学校が終わり今日も今日とてアイドルのレッスンの為、苺プロに向かう。
私は一体いつに成ったらデビューさせて貰えるのかと内心不満に思い事務所に着くと……可愛らしい女の子がいっぱい居た!
私は慌てて事務所に入り、社長室に居るであろう壱護さんの所に向かった。
「壱護さん!外に女の子が……女の子がいっぱい居る」
「ああ、B小町もこの前解散した訳だし、ルビーの為に新しいアイドルグループを作ろうと思って募集を掛けて居たんだが……やっぱりB小町の実績が凄いからか結構な人数が集まったな」
「……てっきりデビューさせてくれないかと思ってました」
「なわけあるか!って言いたいところだけど、何も言われず毎日毎日レッスンだけ受けて居たら流石にそう思うよな……すまなかったルビー」
壱護さんはそう言うと私に頭を下げて謝った。
「いえいえ壱護さんがちゃんと私の事を考えて居たのであれば大丈夫です」
「とは言え……採用しました。すぐデビューなんて出来ないからしばらくはやっぱりレッスンの日々だけどな!」
「……あっ、やっぱりそこは変わらないんだ」
「……どんなに凄い原石だって磨かないと光らねーからな」
「私はアイの娘だし? その辺は泥船に乗ったつもりで任せてよ!」
私は壱護さんにそう言って最近大きくなり始めた自身の胸を叩いて見せたが……
「……おバカな部分もアイ譲りなんだよなぁ~」
壱護さんはそう言うと物凄いため息を吐きだしたが、これは一言物申さねば気が済まないね!
壱護さんに一指し指を突きつけて、ビシッと言ってやる
「壱護さんは一体私をどう思っているんですか!」
自分で言っててなんだけどこんなに可愛くて頭も良くて気遣いも出来るパーフェクトガール何処を探したっている訳が無い!
鼻高々にして壱護さんを見ていたら……
「あん? バカで失礼で図太い所だが……?」
「私のどこがバカって言うんですか!?」
「……学校の成績表を見せて貰ったから言うけど、1は無いだけでほぼ全部2だったのに良くそんな自信満々に言えるな?」
「じゃ……じゃあ、アクアはどうなの? 私と双子のアクアだって成績良くかもじゃん!?」
「あーそれなら……ほれ見て見ろ」
壱護さんはそう言うとアクアの成績表を机の引き出しから取り出して見せてくれた。
「う……うぞ!? 私と違って全教科オール5……や、やっぱりアイの子供だから才能が桁違いだね」
「……どちらかと言えばカミキの子だからってのが大きいと思うぞ? ま、なんにせよアクアはルビーと違ってしっかりとやるべき事をやっているし、その結果ドラマや番組に引っ張りだこで、今じゃあ不知火フリルと共演出来るレベルの役者だぞ?」
私と同じ年の子だけど、私と違ってテレビの第一線で活躍している少女だ。
確かキョンシーの映画に姉妹で出てそこから一気に大ブレイクして、そこからダンスに歌にドラマにバラエティーと多岐に渡る活動を行っており、気が付いたら見ない日は無いレベルの超大物タレントになっていた人だ。
見た目もまるで妖精の様な儚げな存在で同じ人間とは思えない……まさに神が作り出したかのような美少女だ。
わ、私だって見た目なら負けてないので、チャンスがあれば大丈夫な筈だと思うけど……それは兎も角!
「わ……私の知らない間にそんな事になっているなんて……」
昔は端役位でしか出番が無かったアクアがいつの間にかそんなに大きくなっていたことに物凄く驚いてしまった。
それに比べて私は未だにアイドル未満だけど、それでもデビューさえ出来ればママみたいな完璧で究極のアイドルに成れる……ハズだよね?
