「むぅぅ~ゆらちゃんハット帽子に白いワンピースなんてあざとすぎる。それにヒカル君にくっ付きすぎだよ! ヒカル君もヒカル君であんな恰好して……女の子だって狼になることを知っとくべきだと思うよね? いや、そもそもゆらちゃんだけデートなんておかしいよ! 私だってした事無いのにぃ~」
黒いチノパンに白いシャツとシンプルな格好だけどそれを着てるのがヒカル君となれば話は別だ。
モデルであり、役者でもあるヒカル君だと一つ一つの動作に色気があり、すれ違う女性はすべからずヒカル君に見惚れているのだ。
有象無象の女性にヒカル君が見られていると思うと、沸々と胸から黒い感情が湧き出て来るけれど……流石にそれをそのまま表現するのはまずいと思い、私はほっぺを膨らませるだけに留めてパソコンの画面に映るリアルタイムの映像を食い入るように見ていた。
ちゃんとTPOだっけ? それをわきまえる事が出来る私は大人なのだ!
なお、リアルタイムで流されている映像にはヒカル君の左腕に抱き着き、自身の胸に押し付けて嬉しそうにしているゆらちゃんが映っており、とても幸せそうだった。
スタイルや顔なら私だってゆらちゃんに負けてないし、私の方が絶対ヒカル君の事を満足させる事が出来るのに……何故今私があの位置に居ないのかと思わずにはいられない
「私は週に何度かヒカルさんと一緒に買い物言ってるし、それに劇団ララライでも一緒だからね文句は無いよ」
「私は一緒にYouTubeの撮影してるしー? 撮影が終わったらその後は……二人っきりでお楽しみタイムだもん♡」
「わ……わたしは……きゅ……休憩中に……ぴよぴよ♡」
「私はほぼ毎日学校の帰りは送迎して貰っているし、ニノと一緒で劇団も一緒だし?」
「ず……ずるいよ皆! 私なんか普段忙しいから朝と夜ご飯ぐらいしか来れないのにぃぃ……」
「み……みんなヒカル君との二人っきりの時間があるなんてずるい!」
最近は仕事が多くなってきたから、私は一緒にいる機会なんてあんまりないし、競馬だってヒカル君の気分だから毎回連れてって貰える訳じゃ無いし……
目線を映像に戻すと二人はいつのまにかカフェに入って行った。
気温は夏って事もあり、大分高いから少しばかり涼んでから行動するってのは女性の扱いに長けたヒカル君ならではの行動だろうけど……
「お……お互い交互にケーキのあーんしてる! これは由々しき事態だよ!」
しかもあーんをされている時のヒカル君は目を閉じて口を大きく開けているなんて……こんなのえっちすぎるよ!
「ヒカルさんの彼女だしね」
「そ~そ~……あっ今度YouTubeの撮影であーんチャレンジなんてどうかな麗民さん?」
「……美少女達が交互にあーんをする絵は数字が取れるピヨ! これは良い企画ピヨ」
私がそう声を上げるとニノやカナンに麗民さんの反応は……おだやかなものであったが、かなちゃんだけは賛同してなかった?
これはもしやかなちゃんを味方に付けるチャンスなんじゃ?
よくよく考えるとかなちゃんの立ち位置はヒカル君の子供な訳だし、ヒカル君とゆらちゃんが万が一結婚なんかしたらそのままかなちゃんの母親になると言う事でもある訳だ。
勿論ゆらちゃんがだめって訳でも無いけれど、母親の経験がある私ならかなちゃんの事も問題無いし、幸いルビーとアクアとの仲も良好だし……うん、絶対に上手く行くね!
そこまで考えるとやっぱり私は天才だなって自分自身を誉めてしまう。
さて、理論武装は出来たし……あとはかなちゃんを私の味方にするだけだ。
そして私が口を開きかけた時だった。
「……娘である以上3人一緒に居ても問題無いし、その後はホテルで3人仲良く親子の絆を深めるのは全然アリよね?」
全然無しだよ!!!
わ……私の完璧な作戦が早くも瓦解した瞬間だった。
再度映像に目を移すと幸せそうな表情をしている二人が写っていた。
「……こうなれば今から私も現場に行って混ぜて貰うしか」
「カナン!アイを捕まえて」
「はぁ~全く大人しくしなさいよね!」
「は……離してカナン!私の事をヒカル君が待ってるの!」
私と同じ位の身長なのに……物凄い力でカナンに押さえつけられてしまい私は動く事も出来なかった。
「うっうっ……私はただヒカル君と一緒の時間を過ごしたいだけなのにぃ……」
「どうせ夜には帰って来るし、そうなればみんなで仲良く乱交するんだから少しぐらい我慢したら?」
娘になるかもしれないかなちゃんにそう言われて私はがっくりと落ち込むのであった。