カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第128話

 『B小町』が解散して数日が経過したが……俺が思っていた以上に『B小町』の影響は世間には有ったようで、テレビやラジオは勿論ネットなんかでは纏めサイトなんかも複数作られていたり、YouTuberなんかもこぞって取り上げており、そこかしこでお祭り騒ぎになっていた。

 

「皆さん暇なんですかね?」

 

 テーブルに並べられたおかずを箸を伸ばしつつ、のほほんとしてるニノ

 

「どーせ、大騒ぎしてるのは今だけで一週間もすれば忘れるわよ。ヒカルお代わり!」

 

 今日も元気だ飯が旨いを地で行くカナンは空っぽになったお椀を渡して来た。

 

「わかりました」

 

 カナンからお椀を受け取りご飯をよそる為にテーブルから離れる。

 

「私が言うのもなんだけど……あのライブを見た女の子は『B小町』に憧れてアイドルを目指す位凄いものだったわよ」

 

 かながそう言うとニノとカナンはため息を吐いた。

 しかし、これが先日凄いライブを行った当事者たちの反応であるとは現実とはかくも厳しい物である。

 

「実際にあのライブは私の所も苺プロもどちらも超黒字のライブになった訳だけど……最終的にはヒカルが協力してくれたからこその結果だからね」

「……カナンのフルマラソンから始まった訳だけど、そこから『B小町』の解散ライブをスタートして最後に国立競技場での解散ライブだけど、そこでアイが2人ってサプライズをやったから衝撃も有った訳だし、唯の解散ライブだったらここまで騒がれていないよ」

 

 まーちゃんとストーリー仕立てでやったからこそ最後の最後で大爆発した訳だ。

 

「ちなみに言っておくけど金銭面だけで行ったらかなちゃんの方がいっぱい貰ってるからね」

「……なんか悪いわね」

 

 ニノは目を真っ黒に染めてかなを見ているから、そっと頭を撫でて落ち着かせる。

 

「役者とアイドルでは求められてるものが違いますし、そもそもかなは大御所と言っても過言ではない経験年数になりますからね」

 

 衣装代・CD代・メイク代などなどアイドルはそれだけでお金が掛かるし、『B小町』はグループだから全員に均等にされていた訳なので、トータルでは勝っているかもだけど1人分だと悲しくなるものだが、役者は違う!

 売り出し方は色々あるかもだが、かなの場合は幼児の時から役者として芸能界に居た訳だし、そもそも一度天下を取った事があるのだ。

 そうなればギャラはかなり高くなっていくし、ソロなら兎も角収入が折半のグループアイドルに収入で負ける訳が無いのだ。

 

「かなが大御所ならヒカルはどういった立場になるのよ? 年数で言えばこの中では1番長いじゃない」

「……芸歴22年ですけど、私なんて単なる使い勝手の良い役者でしかありませんよ?」

「「「『役者殺し』って呼ばれてるのに?」」」

「……昔はそう言う時代だったんです」

 

 どんな美辞麗句を謳っても……結局の所芸能界は弱肉強食である以上力を示す必要がある。

 

 そんな事を考えて居た時だった。

 ピンポーンとインターホンが鳴り響いた。

 

「あれ?こんな朝早くから誰だろう」

「どうせアイでしょ? アイドル卒業してやる事無いだろうし、朝ご飯集りに来たんじゃない?」

「……流石にそれは無いでしょ。それだったらルビーも来る事になるじゃん」

「……とりあえず、私が出てきますね」

 

 朝ごはん位だったら別段構わ無いけれどと思い……とりあえずエプロンを外してドアを開けると上原パイセンと50代くらいの初老の女性が居た。

 

「おうカミキ!」

「おはようございます上原パイセンどうしたんですか?」

「ああ、ちょっと野暮用があってな。入っても良いか?」

「勿論ですけど……パイセン朝ご飯食べましたか?」

「それは……誘っているのかカミキ?」

「……何度も言いますけど私の性の対象は女性だけです」

「相変わらずガードが堅いなカミキは……だがそれが良い!」

 

 朝っぱらか上原パイセンは相変わらずかっ飛ばしてるけど……まー上原パイセンだし仕方ないな。

 

「……ところでこちらの女性のどちら様ですか?」

 

 俺がそう尋ねると女性の方はビクっと体を震わせて上原パイセンの方を見ており、まるで許可を求めているようだった。

 それに気が付いた上原パイセンが目で合図を送るとホッとした笑みを浮かべて女性は名乗り始めた。

 

「私は星野あゆみ……アイの母親です」

 

 母親だと!? いや……それは良いとして、お隣がお隣なので、何時までも外に居られると不味い事になる。

 しかし……何故?どうして?Why?と頭の中で疑問が尽きず、思わず文句を言いたくなるが……きっと俺はこう言う爆弾を抱える星の元に産まれて来てしまったのだろう。

 

「……どうぞ中に入ってください」

「お邪魔します」

「おう」

「あと……上原パイセンはご飯無しです」

「な……何故だ!」

 

 何故だじゃねーよ! こんなん減点だ減点!

 

「やっぱり連れて来たのは間違いだったか……さっさと埋めちまえば良かった」

 

 上原パイセンは真顔で恐ろしい事を言い始めた。

 

「ひぃ」

 

 初老の女性は完全に怯えてしまい顔も血の気が引いて青ざめてしまった。

 流石にこれは不味いと思いパイセンを睨みつけながら声をかける。

 

「上原パイセン?」

「じょ……冗談だよ冗談。上原ジョークだ」

 

 あんたが言うと冗談に聞こえねーからな!

 

「……ご飯無しは撤回するので物騒なのは辞めてくださいね」

「勿論だ!」

 

 俺は何時になったら楽になる日が来るのだろうか? それともメフィストの歌詞にある様に来ないのだろうか?

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