カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第120話

 軽井沢への旅行も終わって、数日が経ち僕は今自分の家で寛いでいた。

 当然役所には既に行っており、戸籍の確認は済んでいる。

 アイの母親に関して言えば名前と住所は分かっているものの……すぐに会いに行けるかと言えばそういう訳でも無いのだ。

 僕からして見れば祖母で有るけれど……向こうからしてみれば見知らぬ子供なんだから、どうしたものか考えてしまう。

 一応アイと斎藤社長に話してから行った方が良いけれど……

 今アイ達の全国解散ライブツアーを行っている以上斎藤社長もそうだけどミヤコさんすら居ないのだ。

 そのおかげも有り僕のスケジュールは空いているのだ

 そもそもアイと僕の関係性は秘密の為、当然僕にマネージャーなんか付けられる筈も無く、今まで斎藤社長が頑張ってくれていた。

 後は長い事役者として働いてる以上は、僕にも個人的な伝手が出来た訳ではあるものの……振り返って見ると休日をゆっくりと過ごした事は無かったかもしれない。

 学校の宿題に役作りに台本を覚えたりと……かなり忙しい日々を過ごしていた。

 

 つまり何が言いたいかと言えば……

 

「~♪」

 

 現在鳴っているスマホを取るかどうかの判断に困っている。

 電話の主は五反田監督であり、子役の時からお世話になっている以上無下にする訳にも行かないけど、どうしたものか……

 

 少しばかり考えていたが……数少ないコネだし、恩義もある以上は答えは決まっている。

 

「……もしもし監督どうしましたか?」

「おっ! ようやく出たか……今暇か? ちょっと頼みたい仕事があるんだが家に来れないか?」

 

 監督は嬉しそうにそう聞いて来た。

 ワード的に仕事ではあるものの役者としての物では無く、裏方……それも映像に関するものだろう。

 宿題は終わっているから家に居てもやる事なんて家事位しか無いし……監督の仕事を手伝えばギャラも出るし、ご飯も頂けるのだ。

 監督のお母さんの作るご飯も大変美味しいし、食費も浮く以上僕に断るのはデメリットなんだが……長時間の拘束も確定しているのも事実だ。

 

「……ちなみに泊まり込みだったりします?」

「今学校は夏休みなんだろ? なら丁度良いな!」

 

 ため息を吐きたくなるが……コレも自分の糧になっているのは事実だし、意外と良い金額を貰えるのだ。

 僕は自分にそう言い聞かせて……

 

「……分かりました。すぐに行きます」

「おお! 流石アクア助かるぜ。家のドアは開けてるから着いたら勝手に入ってくれ!じゃあな」

 

 監督は嬉しそうに言うだけ言うと電話を切った。

 売れるようになってはいるものの……こうした副業も熟さないといけないのが役者の辛い所だし、学生としては破格の金額なのは間違いないのだ。

 

 勝手知ったる五反田監督の家に僕は向かった。

 一応上原さんと父さんには連絡だけしておくか……

 

 

 

 近所と言う程近い訳でも無いけれど、歩いて行くには少しばかり億劫な五反田監督の家に向かってる途中だった。

 そう言えばドアは開いてるから勝手に入ってくれと言われてるが……果たしてそれは良いのだろうか? と考えつつ歩いていた時だった。

 前方に見慣れた紫パーマの人物が歩いており、大量のビニール袋を持っていたからすぐさま近寄って声をかけた。

 

「おばさん手伝いますよ」

「あら……あらあらあらアクア君、随分大きくなったわねぇ~今中学生だっけ?」

 

 件の人物は五反田監督のお母さんで。

 

「ええ、中学1年生になりました。ところで買い物の帰りですか?」

「そうそう、泰志ったら急に言うんだから困っちゃうわ」

「す……すいません」

「アクア君は悪く無いから大丈夫よ! ところで最近一人暮らし始めたみたいだけどちゃんとご飯食べてる? 屋根があって寝るところがあって美味しいご飯が食べられるのが一番の贅沢なのよ!」

 

 まるで父さんみたいな事を言ってるけど……おばさんも昔は苦労していたのかな?

 

「はは……」

 

 しかし僕は何とも言えないので愛想笑いで誤魔化してしまった。

 

 その後おばさんの持っている荷物を僕も手伝い監督の待つ家に着いた。

 

「泰志帰ったわよ!」

 

 おばさんの声が響くと監督がやって来た。

 

「……ああ、あれアクアも一緒か」

「お邪魔します」

「じゃあ早速部屋に来てくれ」

「わかりました。じゃあコレ置いたら向かいます」

 

 僕はキッチンまで荷物を運ぶのを手伝った。

 

「さーて私は夕食の準備しないとね。ご飯できたら呼びに行くわ」

「はい」

 

 おばさんの料理は量も有るし、美味しいし……今日は監督の家に来て良かったと思う。

 そんな事を思いながら監督の部屋に入ると……部屋はごちゃごちゃしていた。

 

「……さて、アクア悪いが動画の編集頼むわ! データは中に入ってるからよろしく」

 

 監督からUSBを渡されて自身も動画のチェックをしていた。

 

 監督も監督業だけで食っていけるほど甘くは無く、こうした動画の編集を依頼されているみたいだ。

 

 

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