カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第196話

「このケーキ美味しいですよ~ヒカルさんもどうですか?」

「頂きます」

 

 ゆらはそう言うと自身のショートケーキをフォークで一口サイズに切り取ったかと思えば……

 

「は……はい、ヒカルさん!あっ……あ~ん♡」

 

 恥ずかしそうに頬を赤く染めつつも、どこか嬉しそうに催促してきた。

 やっぱりデートはこういうのが良いんだよな!

 

「あ~ん」

 

 ゆらの差し出したフォークに少し顔を寄せて目を閉じつつ、口を大きく開けるとケーキが口の中に入って来た感触がしたので、そのままぱくりと頂く。

 日中で一目もある……というか、オープンカフェなので性的な悪戯なんかは出来ないけれど……こういった甘酸っぱいのも大好物だ。

 しかし、貰ってばかりというのは良くないし、俺も彼氏として彼女にお返しをするのは当然なので……

 

「それではゆらさん今度は私のチーズケーキ食べませんか?

「は……はい!」

 

 ゆらは緊張しているのか慌てて返事をしたが……やる事はヤッていてもこういう乙女な所は可愛いものだ。

 そう思いつつ、俺もゆら同様フォークでチーズケーキを一口サイズに切り分けてからゆらに差し出す。

 

「ゆらさん……あ~ん」

「あ……あーん♡」

 

 恐る恐ると口を開けたゆらの口にチーズケーキを入れるとパクっと食べたかと思えば……先ほど以上に顔を真っ赤にしていた。

 

「ひ……ヒカルさんの味もしてこのチーズケーキとっても美味しいです♡」

「それは良かったです」

 

 そう言うとゆらはあまりの恥ずかしさの為、それを誤魔化す様にアイスティーをコクコクと飲み始めたけど……顔はこれ以上ない程にに真っ赤なんだよなぁ~

 

 つまり何が言いたいかと言えば……俺の彼女は物凄く可愛い!

 

 そんなゆらの様子を見つつも自身の腕時計で現在の時間を確認すると10:30となっていた。

 この後は映画館に行こうと考えて居るがまだ時間には大分余裕があるし、焦る事は無いだろう。

 

「こ……これも美味しいですよヒカルさん♡」

 

 先ほどと同じようにゆらはあーんをしたがっていたが……可愛い彼女のお願いだし、彼氏として断る理由は無いな。

 

「頂きます」

 

 先ほどと同じように俺はゆらからのあーんを受け入れた。

 

 周囲の視線が物凄く気にかかるが……ま、有名税みたいなものだし今はゆらとのデートを楽しむ事にしよう。

 

「ちなみにこの後ってどこに行きますか?」

 

 アイスコーヒーで口の中に入っているケーキを流し込みつつ、スマホを操作しゆらに見せる。

 

「そうですねぇ~この後映画なんてどうでしょう? 丁度今話題の恋愛映画がやってますしね」

「恋愛映画かぁ~良いですね♪私もいずれは恋愛映画に出たいですし、勉強になります!」

「そう言えばゆらさんの夢って100年後にも残る名作で主演を張りたいですよね?」

「そうです! その為にがんばっているんですけど……でも、私にそんなこと出来る力があるのか最近不安なんですよねぇ~」

「どうしてですか?」

 

 ゆらはそう不安をこぼしたが俺の目から見てもゆらの演技力はかなり高いし、このまま経験を積めば確実に稀代の大女優と呼ばれる存在に成れると思うが何かあるのだろうか?

 

「ほ……ほら、アイさんって元々はアイドルで物凄い人気も有ったのに同じ時期に女優として活躍しているから厳しいし、それに今は中学生だけど子供のときから芸能界に居るフリルちゃんだって物凄い人気があるじゃないですか? 私だけで前歴というか素人スタートだから」

「確かにゆらさんだけスタートが出遅れている状態に見えますけど……とは言え、ゆらさんだって芸能歴で言えば4・5年位だしそこまで気にするものじゃないと思いますけど?」

「……ヒカルさんは芸歴どれくらいでしたっけ?」

「23年ですけど?」

「アイさんは?」

「確か……中学生位の時に『B小町』に入ったって聞いたので18年ですかね?」

「フリルちゃんは?」

「え~っと正確な年数は分かりませんけど……映画で共演した時が小学生位だったハズなのでゆらさんと同じぐらいじゃないですかね?」

「共演した映画ってヒカルさんが女装したキョンシー映画ですよね? あの金髪キョンシーは一体誰なんだと当時物凄い騒がれたやつ」

「私は普通に役を熟しただけなんですけどね」

「今でもあの映画は人気みたいで後から作られた円盤にはスタッフロールで『カミキヒカル(男)』て書かれてるでしたっけ?」

 

 あんな可愛い子が男な訳が無いってか?

 ギルティギアのブリジットだって男だし、良いじゃないか!

 

「……書かれてましたね。顔に大きな札を付けていた所為で見た人は想像力が搔き立てられて想像以上に売れましたからね」

「不知火姉妹の映画なのに何故かカミキ派が誕生したんでしたっけ? 最後は姉妹を身を挺して守って爆散してかなしかったなぁ~」

 

 あれも変更に変更を重ねた結果なんだよね。

 まぁ~当時はかなとあかねを売り込むのが目的だったから、別に良いけど……

 

 何てことを考えていたら、目の前のケーキも食べ終わってしまった。

 

「それじゃあゆらさんそろそろ行きますか?」

「そうだね♪」

 

 ゆらはそう言うとまるで見せつけるようにというか……実際に梟のフール越しに見ているであろうアイ達にと言うか、主にアイに対して牽制の意味も込めて俺の腕に抱き着いて来た。

 

 この光景を見てアイが嫉妬しているだろうことは想像しやすく、今頃ニノ達が宥めているに違いないだろう。

 しかし、俺も今日は特別な日にする予定なのでアイとの事は一旦頭から消して映画館に向かった。

 

 その時に視界の端っこで遠目であったものの、肩にカラスを乗せたツクヨミらしき人物が俺の事を凝視していたが……神様って暇なのだろうか?

 そんな事をふと考えつつ映画館に入った時だった。

 

「お客様!梟は困ります!」

「……失礼しました」

「そう言えばそうだよね~」

 

 我が家では自然だったため、全く気にならなかったが……よくよく考えればペット同伴で映画館はダメに決まっている。

 

「フールーそういう訳で外で待っててくださいね」

 

 俺はフールーにそう告げるとフールーは一度お辞儀して空に飛び立った。

 改めてフールーの知能が高い事を実感しつつ、俺はゆらと共に映画館に入って行った。

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