カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第129話

 上原パイセンとアイの母親を名乗る星野あゆみを我が家に招きいれたが、それはそれとして……何故爆弾を抱え込まないといけないのか?

 俺なんて唯の元カレだぞと言いたいが、別れたとは言えアイを孕ませてしまったし、子供もアクアとルビーがいる訳だし……

 

 ……と考えつつも追加分の朝食を作る為、フライパンを温めつつも再度ご飯を炊き始める。量は2合……いや、2.5合炊くか……ささっとお米を研ぎ炊飯器にセットする。

 そうこうしていたらフライパンも十分に温まったのでバターを入れて、満遍なくなじませてから卵二つととベーコンを投入し、水を入れて蓋をする。

 その際にキッチンタイマーをセットするのを忘れない。

 今弱火にしているから……1分位で良いだろう

 その間に味噌汁とお茶と『ご飯ですよ』を先に上原パイセンと星野あゆみが座っているテーブルに運ぶか……

 

「失礼します。じゃ先にあゆみさんからですね」

「あ、ありがとう」

 

 星野あゆみの前に味噌汁とお茶を運び、次は……

 

「はい、パイセン『ご飯ですよ』一気に行ってください」

「……カミキ? 実は怒ってるのか?」

 

 新品の為、瓶いっぱいに入ってる『ご飯ですよ』をパイセンの前に置くと慌てたようにそう問いかける。

 

「……冗談です。怒っていませんヒカルジョークです」

「お……おう」

 

 まー冗談はさておき、俺とカナンが良く食べるので朝は7合炊いてるが……それでも炊飯器は空っぽになってしまうだ。

 

「……今お米を炊き始めたので二人ともしばらくお待ちください」

「おう」

「ご……ごめんなさいね」

 

 その事を伝えると上原パイセンは安心し、星野あゆみは安堵した。

 しかし前もって連絡さえあれば問題無かったのにと思うが……恐らく上原パイセンの埋める発言は冗談なんかでは無く、かなり本気ではあるものの一応アイの肉親と言う事もあり、直前まで考えてしまったのだろう。

 普段ならそう言った連絡はしっかりするし、即断即決即行動の上原パイセンにしては珍しいが……上原パイセンの人間らしい一面を知れたと思い良しとしよう。

 

「ヒカルさんが冗談を言うなんて……」

「私も初めて聞いたわ」

「しかもヒカルジョークって……」

 

 ニノ・カナン・かながそう言いながら俺の事を見ている。

 普段冗談を言わないけれど……そんなにおかしいか?

 思わず首を傾げてしまったが……よくよく考えれば、普段冗談を言わない人間が冗談を言えば『こいつマジか?』と思われるのは仕方がない事だった。

 

 そもそも俺って会話に関しては聞かれた事は全部答えるが……実際は言葉より行動で示す事の方に比重が大きすぎだった。

 別段それが悪いとは思わないが……アクアと上手く行ってるのはその結果でルビーと上手く行かない理由も恐らく同様の理由だろう。

 

 そんな事を考えて居たら先ほどセットしたキッチンタイマーが鳴り始めた。

 

「……ところで上原パイセンとあゆみさんは卵半熟と完熟どっちが良いですか?」

「俺は半熟」

「私も半熟でお願いします」

 

 俺はすぐさまキッチンに戻った。

 

 

 フライパンの鍋を取ると、ほどよく蒸されて少しばかり目玉が固まっているけれど……ま、良いだろう。

 皿を二枚用意してそれぞれに盛り付けて……完成!

 あと……冷蔵庫に木綿の豆腐有ったし、こちらもネギとかつお節をパラパラとかける。

 チラッと炊飯器を見ると後10分程度だった。

 先にこっちの豆腐とカリカリベーコンの目玉焼きをお盆に乗せて、テーブルに運ぶとしよう。

 

「お待たせしました。豆腐とカリカリベーコンの目玉焼きです」

「卵からバターの良い匂いがするな」

「おっ……美味しそう」

 

 二人はそう言うと喉を鳴らして食い入るように見ていた。

 

「醤油あるか?」

「私はソースが欲しいです」

「わかりました。今持って行きます」

 

 目玉焼きには醤油をかける人も居ればソースをかける人も居るが……まっ好きに食えば良いさ。

 

「やっぱり目玉焼きには醤油とマヨネーズね!」

「私はタルタルソースと胡椒かな?」

 

 カナンもニノも我が道を行ってるから本当に好きにすればいい

 そんな事を考えて居た時だった。

 

「……二人とも太るわよ?」

「……ニノは知らないけれど、私は走ってるから大丈夫ね」

「……アイドルは卒業したけど別に運動は辞めて無いから、だっ……大丈夫だよ」

 

 カナンとニノは確かに運動しているし、毎日では無いが夜の運動会も行っているから問題無いと思うけど……

 

「見た目は若いけど二人ともアラサーなんだし気を付けないと……」

「「かな(ちゃん)?」」

 

 かななりに心配しての言葉だと思うけど……

 

「喧嘩はダメですよ」

 

 ニノとカナンの頭を撫でて止めようとしたが……丁度その時炊飯器からお米が炊きあがった音が聞こえたので、手を引っ込めてそっちに向かった。

 まー賑やかなのは良いことだ!

