カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第201話

 ママのドラマが放送される日はみんなで一緒に観るのが星野家の日常なのだが……今日は先生は急遽仕事が入ってしまい、涙を流して仕事に向かって行ってしまった。

 先生の気持ちは良く分かる。

 

 しかし、先生の仕事内容が内容なので我儘なんて言える筈がない。

 私に出来るのは録画をしっかり取る事のみ。

 

 それはそれとして……

 

 私はママが座っているソファーの横に何時ものように陣取り……

 

「今日もママは良い匂いがするね」

 

 ママに抱き着く!

 世界広しと言えど、星野アイに合法的に抱き着いて許されるのはその子供である私やアクア以外だとゴローさんと……気に入らないけれどカミキヒカルぐらいなものだが、わざわざ不快な人を思い出すのは精神的に良くない。

 そうでなくても、最近はアイドル活動が上手く行って日々疲れ気味なのだから、おぎゃばぶランドを堪能するのだ!

 

「まったくルビーは何時まで経っても甘えんぼだね。ウリウリ~」

「キャー♡」

 

 ママもママで私の頭をよしよしと撫でてくれる。

 私……本当にアイの子供で良かった♡

 

 そうこうしているとドラマ『特殊捜査員:神裂光のオカルト事件簿』が始まった。

 

 正直タイトルからして気に入らない

 そもそも無名の脇役であるカミキヒカルが元とは言え超一流のアイドルであったアイと同じ主役級なのが納得いかない!

 有名な役者なんていっぱい居るし、それこそアイツと同じ劇団に所属している姫川大輝さんの方がよっぽどオーラを感じる。

 

 大人顔向けの演技に数々のドラマに主役として出ており、それに……えーっと帝国なんとか賞も取っているとかいないとか……

 

 そんな不満は幾らでも出て来るけれど……それとは別にドラマが始まると不思議と引き込まれてしまった。

 

 全てを見透かすかのような眼つき

 耳心地の良い声

 他を圧倒する可愛らしい外見

 

 それがカミキヒカルが演じる神裂光なのだ。

 ドラマを見る前は物凄い不満が出て来るけれど……いざ、見始めると神裂光を演じられるのはカミキヒカルただ一人と思わせる程の嵌り役で、このドラマがここまで話題になった理由でもあるのだ。

 

 勿論ママとのイチャイチャ絡みでのサービスも有るにはあるのだが……

 一番の理由が毎度の事ながら女装姿が可愛らしいのだ。

 

 可愛さだけなら私だって現役アイドルで、何より星野アイ遺伝子を受け継いでるから負ける気はしないけれど……

 

 女性からは嫉妬の声すら消える可愛らしさで、男性からは男のツボを押さえる可愛いらしさがあると異性・同性問わずに人気がある。

 

 そんな事を考えて居る時だった。

 画面に映る神裂光が不知火フリルが演じる小暮千佳から中学生の制服を受け取ったようで画面が切り替わった。

 しっかり見ていた訳じゃ無いけれど、あの制服……私が通っている中学校の制服と似ていた気がする?

 

 ……いや、でも、中学校の制服なんてどこの学校も似たようなものだし考えすぎだよね?

 

 そんな風に思っていた時だった。

 

 隣に座って見て居る筈のママが私の手を優しく握り始めた。

 ママの手は物凄く柔らかくて、気持ち良くて……私は嬉しくなった。

 

 なんだろう?こんな幸せを私は堪能しても良いのだろうか?

 否! 良いに決まっている!

 

 さりなのときはあの病室だけが私の世界だったけど、今の私は何でも出来るし何にでもなれる。

 

「むふー」

「むふー」

 

 思わず声に出してしまったが……何故かママも同じタイミングで声を出していた。

 これはまぎれも無く私とアイが親子である証だと思っていた時だった。

 

 場面が移り変わり中学生女子の制服に身を包んだ人物を見た時は私は驚きのあまり目が飛び出るほどの衝撃を受けた。

 

 長い金髪を靡かせて、赤い好奇心旺盛な瞳で元気いっぱいな……私が居たのだった。

 

「なんで私がドラマに出てるのー!?」

 

 思わずそう叫んでしまった私は悪くないが……やっぱりというか答えは分かり切っていた。

 

「勿論ヒカル君が演じてるんだけどねー♡それにしても普段から会っている私が見てもルビーにしか見えなくて……何て言うか親子で共演しているみたいで物凄く嬉しかったんだよね♡」

 

 ママはそう言うと私の頭をヨシヨシと再度撫でまわすけれど……いや、普通に考えてこれはおかしいでしょ!?

 

『この苺のパフェ美味しいー』

 

 ドラマの中の私じゃない私は満面の笑みを浮かべて馬鹿みたいにデカいパフェを大きな口を開けて食べているだじゃなく……しまいには鼻にクリームを付いてしまい物凄いバカっぽかった。

 いや、私はそんな事しないし! 寧ろお行儀良く品行方正で天才児であって、こんな馬鹿で無神経で図太いキャラでは断じてない!

 

「うんうん、この場面なんてルビーの可愛らしさを100%どころか1000%表現出来ているし流石ヒカル君だね♡」

 

 どうやら私はママにバカで無神経で図太いと思われていたようだ。

 

「わ……わたしこんな事した事無いし風評被害だよ」

「あールビーは覚えてないかもだけど、ちっちゃい時に私とゴローさんとヒカル君とアクアの四人で喫茶店で大きなパフェを食べてた時丁度こんな感じだったんだよねー♪ あの時はルビーがパフェ食べきれなくて大変だったなぁ~」

 

 ママはそう言うと楽しそうに笑い始めたけど……言われて見れなそんな事あったような気がする。

 い、いやでも……そんな昔のエピソードをドラマ内でぶっこむのはおかしいと思うの私だけなんだろうか?

 

「……ところでなんでこんなに私の事知っているだろう?」

 

 しかし、認めたくは無いものの……ママの言う通り完成度と言うかまるで鏡を見ている気分になるレベルなのは一体どういうことなのだろうか?

 

「それはねーヒカル君に普段のルビーはどんな感じか聞かれたから私が教えたんだよねー」

 

 犯人はママだった!

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