ネットで動画を上げてからというもの学校ではクラスメイトが家ではママとゴローさんが私のアイドル活動を喜んでくれた。
『B小町』も現在メンバーを募集しており、私とMEMちょさんの他に寿みなみちゃんが新しいメンバーとして入ってくれたのは良いけれど……私と同じ年齢なのに既にある一部分は物凄い格差を感じられる。
自身の胸元に目線を降ろすと去年と比べてすくすくと成長してはいるものの、あそこまで実っている訳では無いので、ちょっとばかし落ち込んでしまう。
「ルビーちゃんどうしたん~?」
関西弁で喋っているけれど、実際は神奈川県民で関西弁で喋っている理由はノリらしい……
「ううん!なんでもないよ!?」
心配そうにこちらを見ている彼女はほんとに可愛らしいが……困った事が一つある。
それは……
「アクア君今日は事務所に来るんかなぁ~?」
「うっ……う~ん、多分来ると思うよ? 特に仕事も入ってる訳じゃ無かったと思うし?」
「そ……そうなん!? はわわ、なんや緊張してきたわぁ~」
私がそう言うとみなみちゃんはあわあわし始めた。
その慌てる姿も同性ながら可愛いらしく見えるけれど……この事からみなみちゃんはアクアに相当お熱なのだ。
私と双子である以上アクアにもママとカミキの遺伝子が入っているので、同年代どころかトップクラスの容姿なのもあるし、全然売れて居なかった昔と違い今じゃあメディアの露出も増えている事からファンが多くいるし、映画のおかげで女性だけでなく男性のファンも多いのだ。
そんな二人が出会ったきっかけは学校帰りの放課後にみなみちゃんが男の人に駅でナンパされているところをランニング中だったアクアが現れて助けたとの事。
いやいや、そんな物語の王子様みたいなタイミングなんてある訳ないじゃんと思うけど、みなみちゃんは顔を真っ赤に染めてそう話していた。
そして、私自身一番信じられないのがアクアがその絡んで来た相手をぶっ飛ばした事だけど……私はアクアが喧嘩をしているところなんて一度も見た事無いからそれを聞いた時は驚いてしまった。
そしてアクアがポケットからスマホを取り出して相手の男性に見せたらすぐさま謝り脱兎のごとく逃げて行ったとの事。
その後にアクアがみなみちゃんを連れて事務所に連れて来て、斎藤社長に報告したんだけど……
『あ……あぁ、まず喧嘩は良くねーけれど……そうだなぁ~女の子を守る為だった訳だし……ま、何かあれば世間には俺が頭を下げるから心配するな』
……と斎藤社長は苦笑いしながらそれだけ言うとアクアの頭を撫でていた。
ママに対しては少しばかり情けない部分はある斎藤社長だけど、この時ばかりはカッコよかった。
しかし、そう言った場合警察沙汰になって割と大事になるものだと思ったけれど……世間にそう言ったニュースが流れる訳も無く、そして相手からの連絡も全くなく私達は穏やかな日常を過ごし、今に至る訳だ。
そんな事を思い返していた時だった。
「おはようございます」
稽古場の外からアクアの声が聞こえたので、ドアを開けて見て見ると、
ブレザー姿のアクアがおり、制服姿も合わさって同年代の子よりも大人びて見えた。
「ブレザー姿のアクア君……かっこええなぁ~」
みなみちゃんは顔を赤くしてアクアに見惚れていた。
「みなみちゃんはアクたんの事ほんと好きだよねぇ~」
「私的には複雑だけど……メムさんも実はアクアの事好きだったりする?」
「え!? わ……私!? い……いや、流石に私の年齢的にそれはマズイよ~」
みなみちゃんと違った方向で慌てているからメムさんはどうやらアクアに恋愛感情は無いようだけど……それはそれとして、それなら一体どんな人に惚れるのだろうか?
まずメムさんよりも年齢は上で有る事は大事だろう。
次に包容力と経済力に性格も重要だけど……やっぱり見た目だって必要不可欠な訳で……でもでも一番はアイドルに理解を示してくれる男性だろう。
私の頭に一番に浮かんだのはゴロー先生とその次にカミキだった。
ゴロー先生は分かるが、カミキは断じて無い!
何故なら経済面に容姿は良いかもしれないが、何人もの女性を侍らせている女たらしなのだから、どう考えても性格は最悪なのだ。
その点ゴロー先生は別!
口に出さない不器用なやさしさに大人の包容力を兼ね備えた正に完璧な私の推しなのだ。
……女遊びはしていたかもだけど、付き合っている時に浮気をしていた訳では無いだろうから思うところはあるけれど、ノーカンなのだ!
それとは別に私の推しのゴロー先生に勘違いをしてしまう女性が多くいる訳なのだが……ま、それも私が16歳になりさいすれば解決するのだ。
何でかママは結婚願望が無いようなので、その辺は疑問に思うけれど……それはそれとして、私は前世の時にゴロー先生と結婚する約束をしていた訳だし? 詰まるところこれは正妻の余裕を試されていると思えばなんてことは無いのだ。
「アクア君おはよ~」
「寿さんおはよう」
「私の事はみなみって呼んでくれてええよ」
「それは流石に恥ずかしいと言うか……その……」
「(アクア君かわええなぁ~)ええよ~私待ってるから」
気が付けば目の前でアクアとみなみちゃんによる甘ったるい空間が作られていたけれど……ま、私は家に帰ればママとゴロー先生に甘えられるから全然羨ましくないしね。
「……う……うう……私はミキさんかなぁ~……でも、そうなると……前途多難だよぉ~」
メムさんが何か唸っていたけれど……恋愛は躊躇したら負けなのだから私は背中を押す事にした。
「メムさんなら大丈夫だよ! メムさんの容姿でだめな人なんていないから絶対に押した方が良いよ!」
「容姿って……いや、私も自分の見た目は自身があるけどぉ~」
そんな事を話して居たら、斎藤社長がやって来た。
「おーっす皆お疲れー」
「「「「お疲れ様です」」」」
「あーちょっとルビー達に『B小町』の活動について話があるんだが今良いか?」
「何ですかー?」
「あの……僕は席を外しますか?」
「いや、そこまで大事な……大事ではあるんだが、まぁ大丈夫だ」
「そうですか」
斎藤社長はどこか難しそうな顔をしながら口を開いたけれどどうしたんだろう?
今更になってアクア傷害事件が世に出たとでも言うのだろうか?
頭の中で嫌な想像が生まれてしまったがこればかりは仕方がない。
私の想いとは裏腹に斎藤社長はようやく語り出した。
「……俺はまだ早いと思うんだが、『B小町』のライブを来月末にやる事が決まったからそのつもりで」
『B小町』のライブ?えっと……ママ達は引退したから……えっと……私達ってこと?
脳が理解するのにたっぷり数秒程かかって私達は3人は同じタイミングで絶叫してしまった。
「あとアクアは大手のCMの仕事来てるけどどうする?受けるか?」
「受けます」
「よっしゃあ! じゃあ先方に連絡してる!」
あれ?私達のライブよりもアクアの仕事の方が喜ばれてる?
「アクア君CMの仕事凄いね!」
「大手って事はギャラも凄いんじゃない?」
「どうだろうね?」
みなみちゃんとメムさんはそう言うとアクアの事を羨望の目で見ていたけど、私は何故かそれを喜べなかった。