その時僅かだけど自信が揺らいだ気がした。
「壱護~会議室の準備出来たわよ」
「おお! そうかミヤコありがとな」
ドアを開けてミヤコさんがそう伝えると壱護さんも部屋から出て行き……
「やっほー私も仕事終わったからアイドルオーディション見ても良いかな?」
「あ……ああ、それは構わないが……大丈夫なのか?」
「もぅ~佐藤さんは心配性だなぁ~」
「斎藤だ!」
そんな二人のお決まりのやり取りが行われた後、アイドルオーディションを行ったが……
「はい、ありがとうございました! 合否に関しては後日メールにて送らせて頂きます」
「は、はい!よろしくお願いします!」
今最後のグループがようやく終わり会議室から出て行った。
ドアが閉まるのを確認してからママは廊下に誰も居ない事を確認して話し出した。
「うーん……何て言うか……あんまりぱっとした子は居なかったねぇ~やっぱり私が天才過ぎるからそう見えちゃうのかなぁ~」
「……アイの意見は置いといて、アイドルに応募してくるだけあって容姿は問題無いが……問題は性格だよなぁ~」
「そうね。前に出る事に抵抗が無いの大前提なんだけど我が強い子だとトラブルを起こしちゃうし……かと言って、内気な子だとトラブルに巻き込まれるしで大変なのよね」
「今でこそ落ち着いたが、昔の高峯なんかは特に気が強かったしなぁ~」
「ニノだって今でこそ強くなったけど昔は内気だったわね」
「『B小町』は誰一人として協調性が無かったのが原因だったな」
「そうだね! 私以外皆不真面目だったもんね」
「お前は仕事は真面目だったが、プライベートは一番駄目だからな!」
「佐藤さんひっど~い。ミヤコさん今のどう思います?」
「16歳で妊娠して子供産んでいるので、それはしょうがないでしょ?」
「……それは私も色々考えたんだってばぁ~」
昔の話ではあるかも知れないが……協調性がグループには必要だって事が今の会話を聞いてよく理解出来た。
「じゃあそろそろ仕事に戻るわね」
「おう」
「じゃあママ帰ろ!」
「そうだね! じゃあスーパーに寄ってから帰ろうか!」
「うん!」
私とママは帰り支度を始めた時だった。
コツコツと廊下を歩く音が聞こえ始めた。
その歩く音は会議室の前で止まり、ドアをノックする音が聞こえたと思えば……
「失礼します。斎藤社長お疲れ様です」
「おっアクア……番組どうだった?」
会議室に入って来たのは双子の兄であるアクアだったが、久しぶりに見た事もあり背もそうだけどママやカミキの遺伝子のおかげか美形になっていた。
夏服なので体型は分かりやすく、マッチョって訳じゃ無いけれど筋肉質な男らしい身体つきになって来ており、女子ウケしそうな見た目になっていた。
「ええ、リテイクは無かったので大丈夫だと思いますが……後はオンエアで見て見ない事には何とも言えないですね」
「そうだな。尺の都合上ある程度はカットしないといけないが、そもそもリテイクが無いのであれば問題無く使われるだろう」
「そうですか……じゃあ僕も帰りますね」
「おう気を付けて帰れよ」
「はいお疲れ様です」
アクアはそう言ってお辞儀をして帰ろうとした時だった。
「あっアクア良かったら家でご飯食べない? 私もルビーも今からスーパーに行くところだし良いでしょ?」
ママのご飯を食べられるのは基本私達家族だけだし、こんな幸運を享受できるのは今だけなんだから本来迷う必要などないのだが……
「いや……今日は父さんと屋台のおでんを食べる約束しているから辞めておくよ」
お……おでん! よりにもよってママの料理よりもやたいのおでんを取るなんて信じられない!
「屋台のおでんって……もしかして、公園のところにあるやつ?」
「ああ、確かそう言ってた気がするけど、知ってるの?」
「知ってるも何もこの前ヒカル君に私も連れてって貰ったんだよね。確かにあそこのおでんは美味しかったなぁ~」
ママはそう言うと自分の頬っぺたを抑えてそんな事を言い出した。
「う~ん。ゴローさんは泊まりで帰って来ないし……うん、ルビー今日のご飯は屋台のおでんだよ」
「ええ~絶対ママのご飯の方が美味しいよ!」
「あははーそう言ってくれるのは嬉しいけどね。ルビーにも食べって欲しいんだ」
「ママがそこまで言うなら良いけど……」
正直なところ屋台のおでんもコンビニのおでんもそんなに差がある様に思えないし、私の頭の中は既にママの手料理でいっぱいだと言うのに……アクア許すまじ!
これで美味しく無かったらどうしてくれようか……
そんな事を考えつつ私達は屋台のおでんがあると言う公園に向けて歩いて行った。