『オカルトなんて存在しませんし、私達警察官がそれを言い出したら終わりですよ神崎警部補!』
『そうだぜ神裂……オカルトを言い出すくらいならまだ麻薬の線を疑った方が良いだろう?』
『二人とも夢が無いですね……ま、私もオカルトを信じてる訳ではありませんが現実として被害者達の共通点は”こっくりさん”をやっており、その結果無残な姿で発見されているんです。そしてこれが死亡診断書です』
神裂が2人に見せた紙には被疑者は出血多量により死亡と書かれていた。
『出血多量と書かれてはいますが、現場には血は流れておらず外傷も無く体内の血だけが無くなっておりますので、逆に二人にお聞きしたいですね。一体犯人はどういった手段を用いて被害者の血を抜く事が出来たのか?』
『そ……それは……』
『……注射痕はあったりしたか?』
『残念ながら……』
『そうか……』
『あ……あの注射痕ってどういうことですか?』
『採血と同じ原理ですよ。知識さえあればそこまで難しいものではありませんし、極小の傷なのでぱっと見ではオカルトに見えてしまうものでも、実際は科学的なアプローチで再現可能なので、こう言った事件では真っ先に確認されますが……どうやら空振りみたいでしたね』
『うぅ~……ちなみに神裂警部補はオカルトで殺人は可能と思いますか?』
神条の言葉に神裂は肩をすくめて答えた。
こんなリアクションでも顔面偏差値が高いので、絵になるのがすごいけど……もっとママを映すべき!
『……私はどっちでも良いんです。オカルトだろうが科学だろうがそれらを利用して事件を起こしている訳なのでやった奴を捕まえるだけです。ま、オカルトなら証拠は出ないので自供させるしか方法はありませんが……』
頭をポリポリ掻いてめんどくさそうに答えるが……実際にオカルトなんてものはドラマウケは良いかも知れないが現実的にありえないのだが……
「……転生者だって言っても信じて貰えないだろうし、所詮ドラマはドラマで現実じゃないもんね」
誰も居ない家で私はドラマを見ながらぽつりとつぶやいた。
「たっだいま~」
「あっママお帰り~」
出迎える為に玄関に向かうとそこには笑顔のママが居た。
「もうごはん食べた?」
「ママと一緒に食べたかったから待ってたよー」
「全くルビーは可愛いなぁ~」
私はそう言ってママに抱き着いて頭をヨシヨシして貰った。
ママからは良い匂いがして落ち着くけれど、それとは別に違う匂いも混じっていたが別段不快という訳では無く、どことなく落ち着く匂いだった。
「クンクン……ママの匂いって落ち着くぅ……」
「ルビーは甘えん坊だなぁ~」
「ところでママ? ママとは別に良い匂いがするけど……」
私がそう聞くとママはニマニマし始めた。
「多分ヒカル君の匂いだね! 撮影中に抱き締まられるシーンがあったから私に移ったのかな?」
前言撤回……不快な匂いだった。
「ご飯温めるからママはお風呂に入ってね?」
「え!? 先にご飯が良いんだけど……」
「ご飯温めるからママはお風呂に入ってね?」
「……う、うん。分かったよ」
ママの説得が終わった事だし、ママがお風呂から上がるまで私はリビングにポツンといた。
不快な匂いと思い込もうと思ったけれど……気が付くと私自身の匂いの残り香りを嗅いでいた。
頭では悪く思おうとしているけど本能では抗えない。
落ち着かせる匂い……
どれくらいそうしていたのか分からないけれど……
「あがったよー」
「ひゃわ!」
ママがお風呂から上がったようで、私は急いで先生が作ってくれたご飯をレンジで温め始めた。
「いやーゴローさんの栄養満点のご飯は美味しいね」
「そうだねママ」
美味しそうに先生が作ってくれた料理を食べてるアイの姿を後で先生に送ってあげなければ!
いやぁ~ママの娘に成れて私は本当に幸せ者だなぁ~って思っていた時だった。
「……アクアはちゃんとご飯食べてるかな?寂しがってないかな?」
「アクアはしっかりしているし大丈夫だよ」
「そ……そうだよね?」
誰もが魅了される『アイ』の子供なのに……なんでアクアは家を飛び出しちゃったのか私にはアクアの気持ちが分からない。
ママと一緒に暮らす事なんて、どんなに望んだって出来る事じゃないし……子供が親を愛さないなんておかしいハズなのに……
アクアは一体何を考えて居るんだろう?
ママと一緒に楽しく夕食と言うには遅いご飯を食べながら、私はアイの本物の子であるアクアについて少しばかり考えて居た。
次の日、ママは朝から仕事の様で私が起きた時には既におらず、テーブルにはママが作ってくれた朝ごはんが用意されていた。
「ただいま~」
「あっゴロー先生お帰り! ご飯にする?お風呂にする?それともわ・た・し♡」
「……夜勤明けで匂うからお風呂にするね」
う~ん、こう言った女性を焦らすテクは相変わらずだけど……私は知っている。
ゴロー先生も私が成長してきてからというもの、どことなく視線が泳いでる部分があるのだ。
まぁー私はママの遺伝子を受け継いでるし? 顔は言うまでも無く当然スタイルも良いし、おっぱいも大きくなってきた訳だから……ゴロー先生も意識しない筈がないのだ!
これは私が16歳になった時が楽しみだなぁ~
ニマニマ笑いながら、学校に居たく支度を整えて……あっ宿題やり忘れてた!
まぁ……私アイドルだし? コレもネタに出来る訳だし? 問題無いね!
ポジティブに考える事にしたけれど……一番の問題がそのネタを遣う場面が今の所無い事から目を背けた。
そして、目を背けた先には時計があり、現在時刻は8:10……
「あ~遅刻しちゃう!」
私はママが作ってれた料理を食べる暇も無く急いで家を出た。
学校にはギリギリで着くとクラス内は『特オカ』で盛り上がっていた。
「昨日の見た!?」
「勿論見たに決まってるじゃない! これで1週間私は戦えるわ!」
「一体何と戦うのよ!」
「上原はやっぱり漢としてかっこいいよなぁ~」
「第3話の口裂け男にアイが追いかけ回されて絶体絶命のピンチの時に登場した時には安堵のため息が出たぜ」
「ああ、アイがギャン泣きしたシーンか……」
「最初口裂け女じゃないのかよ!ってツッコミ入れたけど……オカルトよりもあの口裂け男の方が怖かったぞ」
クラスの女子はカミキに夢中で男子は上原って男性に物凄く憧れていたが……確かにアイがギャン泣きしながら無我夢中で逃げてるシーンは……くるものがあった。
まー実際にドラマに出ていた口裂け男みたいな奴がいる筈ないけど……居てもおかしくない異彩の存在感を放っていたが……私が一番驚いたのは、その口裂け男もカミキが演じていたって事だ。
クールな刑事役もそうだけど……イカれたヤクザ役もこなせるとは思って無かったし、しばらくは夢に出るレベルで怖かったし、ママと一緒に寝ていたのは秘密だ。
口裂け男……元ネタは殺し屋1に登場したヤクザの垣原