いて無かったな。

 

「今から向かうのは軽井沢です」

 

 父さんがそう言った時……丁度車は高速道路に入って行った。

 

「到着するまでまだ時間は大分あるし、サンドイッチでも食べる?」

「うーん……私はお菓子食べるから大丈夫です」

「私はかなちゃんのお菓子食べるので大丈夫です」

「何で私の食べるのよ!」

「かなちゃんポッキーゲームしよ♡」

「何その距離の詰め方!? ちょっとあかね怖いわよ」

「大丈夫怖くないよー」

 

 有馬への絡み方がちょっとやばい黒川さんだけど……

 

「あのさ……止めなくて大丈夫なんですか?」

 

 愛梨さんにそう尋ねると……

 

「女の子同士のキスなんてノーカンよ? それに別段減るものじゃないし問題無いわね!」

 

 愛梨さんは心底不思議そうにそう答えた。

 

「大輝さんはどう思いますか?」

 

 大輝さん……基本表情が死んでるから感情が読めないけれど……大輝さんならきっと……

 

「アクア……こういう場合はむやみに割って入ると冤罪になるから遠くから見るのが正解だ」

「確かにそうだけど……有馬と黒川がイチャイチャしてるから近場に居るから逃げられないし、前の席だから否が応でも視界に入るし……大丈夫かな?」

「俺も変われるものなら変わってあげたいけど……運転してる車内を移動すのは危ないから……今は耐えろアクア」

 

 悔しそうな……嬉しそうな……何とも言えない顔をしてる大輝さんだけど、確かに運転してる車内を移動するのは危ないのだ。

 そんな時だった。

 父さんが助手席から顔をぴょこっと出した。

 

「あっ愛梨パイセンサンドイッチ食べたいです」

「分かったわ。アクア君これを前のあかねちゃんに渡してあげて、あかねちゃんは受け取ったら助手席のカミキに渡してあげてね。あと嫌がる子に無理やりは犯罪だからね程々にね?」

「……うっ……わかりました」

 

 程々にねって注意の仕方は一体どうなのだろうか?

 しかし、それで納得したのか黒川さんは大人しくなったようだが……内気な少女という噂は当てにならないものだと思った。

 

「カミキさんサンドイッチです」

「ありがとうございます。後何か飲み物ありますか?」

「パックのコーヒー牛乳ならあるわよ?」

「じゃあそれとストローもください」

「分かったわ」

 

 愛梨パイセンはビニール袋をガサゴソしながらストローとコーヒー牛乳を取り出した。

 

「アクア君とあかねちゃんコレもお願いね」

「わかりました。黒川さん」

「うん……はいカミキさん」

「黒川さんにアクアありがとうございます」

 

 黒川さん経由で父さんにサンドイッチとコーヒー牛乳が渡り父さんは助手席に座り直してしまった。

 

 しかし……

 

「カミキ悪い喉が渇いたから俺にもちょっとくれ……」

「コーヒー牛乳ですか?」

「ああ」

「はいどーぞ」

 

 助手席と運転席という事もあり後ろからは見えないけれど……

 先ほど渡したのは一つだけでストローも1本しかなかった筈……

 

「上原パイセンサンドイッチも食べますか?」

「おう」

 

 父さんと上原さんの仲が良すぎるの気のせいだろうか?

 

「かなちゃんこっちも負けてられないね♡」

「私とあかねはそんな関係じゃないでしょーが!」

「そ……そんな……今まで散々同じドラマで共演したのに!?」

「……そんなに目を潤ませても私にそっちの気は無いわよ?」

 

 2列目も2列目で中々のやり取りだった。

 大輝さんを横目でチラッと見て見ると……

 

「ん? どうしたアクア?」

「いえ……有馬と黒川さんって劇団でもあんな感じなんですか?」

「いや……どっちも舞台とかでは結構バチバチやっているけど、まぁープライベートでは仲が良いのかもしれないな?」

 

 知らないけどって最後に付け足して、大輝さんはリラックスし始めた。

 

 何と言うか有馬はご愁傷様と思わずには居られなかったから、今後は少し位優しくしてあげようと思った。

 

「う~ん……でも百合って生産性は無いからおすすめは出来ないのよね~」

 

 愛梨さんの声は聞かなかった事にした。

 

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