カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第163話

 歌っている途中でハプニングがあった所為で、恥ずかしさのあまり声が出ないまま終わってしまい私とメムさんの採点結果は……35点といつも以上に低い数値となってしまった。

 

「え……え~っと、これは途中で店員さんが入って来ちゃったからってのもあるし?」

「そ……そうだよ。普段はもっと……とは言えないけど、もう少しマシな点数なんだよ?」

 

 私とメムさんは必死に言い訳をし始めたけど……ママの意見は違った。

 

「う~ん、確かにルビーやエムちゃんが言うようにそういったアクシデントは今後あり得るけれどね……それで歌えなくなっちゃうのはダメかな?」

「「うぐぅ」」

 

 ママの意見は至極もっともで私とメムさんはダメージを受けてしまった。

 確かに店員が入って来たからと言って恥ずかしくなって歌えなくなるアイドルなんて聞いたこと無いし、これは当然の事ではある。

 

「ひかりちゃんはどう思う?」

 

 ママは隣でピザを食べてるひかりちゃんにそう尋ねると、ひかりちゃんはピザを食べていた反対の手でメロンソーダが入ったコップを持ち、ピザを流し込んでから答えた。

 

「……その辺りはアイさんと同意見ですね」

 

 そう言ってひかりちゃんはピザのソースが付いた指を舐め始めたけど……その様子をママが食い入るように見ているのはなんでだろう?

 

「……ちなみに採点結果はこれだけど歌自体はどうでした?」

「私は人様の歌声にケチを付けられる程偉くは無いですけど……強いて上げるなら、何も感じませんでしたね」

 

 メムさんの問いかけにひかりちゃんはポテトを食べつつ答えたけれど……感じるって何だろう? ちょっと抽象的過ぎて分からないよ

 

「それってどういうことなのひかりちゃん」

「……これは私の考えなんですけど、歌は上手い下手かはあんまり関係無くて重要なの気持ちが乗っているかどうかだと思っています。……なので、どんなに歌が上手くて耳障りの良い歌詞であってもそこに感情が乗っていないのであれば人には届かないと思います」

 

 ひかりちゃんはそういうとハニトーを美味しそうに食べ始めたが……

 

「……ね、ねぇひかりちゃん……そのハニトー私も食べて良いかな?」

 

 目の前でハニトーをひかりちゃんが美味しそうに食べているからかママもどうやら食べたくなったようだ。

 

「え!?……どうぞ」

 

 一瞬驚いたひかりちゃんだけど、ママの方に皿を移動してあげたが……

 

「女の子同士なんだから照れなくてもいいのに♡」

「私にそっちの気はありませんよ」

「もう~ひかりちゃんは照れ屋さんだねぇ~」

「……はぁ~わかりました。あ~ん」

「あ~ん♡」

 

 なんだろう……ママとひかりちゃんが途端にイチャイチャし始めた。

 先生は兎も角男っ気がママにはあんまり無いし、そう言った噂なんて……昔同級生の男の子と街中でばったり出くわしたのが偶々写真で取られた位しかなかった筈だ。

 

 そう考えると……いや、カミキに対してはママはデレデレしていたし……安易に考えるのは如何な物かと……しかし、仮に……もし、仮にママが百合もイケるなんて事になったら娘の私は一体どうすれば良いのだろうか?

 

「ルビーさんもメムさんも喉を傷めたらいけませんので、休みながら頑張りましょうね」

 

 ひかりちゃんはママの相手をしながらも私達に気を遣ってくれているけど、それとは別にして結構な勢いで食べ物が減っているが……お腹空いてるのかな?

 

「わ……私も頂きますね」

「あっ……私も食べるよ~」

 

 歌の練習をする為にカラオケに来たはずなのに……女子会をしてる気になるのは気の所為かな?

 

 コーラを飲みながらポテトを食べて先ほど、ひかりちゃんの言っていた感情が乗るとはどういうことなのか考えて見た。

 

 その後は休みながらも歌い続けて……気が付いた時には既に終了間近となっていた。

 

「それではそろそろ時間ですので帰りましょうか?」

「そうだねぇ~今日はひかりちゃんありがとうね♡」

「いえいえ」

「あっルビーにメムちゃん忘れ物は無いよね?」

 

 ママに言われて私は忘れ物が無いか周囲を確認するもの特に問題無かったが……そこで違和感を感じた。

 

「私はメムですよぅ~」

「あれ~間違ってたかな?」

「あっ!」

 

