カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

161 / 206
第161話

「私も神裂様に心の鍵を開けて貰いたいなぁ~♡」

「あのシーン凄かったもんね! 演技だと思うけど……あの場面のアイの表情は正に花咲く乙女って感じだったし、見ていて自分の様にドキドキしちゃったもん!」

 

 クラス内は相変わらずカミキとママの出ているドラマの話題で賑わっていたけど……その時一人の女子が私の元にやって来た。

 

「ねぇルビーちゃん。アクア君最近どんな感じ?」

「んー? 元気だったけどどうかしたの?」

 

 実際に私がアクアと会えるのは事務所内だけだけど、それでも毎日会っている訳では無いし、挨拶はするけどお互いに喋る事はほとんど無い。

 

 家族ならもっと仲良くするものだけど……ママが最推しな私と母親としてしか見ていないアクアでは温度差もあり、兄妹なのに仲は良くないのだ。

 全くアクアは本当に感謝した方が良いと私は常々思っているのだ。

 アイドルを引退したとは言え、ママの凄さは何一つ色褪せはしないし、今もなおキラキラと輝いており、そんなママの子供として産まれた幸運に喜ぶべきなのだ。

 そんな羨ましがられる環境を飛び出したアクアに私は思う事もあり、私から喋りかける事は無いけれど……

 事務所でママが寂しそうにアクアの後ろ姿を見ている姿を何度も見ている所為かアクアに対してはファンである私はどうしたって腹が立ってしまう。

 しかし、そんな事をこの子に言うのは間違い無くマイナスイメージだから、私は当たり障りのない返答をしてしまった。

 

「ほら……小学校からの友達だけど学校が違うから会えてないし、アクア君も今番組に出るようになって忙しそうだから……ちょっと気になってね」

 

 彼女はそう言うと顔を赤く染めて恥ずかしそうにそう言った。

 この様子を見るに彼女はアクアにお熱のようだ。

 確かにアクアはカミキやママの遺伝子も相まってまるで外見はおとぎ話の王子様みたいだし、最近は成長期なのか身長も伸びており、女性からの人気が凄い事になっている。

 

 昔は子役の仕事も中々無かったのに今じゃあ番組に引っ張りだこみたいだし、私と違い芸能人としても順風満帆なのだ。

 

 私だってダンスや歌のレッスンを頑張っているけど、ダンスは兎も角……歌が難しいのだ。

 一応ママにも相談してみたけれど……

 

『うーん……今は努力あるのみだね! ルビーは私の娘だからいずれ誰にも負けないアイドルにきっと成れるよ!』

 

 ママは笑顔でそう言ったけど……いずれって何時なんだろう?

 確かに初めてと比べて自分が成長している事は分かっているけれど、カラオケで初めて歌った『サインはB』の38点っていう点数を見た時の衝撃は今でも忘れる事は出来ないのだ。

 

「何? アクアの話?」

 

 そう言ってこっちに来たのは以前アクアに飛行機のパイロットになるのが夢だと言っていた男子だった。

 あの時クラスで聞いていた誰もがお前じゃ無理だと思っていた筈なのに……アクアだけが彼に対して誠実に対応していた。

 そんなやり取りがあった所為か、この男子の成績は徐々に良くなっており……今じゃあ勉強が出来るバカと呼ばれているのだ。

 私が内心そんな事を考えて居ると先にいた彼女が素っ気無い態度をし始めた。

 

「そうだけど?」

 

 そんな彼女の態度も知ってか知らずが男子はアクアの話になると目を輝かせて喜んでいた。

 

「いや~アクア凄いよな。俺もアクアの出ている番組見ているけど……何て言うか、小学校の時とは違って愛嬌が出て来たよな」

「そうそうそう! あんたみたいなバカに対してもちゃんと分かりやすく勉強教えるぐらい面倒見も良かったのに……時折見せる屈託の無い笑顔がたまんないわ!」

「本人目の前でそんな事言えるお前は図太いけどな!」

「何よ!」

「何さ!」

 

 2人はそう言うと途端に言い合い始めてしまったが……それが2人にとって……いや内のクラスの日常なので……

 

「おいおい、またあの2人の夫婦喧嘩が始まったぜ」

「アクアの話題をすれば途端に寄って来るけど、2人が揃うと言い合いになるのは小学校の時から変わらないよな」

「それを止めるのもアクアの役目だったけど……その肝心のアクアが違う学校に進学しちゃったしなぁ~」

「まぁ~アクアは負けず嫌いだし、勉強も頑張っていたから当然っちゃ当然なんだけどな」

「それに比べて……ルビーはなぁ~」

「おいおい、辞めとけって」

 

 遠巻きからそんな声が私にも聞こえて来た。

 彼らはアクアは頑張っているが私は頑張っていないとでも言いたいのだろうか?

 

 確かに私はテストの成績は悪いけど、それはアイドルに成る為に日々のレッスンを頑張っているから仕方が無い部分がある。

 その点に関してはママもうるさく言うつもりは無いようだけど……やっぱり赤点の時だけは迫力のある笑顔でお説教されているのだが、しかしこれに関しては私にだって言い分はある。

 そもそもアクアと私は双子ではあるものの、私は転生者だから純粋なアイの子供とは言えない部分があるので、頭の良さに関しての才能は受け継がれる事は無いのだ。

 実際に芸能活動をしながらも学校の勉強を疎かにしないで結果を出せる人なんて、それこそ私の周りにはアクアとロリ先輩位しか居ないし、そんな少ない成功例出す事の方がナンセンスなのだ。

 

 つまり、私が言いたいのは私はアイドルに成るから勉強が出来なくても仕方が無いと言う事だ。

 勉強に当てる時間があるのならば、その時間を一分一秒でも長くアイドル活動に私は当てたいのだ!

 

 私は学校が終わると同時にすぐさま駆け出して、事務所に向かった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。