カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第15話

 芸能人御用達……言ってしまえば馬鹿みたいに高い金額を払う代わりにプライバシーに関しては徹底的に守ってくれるところである。

 

 確かに俺は芸能人である訳なので、何かしら大事な話があるのであればこういった所で食べながらの密談みたいなのをするのは仕方が無いのだろうけど……俺ってそんなに知名度は無いんよ。

 

 確かに四条社長のおかげでモデルの仕事をこなしてはいるし、巷ではカリスマモデルなんて言われているが……プライバシーに関わる所は全部秘密にしている為、俺を見て……モデルやってるカミキさんですよね? って声を掛けられたのはそんなに多くないのだから、よっぽどのガチ勢でも無ければ見破る事は出来ない程なのであるし、役者の仕事は殆ど脇役だから、目立たずされどに存在感もそこそこにいい塩梅でやって居る訳だから、あんまり名前を憶えて貰えてる訳でも無い。

 

 そんな微妙な知名度な俺をここに連れ込もうとしている理由なんて……一体なんだ?

 

「いやーアイから一度聞いた事が合ったから、こういうお店に興味があったんだよね」

 

 雨宮さんはそう言うと嬉しそうに言い始めた。

 まー彼女から聞いたのであれば、一度くらい行ってみたいはあるかも知れないが、……一人で行くには勇気がいるからって事だろう。

 

「……そうですか、では入りますか?」

「そうだね。入口で何時までも居てもしょうがなしね」

 

 俺と雨宮さんは早速お店に入った。

 

 

 お店に入るとすぐさまスタッフの方が来てくれた。

 

「予約した雨宮です」

「ハイ、それではこちらになります」

 

 雨宮さんがそう言うとスタッフはスムーズに対応していたけど……おかしいな?

 

 雨宮さんは元々一人で来る予定じゃ無く……誰かと一緒だったのか? しかし、それなら尚の事、何故俺を呼ぶのかが分からない……

 まー知り合って間もない雨宮さんの交友関係を把握なんて出来るはずも無いのだから気にするだけ無駄だろう……

 

 スタッフに案内されて着いた個室には既に料理が配膳されており、どれも高そうな食材がふんだんに使われていた。

 こういうのは愛梨パイセンに連れて行ってもらうから、気兼ねなく美味しく食べる事が出来るけど……いざ、自分が支払う立場になるとすれば、お会計の金額が気になり過ぎてしまう。

 貧乏生活が長かったので仕方ないとは思っているのだが……この金銭感覚はだけは絶対に手放してはいけないのだ。

 お金は有限で使えば減るなんて当たり前の事を知っているのに無駄遣いをしてしまう人間がいるのは苦労をしたことが無い人間だけだ。

 

「じゃあ、カミキ君はそっちに座って待っててくれ……俺はちょっとトイレに行って来る」

「……分かりました。飲み物先に頼んでおきますけど、何飲みますか?」

「じゃあ、麦茶かな?……カミキ君分かっているとは思うけどお酒は駄目だよ」

 

 何故か釘を刺されてしまったが……生憎この場でやらかす気はサラサラ無いが……しかし、芸能界なので裏で飲んでいる奴は幾らでも居る訳だし……状況によっては俺も飲まざるを得ない事は多々あったけど……だからと言って好き好んで飲んだことは唯の一度も無い。

 

「勿論飲みませんよ」

「そうだな……それが一番だ。じゃあちょっと待っててくれ」

 

 そう言うと雨宮さんは個室から出て行った。

 

 

 それから10分程時間が経過したところで、雨宮さんは戻って来た。

 トイレにしては長すぎるし、見た感じ他のお客は居なかったので混雑する事も無いから恐らく電話でもしていたのだろう。

 

「お待たせ! あっ飲み物も来てるから乾杯しようか?」

「いえいえ、それではソフトドリンクですけど乾杯」

 

 俺はジンジャーエールが入ったグラスと雨宮さんは麦茶が入ったグラスをお互い合わせるとグラス特有の音が小さく響き、俺はジンジャーエールをちびちび飲み始めたが……麦茶と思って飲んだ雨宮さんは「ごふぅ」っと呻きだした。

 

「ってちょっとカミキ君これってビールだよね!?」

「ビールも麦で作られてますし、問題ありませんよね?」

「そうだけど……今日はアルコールを飲む気なんて無かったんだよ!」

「それなら大丈夫です。それノンアルなので、安心して飲んでくださいね」

「……ちなみにカミキ君が飲んでるそれは?」

「これはジンジャーエールですね」

 

