子供の成長とは早いものだ。
それも中学生となれば尚の事
年齢的にはまだ子供ではあるものの、外見的には大人びた子もおり特に芸能界では多くの子が活躍している。
だからなのか子供扱いすると反発する子が多くいる。
多感な時期だから仕方が無い部分だが……
「監督……私の濡れ場が無いのは何でなんですか?」
「いやフリルちゃんまだ中学生だよね!? 幾ら僕がイケイケどんどんな監督で有名だからって流石にそれは無理だからね!」
「アイさんとゆらさんにはガッツリあるのに……私も同じ共演者なのだから同等に扱ってくれないと困ります」
「その二人は大人だから、そう言われても……そもそもフリルちゃんの事務所からは過度な物はNGって言われてるし……フリルちゃんのマネージャーちゃんはどうなの?」
「流石にそれは……フリルさんにはまだ早いと言いますか……」
「私はカミキさんとなら思いっきりやりたいです!」
「ヒカルちゃんモテるねぇ~」
監督の言い分は物凄く分かる。
なのでまずフリルのマネージャーさんにお伺いを立てるもマネージャーさんはもごもごしてしまい、フリルが案の定吠える形になってしまったが……内容が内容なのでフリルのマネージャーさんからは物凄い目で見られて……いや、睨まれてしまった。
フリルのマネージャーからすれば『よくもうちの子を誑かしやがって……』とでも思っているのかもしれないが、俺からは特に何かをした覚えは無いのだ。
無いのだけど……爆発的な人気を得た彼女からすれば、俺の反応は新鮮なものだったのかもしれないし、それが刺さった可能性はあると言えばある。
何せ人というものは初めての経験に弱い物なのだから……
しかし、フリルに構っていられるほど俺も暇な訳で無く、今現在はアイとゆらが睨みあっているのでとっても頭が痛いのだ。
「アイさんの濡れ場シーンなんてこの際全カットで良くないですかヒカルさん?」
「それを言ったら二期から参入のゆらちゃんの方が要らないよね?」
「「ヒカルさん(君)はどっちが要らないと思う?」」
彼女のゆらからすればドラマ内とは言えアイとイチャイチャしている彼氏の姿を見せつけられれば腹が立つだろうし、アイからすれば公式でイチャイチャ出来るチャンスだから是が非でも邪魔されたく無いだろうし……中々欲望まみれなものだった。
そんな訳で内心ため息を吐きつつもどう分からせるか考えて居た時だった。
「戻ったぞー」
「……ただいま戻りました」
爽やかな笑顔を浮かべた上原パイセンとまるで地獄から生還したような表情の女性のADが帰って来た。
「おっと、フリルちゃんこの話はここまで!それ以上はフリルちゃんの事務所が許可すれば構わないからね」
「……わかりました。許可取ってきます」
「いやいや、流石にダメですってばフリルさん!」
「じゃあ僕は上原ちゃんところに行くねー」
フリルとの話を切り上げて監督はすぐさま上原パイセンの所に逃げた。
「くっ……根回しが足りなかった」
「そういう問題じゃないですよフリルさん!!」
悔しそうにしているフリルとそれを叱るマネージャーさん……あそこも中々大変そうだなぁ~
そんな事を考えて居た時だった。
「う……うぅ……上原さんのバカー!めちゃめちゃ怖かったんですからね!!」
スタジオに戻って来たこともあり、ようやく実感が湧いたのかADの女性は突然泣き始めて上原パイセンをポカポカ叩き始めた。
「……上原ちゃん何かあったの?」
監督は神妙な顔つきでパイセンの方を見るとパイセンは困った顔をしながら説明し始めた。
「いやぁ~ちょっと喉が渇いたからコーヒーを買いにコンビニに行ったんだけど……この子は外で待つって言うから、戻ってきたら俺の知っている奴に絡まれてて……」
「……持ってるねぇ~」
「持ってるねぇ~じゃありませんよ! 何なんですかあの人は!いきなり『お姉さん可愛いねぇ~俺の女になれば今以上に稼がせてやるよ』とか言って来ましたし意味わかんないですよぉ~」
「ま~ケンケンはあんなんでも企業を6社も経営しているから収入アップは間違いないが……碌な事にならないし、そもそもあいつは名ばかりで社長業してないからなぁ~」
「……上原さん詳しいですね?」
「……アイツの家族とは顔見知りでな、何度かヤキイ……いや、教育したんだが……中々性格は治らなくて、親も匙投げてんだよなぁ~」
少し不穏な単語が聞こえた気がするが……パイセンにヤられて性格が丸くならないのはそれはそれで気合が入っていると言うか、反骨精神は凄まじい物を持っているなと思わず関心してしまったが……
「……でも、上原さんの顔を見たらすぐさま土下座してましたよね?」
「……急にお腹でも痛くなったんじゃねーかな?」
もはやトラウマを抱えてるレベルじゃねーか!
「「ヒカル君(さん)聞いてる(の)!」」
そんな事を考えて居たらアイとゆらが顔をズイっと寄せてきた。
おそらく、濡れ場シーンに対しての意見だろうけど……正直脚本に関して言えば、俺から文句を言う事はまず無い。
何せ内容が内容だけに男冥利に尽きるので、健全な男であるならば喜んでやるべきなのだ!
しかし、それを馬鹿正直に伝える事は流石に不味いので納得して貰えるように言葉を選んで説得するべきだろう。
「ゆらさん的にはアイさんとの濡れ場のシーンを削りたい方向でアイさんは現状維持と言う事でよろしいですか?」
「……ドラマ内とは言えヒカルさんとイチャイチャして欲しくないもん」
「そこはお仕事なんだから割り切らないと駄目だよゆらちゃん」
口を尖らせているゆらはハッキリ言って子供みたいな仕草で可愛らしく反対にアイは勝ち誇った表情をしている。
まーアイとは付き合いも長い訳だし、俺の在り方も理解しているからだろう。
「まずゆらさんには申し訳ありませんがアイさんとの濡れ場シーンのカットは有り得ません」
「……それはヒカルさんがエッチだからですか?」
「そう言うのが好きなのは否定しませんけど、単純にドラマ内で神裂光と神条紗希との関係値が有りますし、今回はシーズン1から半年後という設定なので女好きの神裂光が口説いて居ない訳がありませんからね」
「くぅ~意外とちゃんとした理由だった」
「ゆらちゃんはまだまだヒカル君の事を分かって無いなぁ~そういう訳でドラマ内での事は指を咥えて見てればいいよ」
そりゃ勿論そう言ったエッチな要素も加わって視聴率が高いドラマな訳だし、その辺りの機微はちゃんと練り込まれているのだ。
「しかし、その所為でゆらさんに我慢させるのは良く無いので、撮影が終わりましたら毎回デートなんてどうでしょう?」
「い……良いのヒカルさん!?」
「勿論可愛い彼女を蔑ろになんてしませんよ」
俺がそう伝えるとゆらさんは一気に顔を赤く染めて小さくこくりと頷いた。
「「ズルい! 私もヒカル君(さん)とデートしたい!!……(え?)」」
何故か頬を膨らませて同じ言葉を一緒のタイミングでアイといつの間に居たフリルが言って来た。