カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第162話

「おはよー」

 

 苺プロに着き開口一番にそう声を掛けてドアを開けるとそこには……ママとこの前連れて来られたメムさんと金髪の美少女が居た。

 

「ルビーおはよう」

「おはようルビーちゃん」

「……おはようございます」

 

 ママの方を見ると口元がニヨニヨしていることから物凄く嬉しそうなのが丸わかりだけど……何か良い事でもあったのかな?

 朝の段階では普段と変わらずニコニコしていたけれど……私が学校に行ってる間に何かあったのは間違いない筈!

 しかし、それとは別に金髪の美少女は何処か憂いを帯びた表情をしてるが、ママと並んでいても霞む事は無く、存在感を出していたけど……こんな美少女が世に存在していた事に私はびっくりしてしまった。

 

 私はアイの娘で見た目だけなら最上級と言っても過言ではないレベルだと思っていたけれど……この美少女の前では自信を喪失してしまいそうになった。

 この儚げで可憐な少女はアイと同レベルの100年に一人の逸材だ。

 私と同じ金髪なのにその低い身長は少女の儚げな雰囲気を強調し、見るものの心を鷲掴みし離すことなど出来ない……まさにアイドルに成る為に生まれたアイドルの申し子の様な存在だった。

 

「あれ? どうしてアイがここにいるの? それとその子は誰かな?」

 

 本当はアイの事をママ呼びしたいけれど……流石にメムさんや知らない子の前でそんな事を言えるはずが無いので、仕方無く……本当に仕方なくアイ呼びしてしまった。

 

「あっ!ルビーは知らないんだぁ~この子はねぇ~時たまカナンの動画に出ているひかりちゃんだよ」

「……ひかりです」

 

 鼻息を荒くしてママは金髪の子ひかりちゃんを紹介してくれたけど……ママが相手の名前を憶えている事から、このひかりちゃんは才能があるのは間違い無いようだ。

 

「……もしかして、ひかりちゃんは私達と一緒にアイドルをやってくれるのかな?」

 

 ママが認める才能の持ち主ならば私達は絶対に成功するし、この場に居るって事はつまりそう言う事で間違い無いようね!

 私は期待を膨らましてそう尋ねた。

 

「それはとても面白い事になりそうだね! 私はとても良いと思うけどひかりちゃんどうかな?」

 

 目をキラキラ輝かせてママは私に同調してくれた。

 こんなに可愛らしいママのお願いを断れる人がこの世に存在するだろうか? 否! そんな人が存在出来る筈無い! 私だったら『ハイ』と即座に返事をしてしまうだろうし、寧ろそこまで、求められるひかりちゃんに少しばかり嫉妬してしまうレベルだったけど……

 

「……すみません。私はこれでも忙しいので、アイドルはちょっと……」

「やっぱりだめかぁ~」

 

 まさかママのおねだりを断れる人がいるなんて……ひかりちゃん一体何者なの!

 

 私は内心そう思いつつ、ここまで黙っているメムさんにそっと近寄り話を掛けた。

 

「メムさん……ひかりちゃんって一体何者なのかな?」

「さ……さぁ? 私もちょっと分からないなぁ~」

 

 どこか目が泳いでるメムさんだけど……本人が分からないっていうなら多分分からないのだろう。

 

「じゃあ、今日は二人の歌唱力をあげる為にこれからカラオケに行くよ~」

 

 ママはそう言うとすぐさまタクシーを呼ぶためにスマホを取り出した。

 私はまだ中学生なのでお小遣い制な事も有り、懐はそんなに温かくは無いし、メムさんは家庭の事情があるので、なるべく出費は避けたいと思っている筈だけど……歩いてカラオケまで行くにはママは有名人過ぎるし、トラブルに巻き込まれ無い様に配慮するのは当然だろう。

 

「あっお金の事なら気にしないで、今回は私の奢りだからね! 食べ物とか飲み物もどんどん注文して良いからね」

「良いんですか!」

「勿論! 可愛い後輩の為ならそのくらいするよ!」

 

 ママはとびっきりの笑顔でそう言ってくれた。

 考えて見ればママとカラオケに行くのはこれが初めてだし、私としてはかなり嬉しいけれど出来れば家族全員で行きたいなと思ってしまった。

 

 そうこうしているうちにタクシーが到着してので私達はタクシーに乗り込みカラオケ店に向かって貰ったが、4人いる為誰かが助手席に座る事になるので後ろ座席は取り合いになるだろうと私は思っていたが、助手席にはひかりちゃんが躊躇いも無く座ってしまい私・ママ・メムさんの順番で後部座席を座る事が出来たので、揉める事無く私達は車内を満喫する事が出来た。

 

 

 

「よ~しじゃあ早速歌おうか!」

 

 カラオケに着くなりママはマイクとデンモクを私とメムさんに渡したが……ママとカラオケに行く機会なんて今後あるかも分からないし、カラオケとは言えママが歌えばそれはもはや単独ライブに他ならない以上ファンとして逃すはずが無いのだ。

 

「じゃあ一番はアイの『サインはB』が聞きたいなぁ~」

「アイさんお願いします」

 

 私とメムさんにそう言われてママは少しばかり思案したが……何かを思いついたようで、マイクの一本は自分で持ちもう一つはひかりちゃんに差し出し……あれ?ママ一人で歌うんじゃないの!?

