唐突だが、デートで一番ドキドキする瞬間とは?と聞かれたら俺は迷わず待ち合わせ場所と答える。
今でこそスマホが普及したから簡単に相手と連絡を取り合う事が出来るが、昭和の時代は携帯なんて有る訳無いので、待ち合わせ時間の30分前には到着して相手が来るのをドキドキ、ソワソワしながら待っていたものだ。
勿論すっぽかされたりしたことだってあるが……まぁ~そう言う子とはそもそも縁がなかったと諦めていた。
そう言った一喜一憂を含めて俺はデートというものを楽しんでいたんだが……
「「「「「「え?なんでここに居るの??」」」」」」
今この場には何故か上原パイセンと愛梨パイセン、アクアと黒川、そして俺とゆらが全く同じタイミングで揃ってしまった。
思わずパイセン達の方を見ると俺の視線に気が付いた愛梨パイセンが腕を組み、その豊満な胸を強調する……まさに堂々とした姿で答えた。
「私が清十郎とデートをして何か悪い?」
「な……何も悪くないです!」
「そうよね! だって私と清十郎は夫婦なんですもの……夫婦がデートをしたって何ら問題無いわよね」
「問題ありません!」
黒川が慌ててそう答えると愛梨パイセンは物凄く嬉しそうに一気にまくしたてた。
それにしても愛梨パイセンのテンション高いなぁ~っと思っていたら……上原パイセンが笑いながら答えた。
「あ~愛梨のテンションが高いのは大輝の月9の出演が決まったからだな」
大輝君も随分頑張っているようで、色々と賞も受賞している。
俺も大輝君を見習って頑張らないといけないなぁ~
しかし、大輝君の事でテンションが高いのは分かったが一つ疑問が浮かぶ。
「それは良かったですね! ……ちなみに大輝君は?」
俺がそう言うと上原パイセンは苦笑いで答えた。
「……ああ、テストで赤点を取ったみたいでな追試を受けてる」
「あれ?大輝さんって暗記とか得意でしたよね?」
黒川は劇団ララライに所属しているので、大輝君が暗記が得意なのは知っているので疑問に思ったようだけど……大輝君の天然部分は知らないようだ。
まぁ~年が近いとはいえ高校生である大輝君と中学生の黒川では会話があまりないので、仕方が無い部分がある。
「暗記は確かに得意なんだけど……大輝はド天然だからなぁ~」
それだけで何となく答えが分かった。
「……あの子ねぇ~回答をする箇所を一段間違えちゃったのよ♡それが本当にバカ可愛くてねぇ~。しかも開始して20分位で記入が終わった後は普段の仕事の疲れも有ったからか見直しをするのを忘れて寝ちゃってたみたいなのよ」
「俺もその話を聞いた時は思わず笑っちまってな~。いや~親としては注意するべき何だが……ま、間違えも経験の内だしこれはこれで良かっただろう」
多分テストが帰って来るまでの間は自信満々だった大輝君だけど、返却された後は軽く絶望していたに違いないな。
そんな事を考えて居た時だった。
「……ちなみにカミキさんと女優の片寄ゆらさんですよね?二人は一体どういった関係ですか?」
黒川は恐る恐るそう尋ねてきたが……その言葉にゆらは満面の笑みを浮かべて答えた。
「私はヒカルさんと付き合ってる公式彼女だよ」
「こ……公式彼女ですか?」
ゆらの言葉に驚く黒川だけど……ドラマの影響でアイが俺とリアルでも付き合ってる説が出て来てゆらとは二股疑惑があるみたいなので、こういった場面でゆらは力強く宣言するようになったのだ。
……まぁ~当たらずも遠からずって部分があるので否定は出来ない
「……公式も何もゆらさんとは正式に付き合ってるんですけどね」
「そうそう正式に付き合ってるのは私でアイさんは単なるお邪魔虫だからね勘違いしちゃだめだよ♡」
表面上ゆらはニコニコしているが……女好きな俺の所為で苦労掛けている訳だし、今日はとことん楽しませてあげなければな!
