カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第12話

 ニノと関係を持って早くも一ヶ月が経過した。

 

 仕事も学校も無い偶の休みの日ぐらいダラダラしたいと思うのが人情と言うもの……しかし、一人暮らし故に掃除も時間がある時にしないといけない訳で、結局のんびりしてる事はあまり無かった。

 そんな時だった。

 ピンポーンとインタホーンが鳴ったので、玄関に向かうとドアをどんどんと叩く音が聞こえた……なんだコレ? NHKの集金か? 家にはテレビが無いから契約しないぞって言ったら『携帯持ってますよね? それでワンセグ見れるんで駄目です』って言われたから、糸電話でどうやってテレビが見れるんだ? って返したら黙って去って行ったけど……次の日テレビを持ってやって来た時は驚いたが……受け取った後に質屋に持って行って金に換えた事がある。

 そこでギャーギャー言われたけど私が私の物をどうしようが私の勝手ですよね? って言ったら泣いて帰って行った。

 以来NHKは我が家に来ていないけど……今回は骨のある奴が来るのだろうか? おらワクワクして来たぞ!

 

「ヒカルさん開けてください! ヒカルさーん!」

 

 ……ニノだった。

 B小町のアイドル事情は知らないけれど……自分達が暇だからって他の人が暇だとは思わないで欲しいものだ。

 

「……今開けます」

 

 ガチャっとドアを開けた瞬間に女の子特有の良い匂いが飛び込んで来た。

 

「ヒカルさん! 私寂しかったよ~」

「あのニノさん? 私は偶の休みなんでゆっくりしたいんですけど……」

「大丈夫! 今日は私が泊りがけでヒカルさんの事を全力で労ってあげるから!」

 

 そう言うとニノは旅行鞄を持って俺を押しのけて家に入って来た。

 いや、家事とかしてくれるんなら助かるけど……大丈夫かな?

 俺の思いとは裏腹にニノは可愛らしいエプロンを身に着けると意外とテキパキと家事をこなし始めた。

 

「ヒカルさん私が家事出来るって意外でしたか?」

「そうですね……怪我が治るまでとは言え私が面倒みていたので、正直見直しました」

「み、見直し……ま、まぁ~これからだよね」

 

 若干ショックを受けていたニノだけど……怪我をしていたとは言えやっているところを見た事無かったからそればかりは仕方ない

 

「……ところでヒカルさんは朝ごはん食べましたか? まだなら私と一緒に食べませんか?」

 

 今の時刻は6:50……こんな朝一から甲斐甲斐しく世話を焼きに来るなんて……どこぞのラブコメものにしか思えないけれど、作ってくれるのなら喜んで食べるさ

 

「……ではお願いします。何か手伝う事はありませんか?」

「じゃあヒカルさんはテーブルで待っててくださいね♡」

 

 どうやら俺はお呼びで無いようなので大人しくテーブルで待つ事にした。

 

 しかし、やる事が無いってのは手持ち無沙汰さでいけないな。

 とりあえず、テレビでも見るか……

 

 適当にチャンネルを回すとB小町の特集がやっており、活動休止していたアイがアイドル復帰するようだった。

 まぁ~子供が無事に生活送れるなら、俺がとやかく言う理由は無いな!

 

 そんな事を考えて居た時には既にニノが作った料理がテーブルいっぱいに置かれていた。

 

「ヒカルさん……私料理実は得意なんですよ!」

「そ、そうなんですか……では早速いただきます」

 

 俺がテレビを見ていたのはほんの数分だった筈だし、ガスコンロの音も聞こえなかったし、何より時間が絶対にかかるであろうから揚げとかポテトサラダなんかもある以上……作ったと言うよりも持って来たが正しいと思うが……

 

「……! これ凄く美味しいですね!」

 

 思わず目を見開いて驚いてしまった。

 ……そうだよな。その場で作ったか持って来たかなんて些細な問題だよな! 美味ければなんだって良いんだからな!

 

「……ヒカルさんの口に合ってよかったです♡ ささっいっぱい食べてくださいね」

 

 偶の休みだけど……美少女と一緒にご飯を食べるのも悪くは無いと考えて居る俺は……やっぱり現金な奴であると自重しつつも、ニノの作ってくれたご飯を食べる手は止まらなかった。

 

 

「御馳走様でした」

 

 自然と声に出して言っていたけど……最後に言ったのは何時だったかな? そりゃ奢って貰ったりした時なんかは意識して言うけれど……今回みたいに自然と口に出した事なんて有っただろうか?

 

「はい、お粗末様でした」

 

 ニノはやたらと上機嫌でお皿を片付け始めたけど……俺は見てるだけに留めた。

 

 しばらくすると洗い物が終わったようで、ニノは真剣な顔をして俺の正面に座った。

 

「ヒカルさんに一つお願いがあります!」

 

 それは恐らく今テレビで告知しているものの事だろうから、あえテレビの電源を落とした。

 

「B小町の復帰一発目のライブに来てもらえませんか?」

 

 ニノはそう言うと不安そうな表情をしながらも俺の事をじっと見つめているが……いや、流石にライブ位行ってやるよ!

 

「良いですよ。日にちは何時ですか?」

 

 B小町のライブの日なんて調べればすぐ分かるけど……そう言った事も含めてニノから聞くのが筋なんだろう。

 

「一週間後です!」

 

 それ……チケットちゃんと捌けてる? ちょっと心配になって来た。

 

「チケット代っていくらですか? ……ちゃんと払いますよ」

「だ、大丈夫ですよ。アイのおかげとは言えB小町のライブチケットってちゃんと完売してますからね!」

 

 なら良かった。

 入った瞬間ガラガラだったら……気まずいし居づらいから帰るしか無いもん

 

「……あと、上原さんにもお世話になったので出来れば渡してあげてください」

「パイセンは駄目です。正規の金額で買わせます」

 

 本来赤の他人である俺がパイセン……いや、どんな人で合ってもその人の知り合いを糾弾するのは間違っているのだが……明らかにヤバいグループとの関係が有る事を見逃すは良くないのだ!

 

 まぁー俺もあのヤバくておっかない人に対してぶっちゃけ悪い事をした自覚はあるし、あの寂しそうな表情をさせてしまった事には罪悪感があるのだが……

 俺はパイセンみたいに強く無いから、自分一人なら何とか逃げる事は出来てもあの場にはニノが居た以上どうにもならないのだ。

 

 あのヤバい人が暴れなかったのはホントにパイセンが居たからだし……

 

「……ちょっと散歩して来ますね」

「あ、うん、じゃあ、私部屋の掃除しているから……ちゃんと帰って来てくださいね」

 

 帰るも何もここ俺んち!

 

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