カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第155話

 カミキヒカルとして生を受けて30年近く立つが……まさかこんなことをする事になるなんて夢にも思わなかった。

 

 只今俺はバイクでかなの中学校に来ていた。

 放課後と言う事もあり、下校する生徒が多く……校門前の道路脇にーヘルメットを外している事も関係あるのか……遠巻にこっちを見てはキャーキャー言っているのが聞こえており、微かに「もしかしてあの人……神裂様かな?」「絶対そうだよ!」って声も聞こえている事から以外にもドラマの影響があるようで知らない内に俺も有名になっていたようだが……カミキヒカルとは呼ばれてはおらず、役名の方が一人歩きしていた。

 うーん役者としては嬉しいけど……まぁ……今後に期待だな。

 

 そんな衆人環視の中俺が何をするかと言えば…………かなとのデートだ。

 俺自身デートをした事は……確かアヤセ位しかなかった気がする。

 確かあの時は映画館に行って映画を見たような気がするけど……その後はどうだったけっな?

 多分俺の事だから最終的にはホテルに連れ込んでやっていたかもしれないが……アヤセは年上で大人だったし問題は無かった。

 

 しかし一緒に暮らしているニノやカナンにましてや彼女のゆらとデートをした事有るかと言えば……俺の認識上では無い気がする。

 ニノに関して言えば、一緒にスーパーに行くことは良くあったが……それをデートに数えるのはどうかと思うし、カナンは……時間が合わないから難しかった。

 

 一緒に暮らしていた訳なので家デートと言い張る事も出来るけれど……流石にそんな事を言う訳にいかない。

 

 ニノもカナンもその辺りの事は各々で納得しているようなので、その事に不満は無いようだけど……だからと言ってかなに自分達と同じような経験をさせないように今回デートをすることになったのだ。

 

 不純異性交遊ではなく、あくまで健全なデートの範疇ではあるが……うーん、そう考えるとバイクは辞めておくべきだったか?

 

 しかし、ニノもカナンも絶対バイクが良いと言って聞かなかったし……そう言ったシチュエーションに古今東西女性は憧れるのだろう。

 

 そんな事を考えつつ、ペットボトルをカバンから取り出して飲み始めた所で……

 

「カミキお持たせ!」

 

 制服の上にコートを羽織ったかながようやくやって来た。

 表情を見ると物凄く嬉しそうにしていた事から朝から楽しみにしていたのかもしれないな。

 まーニノやカナンとデートしたこと無いって知った所為だろうけど……

 

「いえいえ、それでは行きましょうか? 荷物はこっちに入れてくださいね」

「うん!」

 

 俺はかなにヘルメットを渡し、空いたスペースにカバンを入れてもらった。

 その後俺がバイクに跨るとすぐさまかなも後ろに座り、俺のお腹に両手を回してしっかりと抱き着いた。

 

「ところで何処に行くの?」

「ありきたりですけど……映画なんてどうですか? 今恋愛映画が話題みたいですしね」

「そうなの? 私は構わないわ」

「それでは行きますよ?」

「は~い」

 

 俺はかなにそう声を掛けて、自身もヘルメットとゴーグルを付けて映画館に向けてバイクを走らせた。

 

 

 

 

 映画館に着くと丁度見ようと思っていた恋愛映画『今日は甘口で』が10分程で始まろうとしていたが、平日で16時頃と言う事もあり、人はまばらでしかおらずかなり空いてるようだ。

 

「ね……ねぇ? 見たい映画ってもしかして『今日あま』の事?」

「そうですけど知ってるんですか?」

「ド名作じゃない! 逆に知らない方が可笑しいわよ」

「そ……そうですか」

 

 かなは物凄い驚いていたけれど……これはどうやら期待出来そうだな。

 

「じゃあ行きますよ」

「え!? チケットまだ買って無いわよ?」

「いえいえ、もう抑えて来ました」

「や……やるじゃない!」

 

 そりゃ……午前中暇だったからね。

 

「かなは何か食べますか?」

「そうね……じゃあポップコーンでも食べようかな?」

「わかりました。飲み物はコーラで良いですか?」

「ん~お茶でお願い」

「では買って来ますのでちょっと待っててくださいね」

「私も行くわ」

 

 まーせっかくのデートな訳だし、一緒に選ぶのも有りだろう。

 

「いらっしゃいませ!何になさいますか?」

 

 売店の店員さんは気持ちの良い笑顔を向けてそう言ったが……恐らく中学生のデートだと思われているのだろう。

 まー俺の身長低いし、かなはそもそも制服姿だからそれも勘違いさせる要因なんだけど……

 

「じゃあ、このポップコーンセットを二つと飲み物はコーラとお茶と後ホットドックお願いします。」

「かしこまりました。ポップコーンセット二つと飲み物がコーラとお茶とホットドックですね。ポップコーンのお味はどうしますか?」

 

 ショーケース内を見て見ると塩・キャラメル・ブラックペッパーと三種類あった。

 どうせなら三種類食べてみたいが……どうしよかな?

 

「私キャラメル」

「わかりました。それではキャラメルとブラックペッパーと単品で塩もお願いします」

「かしこまりました」

 

 店員さんはすぐさまドリンクをセットし入れてる間にショーケースからポップコーンを取り出して、お盆に乗せ始めた。

 そうこうしているとバックヤードから別の店員が出て来てホットドックをお盆に乗せる。

 ドリンクはまだかかるようだが……

 

「それではお先にお会計からお願いします」

 

 レジに表示されている金額は2000円だった。

 

「それでは現金でお願いします」

 

 野口っさんを財布から2枚取り出しているうちにいつの間にかドリンクも出来ていた。

 

「ハイ、2000円丁度頂きます」

 

 お会計を済ませてお盆を受け取るとキャラメルの甘い匂いが鼻腔をくすぐる。

 

「ねぇカミキ映画もうすぐ始まるから早く行こう!」

 

 かなは『今日あま』がどうやら楽しみみたいだ。

 

「わかりました」

「うん」

 

 その後俺とかなは劇場入口のスタッフにチケットを見せて言われた番号のスクリーンにに向かう。

 

 入った時に席を見渡すと空席が目立ち……というか俺とかな以外に人は全く居なかった。

 

「……誰も居ないわね。ところで席って指定なの?」

「いえ、自由席ですね」

「こんな広い空間私達だけなの!?」

「そうですね」

 

 かなの言いたい気持ちは分からないでも無いけれど……この広い空間を立った二人だけで満喫出来るなんて物凄い贅沢な事だ。

 

 俺とかなは真ん中の席に座り、映画が始まるのを今か今かと待ち構えるのだった。

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