 俺がそう言うと雨宮さんは盛大にため息を吐いてしまったが……ちょっとしたいたずらなので笑って堪えて欲しいものだ。

 

「まー雨宮さん。とりあえず……料理が冷めちゃいますから食べましょうか?」

「……そ、そーだね」

 

 そんなやり取りをしながらも、料理に食べて舌鼓を打ち満足していた時だった。

 

 雨宮さんの視線が少し気になる。

 

 お互い喋りながら食べているので、食べるスピードは非常にゆっくりしているけど、腕時計で時間を確認してるの気になった。

 もしや……時間制限って有ったのだろうか? 

 いや、無い方がおかしいか……そういうのは大体1.5~2時間位のハズだろうから、まだ余裕はあると思うけどって考えて居る時だった。

 

 個室のドアが突如開かれた。

 まだ、40分位しか経って無いから飲み物のラストオーダーは早いし、そもそもスタッフなら一旦ノックするはずだ。

 となればこれは…… 

 

「ゴローさんお疲れ~! いやーライブ頑張ったからもうお腹ペコペコだよ~。あっ! ヒカル君もさっきぶりだね~」

 

 や、やられた!

 アイがニコニコ笑ってはいるものの、目だけは笑っておらず入って来た。

 いや、なんかおかしいとは思ったんだんよ。

 そんなに知名度が有る訳ない俺と一緒にこのお店に来たのがそうだし……そもそも男同士だからスキャンダルも何も起きる訳がないのだ。

 

 つまり……配慮しないといけない相手が後から来るって事になるし……雨宮さんの交友関係で現状該当しそうなのってまさしく『B小町』のアイしかいないじゃん!?

 

 一瞬で口の中が渇いてしまい俺はジンジャーエールで喉を潤してから答えた。

 

「……アイさんライブお疲れさまでした」

「ヒカル君が赤いサイリウムを振ってくれたらもっと頑張れたよ~」

 

 いや、それは雨宮さんので満足して欲しい。

 

「そ、そうですか……ところで雨宮さんとアイさんは今付き合ってるんですか?」

 

 俺がそう質問した瞬間雨宮さんは誰が見ても動揺してるのが丸わかりになり、アイは目をキラキラさせて輝いていた。

 いや、別に……この世は男と女の世界なんだから、求めて求められるのは自然な事だし、問題は無いだろう。……年齢の事は一旦置いといて

 

「そうなの! 今ゴローさんと一緒に生活してるおかげで赤ちゃんの面倒も大丈夫だし上手く行ってるのよ!」

 

 そのゴローさんは今この場に居る以上……赤ちゃんの面倒は今誰が見ているのでしょうか? って言う質問はかなりの地雷ワードな気がしてならないし、俺は苺プロとは関係無いから踏み込むことはしてはいけないな

 

「そうですか……ところで赤ちゃんは可愛いですか?」

「あっ! そうそう赤ちゃんは双子で男の子がアクアマリンで女の子はルビーって言うの二人とも物凄く可愛いんだけど……ルビーは私やゴローさんに物凄く懐いてくれるし、頭も良さそうなんだけど……アクアがそれに比べて夜泣きが凄いんだ~。ほら、私まだ10代だからびっくりしちゃってね」

 

 よ、良かったぁ~

 アクアは普通の子供で無事に生まれたようで何よりだが……こうなるとアクアが不憫でならない。

 ルビーは確か……さりなちゃんだったっけ? が転生している以上推しのアイと大好きな雨宮さんが居れば何も問題無いだろうけど、アクアだけが居たって普通で有る以上この環境は良く無いだろう。

 アイはあっぱっぱーであるけど、子供に対しては平等に接してくれるとは思うし、産婦人科医の雨宮さんが居る以上フォロー出来るだろうけど……アクアの逃げ道だけは作ってあげておかないといけないな。

 アイとは別れているものの、その子供は俺の血を引いてる以上……責任はあるのだ。

 

「……2人にこんな事を言うのはおかしいですし、私にそんな事言う資格は無いかもしれませんが、もし……アクアでしたっけ? その子の面倒を見切れない場合は私が引き取って育てます」

 

「「カミキ君(ヒカル君)!」」

 

 二人に向かって頭を下げたら、物凄く驚かれたけど……出来る事ならすくすくと何不自由なく育ってもらいたいものだが……それは恐らく難しいだろう。

  

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