 

 

 

 朝食も終えて一旦食器類を台所に片付けて、お茶を人数分用意した。

 さて、一体星野あゆみは何を語るのだろうか?

 

「ところで気になって居たんだけど……このおばさん誰?」

「おお、そう言えばカミキにはさっき玄関で伝えただけだったな」

「すみません……私は『B小町』のアイの母親で星野あゆみです。娘がお世話になっております」

「「「えぇ~アイの母親!?」」」

 

 ニノ・カナン・かなは驚きのあまり大きな声を出した。

 結構な声量では有ったが……隣同士とは言え防音はしっかりしているから大丈夫だと思いたい。

 まーアイがこっちの壁越しに紙コップか何かを強いて音を聞いてたらアウトだけど……あのアッパッパーもそこまでは流石にせんやろ

 

「……アイさんの母親だと言う事は聞きましたが、わざわざ何で家に連れてきたんですか?上原パイセン」

 

 上原パイセンにそう言うと顎に手を当てながら答えた。

 

「ああ、先日のライブで俺が警備している時にやんちゃなグループと一緒に居たから、ちょっとばかし話を聞いてたんだが……」

「アイドルの解散ライブにやんちゃなグループってくるものなの?」

「俺には理解出来ないが……極一部のファンはアイドルがアイドルで無くなるとそれまでの感情が反転して攻撃的になるみたいでな、まーバットやナイフにスタンガンなら可愛いものだけど……薬物なんかも用意して、誘拐も企んでたみたいだったぞ。」

「「ひぇ!」」

 

 実際にステージで歌っていたニノとカナンにしてみれば狙われていた訳なので怯えてしまうのも無理は無いが……

 

「パイセン……その辺りは聞いてませんでしが、怪我とかしてないですよね?」

「ああ、俺は大丈夫だ。寧ろ昂……いや、興ふ……生きてる実感を感じたぜ!」

「……無事ならそれで良いです」

 

 昂る・興奮を言い直しているけれど、最終的に生きてる実感を武器持ちの相手を見て感じるのはダントツにおかしい!

 

「しっかし……ああいう奴らはなんで手の届かない高嶺の花に手を伸ばすんだろうなぁ~。相手なんて探せば幾らでもいるのになぁ~カミキもそう思うよな!」

 

 腕を組んで上原パイセンは首を捻るが理解出来ないでいた。

 愛梨パイセンと結婚してから他の女性との関係を全部清算した上原パイセンだけど…… そもそもがモテる側の人間だからそう言った事に関しての理解は全く無いのだ。

 まー俺の先輩だしなぁ~

 

「全くですね! 振られたんだったら次に行けば良いだけの話ですし、何時までも引きずってるのは時間が勿体ない訳ですしね」

 

 これはアイにも当てはまる。

 俺の事を振ったんだから、もうゴローさんと幸せになれば良いと心から思うが……それとは別にアクアの事は心配なのも本心だ。

 

「……で話を戻すが、この星野あゆみがやんちゃな奴等といた理由も少しばかり厄介でな」

 

 あー何となく想像出来た。

 何せ似てる似てないは別として気が付く奴らは絶対に気づく

 

「アイちゃんと星野あゆみの親子関係はそう言った奴らにバレているんだ」

 

 そりゃそうだ。だって痕跡を消して生活をしている訳じゃ無いし、そもそもが役所に行って戸籍を調べるなんて事はその気になれば誰だって出来るのだから……やらないのは犯罪だし、バレた時にリスクがあるからやらないだけで、頭が悪い馬鹿どもは金に釣られて平気でそういうことをやるだろう。

 そう言った意味で星野あゆみには悪いが上原パイセンの埋める発言は善悪は兎も角原因が無くなる以上解消されるが……

 

「……お願いします助けてください」

 

 そりゃ誰でも死にたくはない。

 子供の代わりに親が死ぬなんて話は良くあるが、それはあくまで愛してる子供だからこそであり、ろくでもない子供の為に命を賭ける親はそうはいないだろう。

 しかし、それでも親は親だ。

 子が親を殺す訳には行かねーし、それはこの世で一番のタブーだ。

 ましてやアクアにとっておばあちゃんに当たる訳だし……

 

「……アクアのおばあちゃんですからね。パイセン保護の方向でお願いしても良いですか?」

「おう!」

 

 ……とは言え、上原パイセンはどんなに強くても一般人だし、ここは素直に警察に頼んだ方がよかったかな? 

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