 ママはそう言うとしてやったりと言う顔をし始めて、メムさんはあわあわし始めた。

 一体いつから覚えれるようになったのか分からないが……ママがようやくメムさんを認識出来たのは良い事なのは確かだ。

 つまりママが認識出来たって事は、このカラオケでメムさんに何か光るものを感じたのは間違い無い筈なので、私達のアイドルユニットが売れる可能性は出て来た筈だ。

 

「ところでお会計はどうしますか?」

「勿論私が払うよ! なんたって事務所の先輩だしね」

 

 ママはそう言うと自身の胸を叩いてそう宣言した。

 

「アイさんありがとうございます」

「アイさんに奢って貰えるなんて……」

「それでは外で待ってますね」

 

 そう言って私とメムさんとひかりちゃんは外に出ようとしたが……

 

「あっひかりちゃんはちょっとこっちに来てね」

 

 何故かひかりちゃんだけ捕まってしまい、私とメムさんの二人が外で待つことになった。

 何か理由でもあるのだろうか?

 ドリンクは確か飲み放題だったけど……フードは確か……ポテトに……ピザに……ハニトーっとその後にから揚げだったり、パフェも頼んでいたから少しばかり高くついてるかもだけど……ママだったらかなり稼いでいる筈なので、支払いは問題無い筈だ。

 

 そんな事を考えてちらっと眼に入ったフードの料金を見て見たら……意外にも高い金額であり、その中でもハニトーはまるまる一斤使っており、生クリームや果物も乗っていたから結構な金額だった。

 中学生で尚且つお小遣い制の私には物凄く厳しい品物であったのは確かだけど……それに見合った味なのは確かで、私もひかりちゃんにあーんをおねだりしたところママと違い簡単に了承して貰えたが……メムさんはそう言えば顔を真っ赤にして食べていた。

 

 まぁ~ひかりちゃんクラスの美少女にあ~んして貰えるなんて中々無い出来事だから恥ずかしがるのは仕方ないよね。

 

 そんな事を考えつつ外で待っていたらママとひかりちゃんもようやく出て来た。

 

「アイさん大丈夫でしたか?」

「ん? 勿論大丈夫だよ! ひかりちゃんが会員だったみたいだから、ポイントも付いたみたいだし、またみんなで来ようね」

「勿論です」

「じゃあ、今日は解散って事で……私はちょっとひかりちゃんとお話があるからまたね」

「それではみなさん失礼します」

 

 ママとひかりちゃんは一体どこに向かうのか分からなかったけど……私とママの関係性を知らないメムさんが居る以上はそう言った配慮も有るのかも知れないし、もしかしたらひかりちゃんの説得をママがしてくれるのかもしれないと淡い期待を私はしていた。

 

「じゃあ、私達も帰ろうか?」

「そうだね」

 

 私もメムさんもそれぞれ家に帰る事にした。

 

 カラオケ店から家まではそこまで離れておらず、特にトラブルも無く家に着いた。

 ドアを開けると、そこには……

 

「ルビーお帰り」

「先生ただいま!」

 

 私の大好きな先生がおり、夕食の準備をしてくれているのかエプロン姿で出迎えてくれた。

 

「先生今日ねママとさっきまでカラオケに行ってたんだぁ~そこでママに『サインはB』を歌って貰ったんだよね」

「本当かい! 俺もアイの生の『サインはB』聞きたかったなぁ~」

 

 先生はそう言うと物凄く残念そうにしており、肩をがっくり落としてしまったが……落ち込んでいる先生も大好き。

 

「そう言うと思って……実は動画取ったんだよね。後で一緒に見よ!」

「勿論!」

 

 アイのファンで有る先生は動画でも喜んでくれる。

 実際は生で見たいのはファンとして当然ではあるけれど……私の練習も兼ねているし、先生とアイの関係もややこしい部分があるので、表に出せないのだ。

 これでママと先生が結婚していたら、そう言った部分は解消出来るけど……ママには結婚願望が無いみたいで、私としてはそれは嬉しくもあり悲しくもあるような複雑な部分でもある。

 しかし、見方を変えれば私が先生と結婚出来るという事なのだ!

 さりなの時は16歳まで生きられなかったけど……今の私は至って健康だし、16歳どころか100歳まで生きられる筈だ!

 

 確か先生は今40代だっけ? つまり……先生からすれば幼な妻を貰う形になる訳だし?

 寧ろ役得と言っても過言じゃ無い筈だ!

 

 楽しそうに夕食の準備をしている先生を尻目に私はそんな事を考えて居た。

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