今年も頑張って更新しますのでよろしくお願いします。
俺はただ、純粋な気持ちで言っただけだった……
なのに……何故こんな事に?
「ハイ! イチ・ニー・サン・シー そこでターン!」
カナンの声に合わせてダンスを踊り、ターンを決める。
「うん! 流石カミキ良い動きだね!」
「……そ、そうですか」
「これなら一緒に対バン出ても大丈夫! アイとニノがびっくりすること間違いないわ!」
それはそうだろうよ。
何せ……俺だって驚いてるんだからさぁ……
カナンの国立競技場でのライブを応援しようと思い、数日前に東阿君達にチケットを融通して貰おうと思って頼んだが……
「カミキさん……我々はあなたが応援してくれるって言う事を信じておりました!」
「勿論……信じておりましたとも!」
相変わらず朝風と雷門は全開であったし、麗民さんは物凄く嬉しそうにメジャーを持って迫って来たし、東阿君も実に楽しそうだった。
「カミキさんの為に私も頑張るピヨ!」
「良し! スポンサーのカミキさんには丁重な扱いをしないといけないし、準備はこっちで行います」
この時点で何やら嫌な予感しかしない……
「いえ……観客として、チケットを売って貰えれば良いんですけど?」
「カミキさん遠慮なさらずに」
「分かっております。特等席を用意しますし、誰よりも近い位置で応援出来るようにしますから……」
「「我々を信じてください!!」」
「……分かりました」
そして、俺は圧力に屈してしまい……
アイドル衣装を身に纏い紫がかったロングのウィッグを装着すると……あら不思議!
何処から見ても『B小町』不動のセンターであるアイにそっくりになってしまった。
……いや、演じようと思えば出来ない訳では無いけれど、外見だけでここまで似るとは思っても居なかった。
確かにアクアとルビーが双子で顔もそっくりなんだから、アクアと似ている俺も似てない訳では無いけれど、アイと俺は赤の他人なんだよな。
……多分、一応……強いて言うならば、作中でアイの父親は明かされていないし、当然俺は俺の父親を知らんから有り得なくは無いだろうけど……アイと異母兄弟説ないよね?
……っとそんな事を考えてしまう程見た目はそっくりなのだ。
まぁー流石に骨格は男と女で違いはあるけれど……そこは演技力で全然カバー出来るから問題は無い!
問題があるとすれば……
アクアが今の俺の姿を見たら……アイの事を母親としても見れなくなりそうな気がしてならない。
前に雑誌の女装特集をしたことがあり、それを偶々アクアが見た事があったようだけど、その時に『パパはやっぱりママだったんだ!』と目をキラキラさせて言っていたとアイから聞いた事があるし……
いや、アレは小さい時だったから……勘違いしていただけで、今は中学生だから問題ないと思う。
「……ところでカナン?……何で『B小町』の歌とダンスの練習をするんですか?」
「対等な勝負なんて詰まらないじゃない! 勝負は圧倒的に不利な状況で勝つから面白いのよ」
「……その気持ちは分かりますけど、良いんですか?」
『B小町』との対バンで『B小町の曲』で勝負……カナンは一体どう思っているのだろうか?
「私の土俵で勝ってもそれは私が優れた証明にはならないけれど、相手の土俵で勝ったのならば否が応でも受け入れざる得ないじゃない?」
「……そうですね。優劣を決めるのであれば同じ土俵で勝負するしかありませんからね」
俺が同意を示すとカナンはニヤリと笑いだした。
この対バンはカナンを含めたB小町最後のラストライブなのだろう。
ただ……気がかりなのはアイが二人になる事に関してどう思っているのだろうか?
俺だって役者の端くれなので、アイを演じる以上は本気でやるが……ま、為る様にしかならないよな。
「よし、じゃあ次の曲『サインはB』行くわよ!」
B小町と言えば『サインはB』だけど……何度聞いてもコミカルソングにしか聞こえない。
「……出来ればロック系なのが良いんですけど? マクロス7みたいな」
「マクロス7から離れて欲しいんだけど……」
バサラみたいに『俺の歌をきけぇぇぇ』を国立競技場でやりたかったけど……流石に駄目だよね。
ため息を吐きつつもイントロが流れ始めてしまったので、一旦目を閉じて思考を切り替える。
頭の先から爪先まで今の俺は……いや、私は……アイ! 完璧で究極のアイドル
「ア・ナ・タのアイドル~サインはB~」
カナンの視線が物凄く気になるが、とりあえず気にせず集中しなければ……
時間があるとはいえ残り1週間……どんな状況であれやるからには勝つのがプロだ!
誠に不本意ではあるが……