カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第135話

『本日から捜査一課に配属になりました神条咲です。至らない点も多々あるかと思いますが、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします』

 

 ママの役は新人の刑事らしく、アイドルの時とは違い黒いスーツに身を包み込んでキリっとした表情はとてもカッコ良く映っていた。

 もしもママが現実で刑事になんてなったら犯罪者なんて寧ろ捕まりに行って日本は平和になるんじゃないかと思う。

 いや、それともママに捕まえて貰うために犯罪を犯す可能性の方が高いかもしれない。

 

「アイドルのアイも良かったけれど……刑事のアイも良いな」

「やっぱり私って天才だよね~こう言った演技もそつなくこなせるし、これからはマルチタレントも視野に入れてアイドルの時よりも頑張るよ~」

 

『あ、ああ……僕はこの捜査一課の課長の田中です。じゃあ、神条さんの相棒を紹介するね神裂さーん』

 

 頭頂部が寂しい事になっている中年の課長田中がこのドラマの主役である神裂光を呼ぶけど……

 

『田中課長? 神裂でしたら暴対の手伝いでただいま潜入中ですよ?』

『あれ……そうだっけ? 弱ったなぁ~』

 

 田中課長は本当に困ったようで眉毛を八の字にしているけれど……主人公不在でスタートってどうなの?

 そう思っていた時だった。

 可愛らしい見た目と長い金髪を靡かせたメイド服を着たこの場には似つかわしくない人とオールバックでノーネクタイでスーツを着ているワイルドな人がヤクザみたいな人を捕らえて突如入って来た。

 

『神裂ただいま戻りました!』

『じゃあ俺はこいつとちょっくらおしゃべりしてくる。終わったら飯でも食いに行こうぜ』

『良いですね』

『お……おい、待ってくれ! 俺は弁護士が来るまで何もしゃべらないぞ!』

『悪ぃな……弁護士は今日お休みみたいだぜ? あとおめーの組の親分からは既に了承取ってるから、この場を切り抜ける事が出来ても無事じゃ済まないぞ?』

『うぅ……分かった喋る! 喋るから助けてくれ!』 

 

 先ほどまでのママの可愛さやカッコよさが一瞬で神裂と神原という刑事に持って行かれた!

 

『田中課長……それでは私は帰りますね』

『ちょっと神裂さん待って!』

『どうかしましたか?』

『いや……こちらの神条咲さんだけど、今日付けで神裂さんの相棒なったからね』

『新人の神条咲ですよろしくお願いします』

『神条さんですね? 私は神裂光ですよろしくお願いします』

 

 メイド服を着た神裂光はそう言ってママに握手を求めるとママはすぐさま神裂光の手を握り返した。

 

『それでは私は夜勤明けみたいなものなので帰りますね。田中課長報告書は明日提出します』

『いやいや……神裂さん。新人さんほっぽいて帰るかのかい!』

 

 そりゃそうだよ。いくらドラマとは言え先輩が新人の後輩を置いて帰るのはどうかとおもうよ。

 

『言ってはなんですが……昨日の夜から今まで潜入捜査してたんですけど?』

『……メイド服でかい?』

『……相手がそう言ったところに入り込んでましたからね』

 

 そう言った所って一体どういうところなのかな?

 ふとママの方を見ると、思い出したかのように自身が握手した手をしきりに見ており、顔を赤く染めていた。

 

「ママ大丈夫……顔真っ赤だけど?」

「う、うんもちろん大丈夫だよ! ちょっと部屋が暑いのかな?」

 

 ママにそう尋ねると慌てたようにそう答えて、顔の近くで手をパタパタし始めた。

 確かにまだ夏だから外は暑いのも頷けるけれど……部屋はエアコン付けてるから涼しいはずなんだけど……

 

「アイ?このメイド服の子って誰なんだい?」

 

 先生にそう聞かれるとママはにんまりした表情で答えた。

 

「それは勿論ヒカル君だよ!」

「嘘だろ!」

「カミキさんって木っ端役者じゃないの!?」

「ルビーは後でじっくりお話するけど、ゴローさん本当にヒカル君なんだよ。私も撮影が始まる前に見たけれど……セリフが飛ぶくらいの衝撃を受けたしゴローさんの反応は当然だよね!」

 

 カミキがメイドで刑事で……ダメだ頭がごちゃごちゃし始めたけど、一つだけ確定したことがある。

 どうやら私はママに怒られるみたいだ。

 

 その後もドラマは続いて行くが一話にしては大分濃く……お茶の間で見るには胸のドキドキ止まらない無いようで、もうすぐ終わるとなれば逆に見ていたくなるほど私はドラマに釘付けだった。

 決してママに怒られるのが嫌なワケでは無い事を名言しておく

 

「じゃあルビーテレビも終わった事だし……ちょっと私の部屋でお話ししようか?」

「は……はい」

 

 後ろからガバっと抱き着かれているので逃げる事は出来ず、私はママの体温を背中で感じつつドナドナされていった。

 

「……じゃあ僕はお風呂でも入ってるね」

「わかったよー」

 

 遠い目をしてないで助けてください先生!

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 同時刻

 

 

「ずるいです! なんでアイばっかりヒカルさんと共演しているんですか!」

 

 そういうとニノが涙目でにじり寄って来た。

 

「……そういえば私もヒカルとドラマの共演なんてしたこと無いわね」

 

 カナンは面白そうにそう言ったが……

 

「ニノはただ単に巡り合わせが悪かっただけですから……ね。あとカナンはそもそもドラマに出たいんですか?」

「いやぁ~ヒカルと出るのであればやぶさかでもないんだけど……今私ゲーム実況で忙しいから無理なんだよね」

「カナンはそもそも役者じゃなくてネットアイドルでしょうが!」

「ニノ……それを言ったらおしまいよ!」

「はいはい二人とも騒がないでくださいね」

「「は……はい」」

 

 ニノとカナンの二人を抱きしめると二人は大人しくなったが……その刹那背中に衝撃を受けた。

 まーそんな事をするのは唯一人なんだが……

 

「……そう言えば最近は私もカミキと共演してないわね」

 

 かなはそう言うと俺の首をハムハムとし始めた。

 本気で噛みに来ている訳では無いし、甘噛みみたいなもんだから別段構わないけれど……

 

「……ギャラの問題もありますし、常に一緒って事は難しいですからね」

 

 俺がそう言うとかなは噛みつくのを辞めて今度は嘗め回して来たが……まぁー舐めるくらいなら問題無いだろう。

 ちょっとばかりこそばゆいけど……

 

 それよりも問題なのが……

 

「うぅ……アイが……アイが……こんなに立派になって……ごめんねぇ……アイィーー」

 

 ドラマ内ではあるが刑事役という事もあり普段のアッパッパーはどこへやらアイはスーツ姿も相まって終始キリっとした表情だった。

 

「あの……あゆみさん? アイさんももうすぐ30ですし、役柄も有りますが少しばかりは落ち着かれます」

 

 女三人寄れば姦しいとは言うが、ここには現在4人もいる訳で賑やかと言えばそれまでだが……揃いも揃って癖が強い

 

「時間も遅いので私はお風呂に入りますね」

「じゃあ私もカミキと一緒に入るわ」

「「かな(ちゃん)はまだ早いわ(よ)」」

 

 別段かなと一緒にお風呂に入ったからと言って疚しい事はする気は無いけれど……その辺りの信用の無さは既に実証済みみたいなもんだから、俺は一人で入る事になっていた。

 といってもヤッているのはニノとカナン位だし、あゆみさんが来てからは外でやる様にしているから問題は無い筈だけど……

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