カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第14話

 B小町復帰ライブは大歓声の中終わり見事に成功を収めた。

 しかし、俺には理解出来ないがコミカルソングの『サインはB』がファンの人達の中で一番受けが良いようだった。

 個人的には『STAR☆T☆RAIN 』が一番アイドルソングな気がするからこっちの方が良いと思った。

 

 そんな感想をつらつらと頭の中で思っているのには理由がある。

 

「いやーやっぱりB小町のファンとして復帰一発目のライブを見に来れて感無量だよねカミキ君」

「……そうですね」

 

 やはりと言うかなんて言うか……三席位しか離れていないのだから、ライブが終わった後に雨宮医師に見つかってしまったのだ。

 雨宮医師は大分脳をやられている所為なのか……ライブ直後って事もあり大変興奮しているようだったので、ここで変に否定するとめんどくさい事になりそうだから相槌だけして流す事にした。

 多分これが現状で一番良い方法だと思う。

 

 そうこうしていると他のファンの人達がグッズが販売されている物販コーナーに移動し始めた。

 

「ああ! 俺もB小町のグッズ買いに行かないと……カミキ君はどうする? グッズを買うと握手にチェキも参加出来るんだぜ」

 

 雨宮さんはそう言うと物凄く嬉しそうに言って来たが……いや、そもそも俺ファンじゃ無いし……そう言うのは本当のファンの人達に譲るべきであって、プライベートで会える”こっち側”の人は譲ってあげても良いんじゃないかなーって思うのはおかしいのだろうか?

 

「……そうなんですね。私の事はお構いなく、雨宮さんは遠慮せずに行ってきてください」

「そ、そうか……じゃあ俺は買いに行くからまた後でね」

 

 雨宮さんはそう言うと物凄いスピードで走って……あ、スタッフに注意されてる……ま、人が多いから走ったら危ないもんな。

 とりあえず、ここに居てもしょうがないから握手会の会場には行くけど2時間とは言え熱気も凄かったし、何より水分なんて取れてないから喉が渇いてしまったので、自販機で缶コーヒーでも買ってから、握手会場に向かった。

 別段ファンじゃ無いし、誰も推して無いから俺は列に並ぶことはせずに壁に寄りかかりながら、缶コーヒーをちびちび飲みながらB小町を見てみた。

 

 うん……アイの所に圧倒的に人が群がっているのが一目で分かる。

 他のメンバーのところにも勿論人はいるけれど……アイが倍以上差を付けていた。

 

 だから、他のメンバーも暇って訳では無いけれど……アイ程忙しい訳では無いので、周りを見る余裕がありニノなんか俺を視界に居れながら対応していた。

 ま、手位振っても罰は当たらんだろと思い、軽く手を振ってあげた瞬間だった。

 

「……なんかアイちゃんからのプレッシャーを感じるぞ」

「……もしや! 我々の貢が足りなかった事で怒っているでござるか!? しかし、お一人様一個までと書かれている以上はどうにもならぬぞ!」

「……これは試されているのだろうか!?」

 

 アイの列に並んでいるファンの方達がそう愚痴っていたけど……お一人様一個って事はもしや俺も買わないと完売しないって事か?

 いや、別に日常的に使える物であればまだ買っても良いけど……B小町のぬいぐるみを持ってても使う用途が無いし、大輝君にプレゼントしても喜ばないだろうし、うーん……困ったものだが俺の所為で完売しませんでした。じゃあチケットを唯で貰った手前居心地が悪いし、今回は必要経費って事で買うとしよう。

 

 ため息を吐きたいところだけど……見られている以上はマズイ気がするのでコーヒーを一気に煽り物販コーナーに向かった。

 さっきのファンの人達じゃ無いけど……俺も試されたんだろう

 

 

「もしやカミキ君も買ったのかい!?」

 

 両手に大量のグッズが入った紙袋を抱えて心の底から満足している雨宮さんだけど……そのグッズの量からして諭吉が何人か飛んでいる筈……いや、医者だったからお金は普通の人より持っているだろうけど……生活大丈夫なのだろうか?

 

「……一応お一人様一個って記載されている物だけですけどね」

 

 1種類だけの物で良かったと心底思った瞬間だった。

 金額も¥1000程度だし、それぐらいなら……ちょっと豪華なお昼を食べたと思えば……と自身に言い聞かせて泣く泣く購入したが、今度は握手もしないといけない訳になった。

 理由? なんかスタッフがカウントを取ってインカムで伝えているんだよね。

 

 そして俺は今……再度試されている。

 

 

 大分時間が経った事もあり、握手会の列はまばらになってしまいB小町全員が俺の事を認識出来ているのだ。

 

 アイに至ってはこっちに来いと器用に目で訴えてくるし、ニノは……隠そうとしているが、握手をしたら喜ぶだろう。

 他の子に関してはチラチラと俺の事を見ていた。

 

 仮にもモデルをやっているのだから、外見だけなら誰にも負けない自信はあるし、女の子からのそう言う目線と言うのは嬉しいものだ。

 

 となると……俺にとっては二択しかない

 おっぱいの大きい犬の子か好みのタイプの蛙の子となる。

 しかし、手はあくまで手であっておっぱいでは無いので、ここは素直に蛙の子の列に並び握手する事にした。

 と言っても……2、3人位しか並んでいないからすぐに順番が来たんだけど……

 

「わぁーこんな可愛い男の娘に握手されるなんて嬉しいなぁ~」

 

 嬉しい事言ってくれるじゃないの!

 

「いえいえ、これからも頑張ってくださいね」

「……うん!君が応援してくれたから私頑張るよ!」

 

 俺は滅茶苦茶嬉しいけど……そろそろ手離さない? ……後ろには誰も並んではいないけど……サービスし過ぎな気がする。

 

 

 そんなこんなあり、ライブ会場を後にしようとしたら雨宮さんが入口の所におり俺の事を待っていた。

 

「カミキ君この後予定ある? 良かったらお昼一緒にどうだい?」

 

 特に断る理由も無いし、俺は雨宮さんの提案を受けた。……そう受けてしまった。

 

「ええ、構いませんよ。何処に行くんですか?」

「実はこっちに来てから行きたい所があるんだよね。で、ちょっと遠いからタクシーに乗ろう。お金は俺が払うから気にしないでくれ」

 

 おお、これが女遊びで培ったテクニックかぁ……勉強になるなぁ~

 

「いえいえ、これでも役者やモデルでお金を頂いてますので、割り勘にしましょう」

 

 年齢は別にしてもこういった事は対等で有りたいものだし、何より了承したのは自分なんだ。 上原パイセンは……先輩だから遠慮なく集る!

 

 そして、俺は雨宮さんと一緒にタクシーに乗り込み一緒にお昼を共にする事になった。

 

 タクシーから見れる景色は……何となく見覚えがあるような気がする。

 

 あれは……何時だったかな? 大分昔だった気がするけど……

 

 そんな事を考えながら、ぼーっと景色を眺めていると目的の場所に着いたようで、タクシーを降りてから周りを見てようやく思い出した。

 

「……あのここって……もしや?」

「ああ、物凄く美味しいって評判で……配慮とかされてるようなんだ」

 

 そりゃそうだよ。東京都内でも芸能人御用達のお店で金額もかなり高いからな!

 い、一応財布には常に20人の諭吉を入れているから問題無いけど……俺の6ヶ月分の食費が吹っ飛ぶのは間違いないな。  

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