ドラマ撮影を終えてアイと夕食を食べる事になったが……さて、どうしたものか?
都内なのでお店は幾らでもある訳だが……個室のある芸能人御用達のお店となれば総じてお値段は高いのだ。
昔なら兎も角今はお金に困っている訳では無いので、連れて行く分には構わないが……
「ヒカル君と二人でご飯なんて付き合っていた頃以来だね♡」
「……別れたカップルは基本的に付き合いは切れるものですからね」
うん、自分で言っててもおかしい事は分かる。
しかし、こればかりは理屈じゃ無いしなぁ~
逆にアイが俺の子供を産まなければ……いや、そもそもがその存在を俺が知らなければ関わる事は無かった筈だけど、そうなればアイは恐らくこうして生きてはいなかった筈だ。
「じゃ……じゃあさ……ヒカル君私と寄りを戻さない?」
アイは恥ずかしいそうに尋ねて来た。
両手の人差し指をツンツンしている所から、迷っている部分も見受けられるが……
「ゴローさんはどうする気ですか?」
俺はアイにそう尋ねた。
実際問題俺がアイにそう言ったことをどうこう言える義理は全く無い。
彼女はゆらだけだが……家にはカナンにニノと恒常的に関係を持っている訳だし、困った事にかなも最近はそう言う目で俺を見ているというか、喰われる気満々で迫ってきている訳で……もう俺は我慢しないで手を出しても良いかなって考えて居るがカナンとニノの二人にダメって言われてるから手を出せないでいるだけだし……
「ゴローさんは勿論手放さないよ~。なんてったって星野アイは欲張りだからねぇ~」
「はぁ~自分で言うのも何ですけど……私みたいな女たらしのどこが良いんですか? ゴローさんの過去は知りませんが間違いなくアイさん一筋ですし不義理は辞めた方が良いですよ?」
「……ヒカル君がそんなこと言えるの? 今まで私はゴローさんで満足出来たのに……あの時楽屋でヒカル君の愛を受けてから私ね……」
アイの顔を見るとトマトの様に真っ赤に染めて俺の事をじっと見て答えた。
「もう満足出来なくなっちゃったんだよ♡ 責任……取ってくれるよね?ヒ・カ・ル・君♡」
随分と自分勝手な事をアイは言い始めたが……見様によっては男に都合の良い女ではあるし、そう言った割り切った関係というのも悪くは無いだろう。
客観的に見てもアイの容姿は芸能界の中でもトップクラスなのは確かだし、スタイルも良いのは間違い無いから本来で有れば悩む必要なんてないのだが……アイは自分本位な部分があるし、都合が悪くなれば関係をリセットする気がする。
別段それが悪いとは言わないし、その時になって再度振られる位気にする必要も無い取るに足らない問題だけど、それに巻き込まれるアクアやルビーにゴローさんの事を考えると不憫に思ってしまう。
それだけならまだしも現彼女のゆらがキレる可能性がある。
流石にゆらを差し置いてアイを優先なんてした日には俺もアイも刺されかねいのだ。
「責任って言いますけど……アイさんを気持ち良くさせただけで本番なんかしてませんよね?」
「私の耳の処女を奪って何を言うのかな? それにあの気持ち良さはゴローさんとのセックスよりも気持ち良かったよ」
耳の処女って鼓膜の事を指しているのか? それとも耳責めが初めてだからその事を言っているだろうか?
確かにアイはびっくりする程耳が弱かったし、快感に震えていたのは確かだった。
じゃあゴローさんに耳穴も責めて貰えば良いんじゃないかと思うが、年齢的に言えばゴローさんは40位だから体力も落ちて来てるし、アイはギリとは言えまだ20代なので性欲も強いだろうから、イケる事はイケるが……満足する程では無いのかもしれないな。
「どちらにせよアイさんと本番をする気はありませんよ?」
「……姫川愛梨さんはなんで良いの?」
「勘違いしているようですけど……大輝君が産まれてから保育園に通うようになるまで愛梨パイセンとはヤッませんよ?」
「そうなの!?」
そりゃそうだよ。
大輝君は赤ちゃんの時大人しかったけどだからと言って子育てをほっぽいてセックスをしていた訳じゃ無いのだ。
まー保育園に通っている間はヤッていたけれど……それだって別段なぁ~
「それにそもそも愛梨パイセンはセフレじゃないですし……フリフレですかね? そう言った信頼関係のある方ですので、アイさんみたいに別れた訳じゃあ無いですし、理由だって『私は君を愛せない』って身勝手な理由を言われると困ってしまいますからね」
俺がそう言うとアイは目に見えてうろたえ始めた。
「あ……あれはヒカル君が壊れちゃうと思って私なりに考えた結果距離を置こうと思ったの! 本当は私もヒカル君と一緒に居たかったし、ヒカル君の事を愛したいと思ってたんだよ」
「壊れるって……何かインパクトのある出来事ありましたっけ?」
「大輝君の事だよ。 普通なら性被害に遇えばショックを受けるものだし、ましてや自分の子供を妊娠したってなれば壊れたってしょうがないよ。それに当時の私も子供だったし……」
あーうん、確かにアイの言う通りおねショタ好きでも無ければショックを受けてしまうのは間違い無い。
初めてヤッた時の愛梨パイセンなんて……今思えば荒々しかったけれど、それはそれで眼福だった。
女性が荒々しい行動をするのは不安の裏返しみたいなものだから、そういう時にこそ男は優しく丁寧に扱うものだ。
具体的に言えば顔を撫でて肩を撫でて緊張を解しゆっくり優しいディープなキスをするのだ。
そうすればきっと相手にも心は伝わるものなのだ。
「私は別段セックスごときでトラウマになんてなりませんけれど……もし、仮に今アイさんが言った事が本当の事ならば、壊れる可能性があった人を放置してどうするつもりだったんですか?」
「そ……それは」
アイはそう言い淀んだが、原作のカミキヒカルが歪んだ原因の一旦はアイにもある訳だし、それをなぁなぁにして寄りを戻すのは虫のいい話だと思う。
「つまる所アイさんは私が何らかの理由で介護が必要になった場合別れる可能性があると思っています」
「私はそんな事しないもん! 絶対に最後まで看病し続けるもん」
アイはそう言うと目の星を黒く染めて俺の肩を掴むが……人はそんなに綺麗な物ではないのだ。
一度でも逃げた人間は同じ状況に陥れば必ず同じ行動をする。
何故ならそれがその人の本性なのだから……