カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第174話

「食べてばかりいないで返事位しても良いんじゃないですかぁ~?」

 

 記者は何が面白いのかヘラヘラ笑いながらそう聞いて来た。

 しかしながら、この状況をどんなに言い訳しても意味など無い。

 実際の所記者にとって事実なんてものは記事が売れさえすればどうでも良いのだ。

 例え裁判沙汰になったところで、日本ではアメリカと違い裁判で勝ったとしても、50万程度でしか請求は出来ないのだ。

 そして、記事に関して言えば印刷代や裁判費用などを容易く支払えるのであれば寧ろ訴えられた方が得とも言えるのが現状なので、記者に見られた段階でほぼほぼアウト……な訳では無い

 

 クレープを食べつつ記者を観察する。

 そのくたびれたコートから察するに記者自身の年齢はおおよそ40代前半位で、履いてる靴は革靴では無くスニーカーで走りやすそうではあるものの、結構ボロボロだった。

 

 この事から察するに今目の前にいる記者はかなりのベテランであるのが見て取れるのと、人を喰ったように笑っている事から、職務に忠実という訳では無く……あくまで自身の欲に忠実なのだろう。

 

「……食べている人に話しかける方がそもそもおかしいですよね?」

「おっと、これは失礼しました。……では改めて食べ終わったようですし、俳優のカミキヒカルさんと元『B小町』のニノさんで合ってますよね?」

 

 まだニノが食べている途中だけど……

 

「ええ、合ってますけどどうかしましたか?」

「いえいえ、こんな公園で有名な二人がデートなんてしていれば我々記者にとっては美味しい物ですからねぇ~」

「わ……わわわたしがヒカルさんとデート!!!!」

「ニノさん? ちょっと落ち着いてくださいね」

「おやおや、下の名前で呼ばれるなんて、あながち間違いでは無いみたいですねぇ~」

 

 ニヤニヤ笑い始める記者だけど……う~ん、多少盛ったところで俺とニノが公園でクレープを食べてる絵が果たしてどれほどの波紋を呼べると思っているのだろうか?

 

「あの……もしかして、『特オカ』の神裂様ですか?」

 

 クレープ屋のお姉さんが顔を真っ赤にして確認し始めたが……視聴率は高いから見ていてもおかしくは無いと思ったが……

 

「ええ……そうですけど、ご存じですか?」

「勿論です! 私あのドラマの大ファンなんですよ! 神条との恋の行方も気になりますけど……一番は神裂様の完成された女装ですね!」

 

 メイドは勿論女子高生にナースと色々なコスプレをさせられた訳だし、それは……まぁ……刺さる人には刺さるだろうけど、記者の前でそれを言われるのは困るなぁ~

 

「見て頂いてありがとうございます」

「……出来れば私の心の鍵も開けて欲しいです♡」

 

 ドラマでやったアレはアドリブでちょっとしたお遊びではあるものの、多少心理学を学んでいれば、誰でも出来るものだが……一番効果的なのがアルコールが入っている時にやるのがベストなのだが……何故かアイには効果は抜群で、多分ポケモンだったらモンスターボールが無くても着いて来るぐらいのレベルだ。

 

「それはまたの機会で……」

「そ……そうですよね! 記者の方変な事書いて神裂様を困らせたら許しませんからね」

「私は他の記者みたいに事実を捻じ曲げて書くようなことはしませんよ~」

 

 クレープ屋のお姉さんはそう言うと記者を睨みつけるが……柳に風と言わんばかりに記者は表情を変えずにいた。

 

「あ~それじゃあここでは何ですし、場所でも変えませんか? ちょっとした良いお店を知っているんですよぉ~」

 

 場所の提案を自然にし始めたが……普通の記者はそんな事を提案するのだろうか?

 どうもこの男はきな臭い

 信用出来る出来ないの話では無く……しかし、嘘を吐いてる反応は無さそうだ。

 

 海千山千の記者ならばそう言った対策はお手の物と言ってしまえばそれまでだし、嘘吐きが多い芸能人を相手取るならば対策も必要だろうけど……

 

 そんな事よりもこの記者の目的は一体何なのだろうか?

 スキャンダルをでっちあげるのならば、場所を変えようなんて提案するはずがない。

 

「ニノどうします?」

「もぐもぐ……ちょっと……待ってください……私そんなに早く食べられないです」

 

 頑張ってクレープを食べているが……ニノは口が小さい為、まだまだ時間が掛かりそうだった。

 

 

 しばらくして……

 

「お……お待たせしました」

「いえいえ、急かしてしまいすみませんねぇ~。それではお店ですけれど……」

「それなら私も良いお店知ってますからそこに行きませんか?」

「へぇ~あのカミキヒカルさんのおすすめのお店ですかぁ~非常に気になりますねぇ~」

「では行きましょうか? あとニノは帰しても良いですよね?」

「え!? 私頑張って食べた意味は!?」

 

 ハッキリ言って全くないけれど……まぁ時間稼ぎにはなったかな?

 ……と言ってもまだまだ観察が足りてないので、目的はわからんが……

 

「……個人的には着いて来て欲しいですけど、まぁ良いでしょう」

 

 記者は残念がる事無く、ニノに関してはあっさりしていたが……もしや狙いは俺か?

 

「終わったら後で連絡しますから……」

「絶対ですからね!」

 

 これでニノは離脱する事になったが……さてどうしたものか?

 

「はてさて一体どこに連れて行ってくれるんですかねぇ~」

「……ところであなたの名前は?」

「おっとこれは失礼しました。私は大明寺春彦と申します。カミキさんとは末永い付き合いになりたいものですねぇ~」

 

 そして俺は大明寺晴彦と名乗った男と共にあるお店に向かった。

 

 そのお店はとある理由により、何千万ものお金を払う事になった……ホストクラブ

 

 

「いらっしゃいませロミオへようこそ!ってカミキさんじゃないですか! 今日はどうしたんですか? もしかして、うちで働きたくなりましたか?」

「いえ……今日はお客としてですね」

「カミキさん? もしかして……そっちの気があったりするんですかぃ? それはそれでいいネタになりますけど……流石に炎上するなぁ~」

「失敬な私は至ってフツーの女好きです!」

「それはどうなんですかねぇ~」

 

 いや、男が女を好きになるのは当たり前の事なんだし普通に決まってるじゃん!

 

 くつくつ笑いながら大明寺は俺の事を楽しそうに見ていたが……お前ただじゃ置かねぇからな!

 

 急性アルコール中毒にさせる位飲ませてやる!




記者のモデルは流行り神の道明寺明彦
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