 

「もぅ~二人とも仕方ないなぁ~じゃあひかるちゃん一緒に歌おうか!」

「……わかりました。でもその前に何か飲み物と食べ物頼みますけど皆さん何飲みますか?」

 

 そう言ってひかりちゃんは内線の受話器を取り始めた。

 

「私はコーラで」

「私も!」

「私はカルピス!」

「分かりました。すみませんコーラ2つとカルピス2つとメロンソーダ1つとピザとポテトとハニトーお願いします」

 

 ひかりちゃんは内線で注文を入れたけど……結構ガッツリ食べるタイプの様だ。

 

「お待たせしました」

 

 注文を終えたひかりちゃんはママから差し出されたマイクを受け取り……

 

「ダンスはここでは狭いので歌だけにしましょうね」

 

 ママとひかりちゃんはそう言うと正面に移動して二人並び始めた。

 

「そうだね~じゃあ二人ともちゃんと聞いて勉強してね」

「「は~い」」

 

 私とメムさんは両手にマラカスを持ちたっぷり堪能……もとい勉強することを約束したけど……流石にひかりちゃんは役不足なんじゃないかと思っていた。

 しかし、私が思っていた事は全くの杞憂で曲が流れ始めた時にはママもそうだけどひかりちゃんも雰囲気が変わり……

 

『『ア・ナ・タのアイドル』』

『『サインはB♡』』

 

 アイドル時代の時よりもより輝いて見えるママで全盛期が今と言われても過言じゃないレベルなのに……それに負けないひかりちゃんに私は目を奪われていた。

 

 

『客席が居ようが居まいが関係ない』

『会場が大きい小さいとか気にしない』

『『ちゃんと見えてる君のサイリウム』』

 

 まるでずっと前から一緒に歌っていたようにママとひかりちゃんの息は合っており……思わず失禁するんじゃないかと思える程私は物凄く興奮した。

 

『『ア・ナ・タのアイドル』』

『『サインはB♡』』

 

 しかし、幸せな空間と言うのは無常なもので、2人の歌は終わってしまった。

 

「いや~久しぶりに歌ったよー」

「お疲れ様です」

 

 曲が終わり採点が始まると……モニターには100点とでかでかと表示されていた。

 

「す……すごかったよ。アイは兎も角ひかりちゃんもすごかった! ひかりちゃん一緒にアイドルやろーよ」

「アイさんに見劣りしないって本当に凄いです」

「お誘いはありがたいですけど……すみません」

 

 ひかりちゃんはそう言うと苦笑いしながら断ったけれど……何とか一緒にやる事は出来ないかな?

 

「うんうん、流石ひかりちゃんだね♡ じゃあ私とひかりちゃんでユニット組まない?私ひかりちゃんとなら全然良いよ」

 

 そう思っていたまさかのママからのラブコール来ていた。

 さっきの二人の歌声を聞いたらもっと聞きたくなるし、ママとひかりちゃんならそれこそ誰にも負けない最強のユニットなのは間違い無いし……それはそれで見てみたい!

 

「ダメです」

「……だめかぁ~」

 

 しかし、ひかりちゃんはハッキリ断ってしまった。

 う~ん物凄く勿体ないけれど……こればかりは本人次第だし、仕方が無いかぁ~

 

「じゃあ次はルビーとダムちゃんの番だね」 

「アイさん……私はメムですぅ~」

「あれ? ごめんねぇ~間違えちゃったねぇ~」

 

 アイはそう言うと舌ペロッと出した……はっきり言って可愛い!

 これが三十手前なのだから凄いけど……外見だけなら未だに20代前半にしか見えないのだから一体老化はどうなっているのか疑問に思うけど……アイドルは老けないのだ!

 

「じゃあメムさん歌うよ!」

「あの二人の次に歌のは気が引けるけど……頑張ろう!」

 

 私とメムさんがマイクを握る。

 

「歌うのは『サインはB』で良いの?」

「「ハイ」」

 

 ママにデンモクを操作してもらい、曲を入れて貰うとすぐさま流れ始めた。

 

 ママとひかりちゃんの歌った後って事で気後れしちゃうけれど……私負けない

 

『『アナタのアイドル』』

『『サインは「すいません。ご注文のコーラ二つとカルピスとメロンソーダとピザとポテトとハニトーになります。」……あっはい」

 

 運悪く、店員さんの注文が届いてしまい私とメムさんは恥ずかしさの余りその後声が全く出なかった。

 

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