カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

173 / 206
第173話

「まるでアニメから飛び出して来たかのような中性的な容姿に加えて、小動物を思わせる身長はまさしく蘭丸そのもので、異性同性問わず今まで見て来た中で一番可愛らしく、つまり何が言いたいかと言えば……今の私なら砂漠に落ちた一粒の黄金ですら、一瞬で見つけることが出来る位視力が良くなりました!」

 

 撮影が終わった後フリルは恍惚な笑みを浮かべており、早口で語り出した。

 距離を取ろうにも両手をがっちり掴まれてしまっているので逃げる事は出来ずに俺はメイド姿のままだった。

 

「そ……そうですか?」

 

 俺はなんとかそれだけ言う事が出来たが……こんな光景をかなが見たら何か言われるんじゃないかと思い、後ろを見ると……かなはかなで網膜に焼き付けようとしているのかガン見しており、そんな姿のかなをあかねは少し距離を取りつつも、後方理解者面しつつ見ていた。

 

 多分かながウェイトレス姿をしているからか、あかねは表情とは裏腹に脳内フォルダに保存しようと頑張っているのだろうけど……やっている事は思春期男子と同じなんだよなぁ~

 

「撮影は終わりましたけど……良かったら私の家でこれから両親とお姉ちゃんも交えながら夕食なんかどうですか? カミキさんの事をもっと深く知りたいです」

 

 初対面とは言わないまでも、そこまでの関係値はまだ築いて居ない筈なのにフリルは俺との距離間をマッハで詰めて来た。

 最近の中学生は肉食系なのだろうか? 分かっているのはかな位なので判断材料に困る。

 これがせめて高校生ならばと思わずにいられない魅力を放つフリルに俺は勿体ない事をしていると思いつつも断るしかなかった。

 

「それは大変嬉しいお誘いなんですけど……流石に突然お邪魔するのは良くないですし、時間が空いてる時にでもお互いを知って行きましょうか?」

 

 女たらしの俺だけど……流石にこればかりはあきらめざるを得ないと思い、断腸の思いで断ったが……

 

「流石カミキさん……普通の男性なら一も二も無く飛びつくのに……」

 

 フリルはそう言うと目を輝かせてしまった。

 いや……俺も飛びつきたいどころか、許されるならルパンダイブ決めてやりたいレベルなんだけど、俺には俺のルールがあるのだ。

 

「……そんなに褒められることでも無いかと?」

「いえいえ「フリルさーん次のお仕事が迫っているので急いでくださーい」……残念」

 

 フリルはマネージャーに引きずらて車に無理やり乗せられてしまった。

 この時ばかりはフリルのマネージャーに感謝したが……マネージャーが来なければ俺は一体どこまで我慢出来たのだろうか?

 

 自問自答したところで結局のところ女たらしである以上やることは唯一つなので、今回は助かったと思うべきだろう。

 

「兄さんそろそろ帰ろうぜ!」

「……ええ、帰りましょう」

 

 トリップしているかなとあかねを俺と大輝君で車に運び、監督たちにも挨拶してから帰路に着いたのだったが……この時の俺は自分と世間の評価がどれほどズレていたのかを知らなかった。

 

 その後は大輝君とあかねを家まで送り、かなと共にスーパーに行き特売の卵を買った。

 その時も少なからず視線はあったが……かなに対してのものだと思い気にも止めていなかった。

 

 そして、ドラマが放送されてから……俺の知名度は一気にあがり始めた。

 

 

 世間では春休みも終わり、学生は学校に行き大人は稼ぎに行く!

 それは我が家も例外では無く、俺もニノも役者の仕事があるので朝から仕事だし、あゆみさんは……あやせのお店で問題無く働いているし、かなも学校に行っている。

 ……至って平和な日常ではあった。

 

「うーん、流石に今日の舞台は疲れましたね!」

「そうですね。ちょっと甘い物でも食べて帰りませんか?」

 

 時刻は15時過ぎ……三時のおやつに丁度良い時間だった。

 

 近くにクレープの屋台が有ったので、俺は屋台を指さすとニノも嬉しそうにしていた。

 

「クレープなんて久しぶりです。何食べようかな~」

「私が出しますので好きなの選んで良いですよ」

「ヒカルさんありがとう♡」

 

 ニノはそう言うとチョコがトッピングされた生クリームのクレープを指さしていた。

 俺は……どうしようかな? ニノと同じ物でも良いけれど……このクッキーが入った苺クレープも捨てがたいし……ニノの一口貰えば良いかな?

 

「すみません。チョコがトッピングされた生クリームのクレープとクッキーが入った苺クレープをください」

「畏まりました」

 

 俺が屋台のおねーさんにそう注文したときだった。

 

「すみませーん俳優のカミキヒカルさんと『元B小町』のニノさんですよね? 文春の記者ですけど……二人は付き合ってるんですか?」

 

 振り向くとくたびれたコートを着たうさんくさい記者を名乗る男がおり、こちらをニヤニヤ笑いながら見ていた。

 

 高々俳優と元アイドルが仮に付き合っていたからと言ってなんだと言うのだろうか?

 別段俺もニノも結婚している訳ではないので、不倫には当てはまらないし問題は……あっ! 一個だけあった。

 俺……ゆらと付き合っている訳だし、世間的にはこれは浮気扱いになってしまう。

 ゆら公認であるから第三者に文句を言われる筋合いは無いけれど……さて、この状況どうしたものか……

 

 屋台のおねーさんからそれとなくクレープを受け取り、俺は食べながら考えた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。