カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第197話

 恋愛映画と一口で言えど、たくさんの物がある。

 その中で何が思い浮かぶかと言えば、俺の中の一番はタイタニックだった。

 

 若き青年は画家を目指しつつ世界を旅しており、それゆえに経験豊富だった。

 画家になるべく磨いた洞察力は相手の心を見抜き、かと思えば少年の様に屈託ない無邪気な笑顔を見せて意外な一面を相手に見せる。

 それは女性のみならず、男性から見ても正に理想的な男性像だった。

 

 そんな青年と船の中で運命の出会いを果たしたヒロインが恋に落ちるのは必然で……っとそんな事は一旦置いといて!

 

 何が言いたいかと言えば……現在俺とゆらはカップルシートに座り少女漫画が原作の映画『今日は甘口で』を見ていた。

 

『それでも……それでも、光はあるから……』

 

 その台詞に思わずポップコーンを掴む手が止まる。

 かなの部屋に原作の『今日は甘口で』は有ったので、暇な時はかなを膝の上に乗せて一緒に読んでいた事もあったので話の内容は頭に入っているがアニメーションも凄い力の入れようだけど、それと同じ位声優さんも熱が入っており、作品としてこれは売れるだろうと言うのが確信を持てるものだった。

 

「いいなぁ~」

 

 隣に座っているゆらもあまりに感極まって思わず感想が漏れてしまったようだ。

 本来映画の視聴中は私語はマナー違反なので基本控えるべきものだけど……祝日なのでかなりの人数が入っているので上映中も少なからず、ひそひそ声や多少の咀嚼音などは聞こえていた訳だし、ゆらから漏れた言葉は幸いな事にスタッフロールが流れ始めた直後だったので、そこまで問題ないだろう。

 

 まー俺も音に注意しつつ上映中はコーラを啜り、ホットドックとブラックペッパーのポップコーンを食べていた訳だが……欲を言えばコーラでは無くビールでも飲みつつ視聴したかったが、初デートでお酒を飲むのはどうだろうと思い断念したし、何より視聴している客層に若い女性が多くいるので、酔っぱらってる所を取られるのはマズイと思ったのも理由だが……

 

 今も昔も若いカップル達は映画館でおちゃめな事をするもので……ゆらは映画に集中していた所為か全く気が付いて無いけれど、俺の斜め上の席に座っているカップルからは少しばかり声が漏れていた。

 

 まー公共の場でそういうことをするのは本来良く無いけれど……気持ちは分からんでもないし、そもそも若いカップルなんて刺激を求めるものなのだ。

 

 そうこうしているとスタッフロールは終わってしまい、劇場は明るくなってしまった。

 件のカップルが居たであろう方向を改めて見ると年齢は中学生位で女の子は顔を真っ赤に染めてスカートを抑えていたが、相手の男はどこ吹く風であった。

 

 そのカップルの年齢が年齢なので、否が応でもアクアとあかねの事が頭に浮かんでしまう。

 俺なんかが言える事では全く無いが二人には健全な関係……とまでは言わないものの、公共の場では盛る事の無いように……と言うか絶対にバレないように行為をして欲しいと切に願った瞬間だった。

 

「じゃあ、一旦外に行きましょうか?」

「……そうだねって、ヒカルさんあの量のポップコーン食べきったんですか!」

 

 ゆらは物凄く驚いていたけれど、俺からしてみれば食べるしかなかったんだ……

 

「……あまりにも面白くて食べる手が止まりませんでした」

「食べてる音なんか全く聞こえなかったんだけどなぁー」 

 

 ゆらは首を傾げてそう答えたけれど……まーそれほど集中していたって事なのだろう。

 どうやら映画に集中しすぎたようで、ゆらのポップコーンは殆ど減っていなかった。

 

「それは置いといて、ゆらさんはかなり残ってますね」

「あっ!そうだった。見るのに集中し過ぎて全然食べれなかったし……これどうしよう」

「それでしたらイートインスペースに移動しましょうか?」

「う、う~ん……そうしよっか? でもこの後予定大丈夫?」

「ええ、大丈夫ですよ」

 

 ある程度予定は立てているけど……そもそもが時間が余ってしょうがないくらいだし、なんら問題は無い。

 

「じゃあ行こっか♪」

 

 その後イートインスペースで『今日は甘口で』の感想を1時間位喋ってしまい、少しばかり疲れてしまったが、ゆらとしても何か得る物が有ったようだしこれはこれで良いだろう。

 

「……それにしても最近の子って映画上映中でも大胆だよね!私びっくりしちゃったもん」

 

 どうやらゆらも気が付いていたようだけど……それを注意することは流石に出来なかったようで言葉にした時顔が少しばかり赤くなっていた。

 

 まーこういうのはよくある話だしなぁ~

 

「……公共の場で無ければ良いと思いますけど」

 

 俺がそう答えたときだった。

 

「私実は……ヒカルさんも便乗するんじゃないかって思ったんだよ」

 

 なんでそんな厄ネタをぶっこまないといけないのだろうか?

 勿論そう言った趣味と言うかNTR界隈を否定する気は微塵も無いが……芸能人である以上は節度はちょっと違うけど……PTOは弁えないといけないのだ。

 

「私は自分がスケベである事は否定しませんけど、所かまわずにヤった事はありませんよ?」

「アイさんがこの前ヒカルさんに『私は何時でも何処でもヒカル君となら合体出来るもん』って言ってましたよね?」

 

 とりあえずゆらとのデートが終わったらアッパッパーにお仕置きをしよう!

 

「……私はちゃんとホテルでヤってるんですけどね」

「確かにそうなんだけど……それは連れ込んでいるって事じゃあ?」

 

 あれ?……なんか流れが変わったぞ?

 いや、最終的に行くのは確定して居た訳だけど……少しばかり早いな。

 そこでふと思ったのは……もしかしてゆらは映画館のカップルに当てられたのかもしれないな。

 

 この後はウィンドショッピングでもしようと思っていたが……ま、状況はその都度その都度変わるものだし、寧ろこういった方向は大歓迎だ。

 

「この後の予定ですが買い物とご飯と私……どれにします?」

 

 俺がそう言うとゆらの喉からごくりと生唾を飲む音が聞こえた。

 どうやら答えは一致したようだ。

 

「……ちなみに今日はゴム無し避妊無しです」

「すぐにいこう!」

 

 俺がそう言うとゆらはすぐさま俺の手を引っ張り、ホテルに連れて行かれたのだった。

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