カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

117 / 206
第117話

 父さんが作ってくれた朝食も食べ終わった。

 特に2日目の予定はまだ決まっては居なかったけど……どうするのかな?

 

「さて、朝飯も食べ終わったし、この後の予定は観光巡りをしようと思うけど……どうだ?」

 

 上原さんそう言うと観光マップを取り出したが……かなりの量の付箋が多く張られている事からもしかしたらかなり楽しんでいるのかもしれないな。

 偶々目に入った観光マップには軽井沢高原教会の特集も組まれており、姫川さんは物凄く真剣に教会のページを見ているけれど……やっぱり女性はこう言った場所での結婚式に憧れるのだろうか?

 脳内には純白のタキシードを着た困った顔している父さんと物凄く嬉しそうにしているゴローさん2人の両手を引っ張るアイの姿が浮かんだ。

 子供の僕としてはちょっと複雑ではあるものの……多分アイもゴローさんが居ない生活は無理だろうし、3人一緒ってパターンも有り得そうだなって考えて居るときだった。

 

「軽井沢……教会……新婚夫婦殺人事件……火サスの要素が詰まってるわね! 私の火サス魂に火が着くわ!」

 

 姫川さんが突然不穏な事を言うものだから……ゴローさんに二人とも刺されて死んでしまうシーンが不意に思い浮かんでしまった。

 いや、ゴローさんはそんな事する人では決して無いけれど……うん……配役的には有り得そうだし、次点でアイもちょっとあり得る。

 そして、一番遠い所にいるのが父さんなのは火を見るよりも明らかではあるし、寧ろ刺される側の役がすっぽり嵌ってしまう。

 

「……あの愛梨パイセン? 熱意があるのは良い事だと思いますけど、せっかくの観光旅行なので自重してくださいね」

「そ……そうね。ちょっと私としたことが憧れのシチュエーションで舞い上がっていたわ」

 

 一体どこに憧れる要素があるのか僕には分からないが……これが姫川愛梨なのかもしれないな。

 

「父さん……姫川さんっていつもあんな感じなの?」

「ええ、通常運転ですね」

 

 父さんに聞いたらそう返って来た。

 そっか……アレが通常運転なのか……

 軽井沢の教会特集を見ただけでこうなるんだから、福井県にある東尋坊に姫川さんが行ったら一体どうなるのだろうか?

 何となくではあるけど五体投地でもしそうな気がるのは僕の気のせいだろうか?

 

「良し、じゃあまずは軽井沢高原教会に行くのは決まりだな! あかねもかなちゃんも行きたい所があれば遠慮せず言ってくれ。勿論大輝もだぞ!」

「わかったわ!」

「私はみんなに合わせるね」

「俺も任せる」

 

 有馬は観光マップを手に取るとパラパラと捲り始めて、黒川さんと大輝さんは遠慮しているのか……お任せって感じだ。

 

「アクアは何処か行きたい所はありますか?」

「僕? うーん……」

 

 先ほどの姫川さんの様子を見てしまうと雲場池や白糸の滝を見てみたいなんて言えば……一体どうなってしまうのだろうか?

 物凄く気になってしまった。

 

「……雲場池と白糸の滝を見てみたいかなぁ~」

 

 正確に言えば、そこに行った姫川さんの反応がだけど……

 

「どちらも自然豊かで良いですね」

 

 父さんはにこやかにそう答えたけれど……なんか罪悪感を感じてしまった。

 

「私ここに行ってみたい」

 

 先ほどまで観光マップと睨めっこしていた有馬だけどようやく決まったようで、ページを広げて見せて来た。

 

「おっチャーチストリート軽井沢か……良し決まりだな。じゃあ先に行くのは何処からにする?」

 

「じゃあ愛梨パイセンが先に言った軽井沢高原教会があるハルニレテラスから周って次にチャーチストリート軽井沢で最後に雲場池と白糸の滝に行きましょう」

「おう! 3人共それで良いか?」

「問題無いわ!」

「私も大丈夫」

「僕もそれで」

「良しじゃあ10分後に出発だ!」

 

 上原さんの指示で全員出発の準備をし始めた。

 

 

 

 

 時間になり車に乗り込むと運転席には父さんが座っており、上原さんが助手席になっていた。

 

「カミキ? 上原さんに運転して貰った方が良いんじゃない? また警察に年齢確認されるわよ」

「いえいえ、昨日年齢確認されたので今日は流石にされませんし警察はそこまで無能じゃないですよ」

「ふーん……そうだと良いわね」

「ちょっとかなちゃん!」

 

 有馬の言葉に笑顔で父さんは答えたけど……何故かフラグの様に聞こえた。

 後、黒川さんがちょっと慌てたのが気になる。

 

 

 

 

 そして、案の定……

 

「あーぞこの車運転しでるおぞい子止まりしゃい!」

 

 警察官に止められてしまったが……年配のようで方言がキツく何を言ってるのかさっぱりわからないけど…… どうやら父さんが再度年齢確認で捕まったのは確かなようだ。

 

「まーおちょきんだなぁ~言ってぇ親は何してるだぁ?」

 

 お巡りさんはそう言うと窓を開けるようにジェスチャーをしたようで父さんはお巡りさんの指示に従い窓を開けた。

 

「全く年端もいかねぇ~子が車の運転しちゃおぞいだ(全くこんな子供が車の運転しちゃだめだ)」

 

 なおも喋り続ける警察官に父さんは無言で運転免許を財布から取り出して突きつけた。

 

「な……なんや成人しとるんか?」

 

 年齢と写真を確認すると年配の警察官はうろたえ始めたが……

 

「……こんななりで成人してたら悪いんですか?」

「あっ……いや……悪くねーだ……」

 

 怒鳴り散らす事はしないけれど……その言葉からは怒っている事が相手に伝わり、警察官はアタフタし始めた。

 

「……もう行って良いですよね?」

「ああ、ご協力感謝……して……ます」

 

 父さんには悪いけど……警察官とのやり取りはちょっと面白かった。

 

「……やっぱり偶にはバチバチしないとな!」

 

 上原さんはニヤニヤしながらそう言うけれど相手は国家権力なんですが……

 

 その後は警察に年齢確認をされる事は無く、無事に到着する事が出来た。

 

 しかし、父さんには悪いけど……ぱっと見で成人しているとはやっぱり思えないのも事実だし……やっぱり身長が低い見た目ショタっ娘はこう言った時不便で、誤解を招くのだろう。

 この時ばかりは自分の身長が高くて良かったと思った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。