ま、それはそれとして……
「ちなみにアクアと黒川さんはデートですか?」
「「ち……違いますよ! ちょっとした買い物です」」
俺が2人にそう聞くと二人は同じタイミングで答えたが、男女が外で二人っきりで有れば買い物であってもデートなんじゃ……
「あかね……それはデートよ」
「男女で買い物は間違い無くデートだな!」
パイセン達が真剣な顔をして力強く断言した事によりアクアと黒川は顔を真っ赤にしてしまった。
これはもしかすると……もしかするかも知れないなぁ~
知らない内にアクアも男として成長しているだなっと実感しているとゆらさんがとんでも無い事を聞いて来た。
「最近の中学生はませてるなぁ~……そう言えばカミキさんの中学の時はどうでした?」
「仕事が忙しかったので放課後遊ぶ事は出来ませんでしたね」
「……ほんとに?」
ゆらは疑う目で見て来たが……嘘は言ってない。
お昼休みとかの時間を利用して楽しんだのは楽しんでいたが放課後はマジで仕事で忙しかったのは事実だからな!
「本当ですよ。私が嘘を吐いたことありますか?」
「……無いです」
俺がそう言うと渋々ながらゆらは納得してくれた。
三流は嘘を吐いて相手を騙す。
一流は事実に嘘を混ぜて相手を騙す。
しかし、本物の詐欺師は嘘を吐かずに相手を騙す。
ま、中々出来る奴は居ないけどね。
それはそれとして、ゆらの頭を撫でて機嫌取ると先ほどとはうって変わり満足そうな表情をしていた。
その様子を見ていたアクアを除いた3人は……
「「「さすが劇団ララライの女たらしは伊達じゃないな(わね)(ですね)」」」
「……父さん?」
色々と言いたい事はあるけれど……
「彼氏が彼女を甘やかして何か問題でも?」
「いや……良いと思うぞ」
「これをスッと出来るのがモテる秘訣よアクア君」
「姫川さんアクア君に変な事言わないでください」
「変って何かしら?」
上原パイセンは感心した表情で愛梨パイセンは目をキラキラさせてアクアに言うがその直後に黒川に突っ込まれるも首を傾げてしまった。
まー俺とゆらの事情は置いといて……
黒川とアクアの二人を客観的に見ると芸能人とはいえ、中学生なので私服は大人しいものだった。
これは親として、アクアに援助をするべきだろう!
ゆらの頭を撫でる手を止めて懐から財布を取り出して……
「アクアも頑張っているとは言え、中学生で一人暮らしならあまり無駄遣い出来ないでしょうし……これ使ってください」
諭吉を10枚財布から抜いてアクアに渡した。
「良いの!?」
「勿論です。あと……最近ホテル代も高くなっておりますので程々にしてくださいね」
俺がそう言うと黒川は一気に顔を真っ赤に染めてしまい、湯気を出してしまった。
「僕たちはそんな関係じゃ無いから!……でもこれは貰っておくよ」
「どうぞ」
「じゃあ黒川先輩行きますよ」
「……ちょっとホテルはまだはやいよ」
「ホテルじゃないよ買い物だよ!」
そう言うとアクアに引っ張られて黒川は行ってしまった。
「じゃあ俺と愛梨も行くぞ」
「ちなみに二人はどちらに行かれるですか?」
興味本位でゆらが聞いたが……帰って来る答えは唯一つ
「男と女が揃って行くところなんてラブホ以外にあるの?」
「えっ!?」
「まっそういう訳だ。じゃあなカミキとゆらちゃん」
「えっ!?」
そう言うとパイセン達は普通に歩きだした。……あの方向は確かラブホ街だったな。
「じゃあ、ゆらさん私達も行きましょうか?」
「……ラブホに?」
それは最終目的地ではあるがな!
「いえ、ちょっとコンビニでお金下ろして来ます」
アクアに諭吉全部渡しちゃったから下ろさないとないんだよね。
「そ……それにしてもパワフルだったね」
「まー私の先輩ですからね」