カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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明けましておめでとうございます。


第202話

 ドラマの撮影もひと段落着き、現在俺はと言えば……アクアと二人で回転寿司を食べに来ていた。

 この前ツクヨミに言われたからルビーの為に人肌脱いだ訳だし、まー親の責任と言うかチャンスを与えたと言うか……義務は果たしたと見て良いだろう。

 じゃあアクアには仕事を振っているのかと言えば……振ってはいない。

 それと言うのもアクアの動向は常に気にかけているが、物凄く忙しいって訳では無いけれど暇って程でも無いようだし、アクア本人ものびのびと仕事を熟しているようなので、ルビーと違って手助けをする必要が無いのだ。

 我が子ながら逞しく生きているようで何よりだ。

 

「これとか頼んでも良いかな?」

 

 アクアはそう言うとタブレットを操作して見せて来た。

 そこにはおすすめと記載された炙りサーモンマヨの画像が写っており、見るからに美味しそうだった。

 

「炙りサーモンマヨ……良いですね私も食べます」

「分かった。4皿注文するね」 

 

 アクアはそう言うとタブレットをポチポチと操作を行っていた。

 

「後は適当に注文してくれて良いですよ」

「分かった」

 

 アクアはそう言うとタブレットを注視し始めた。

 

 お昼頃と言う事もあり、そこそこお客も入っているから、注文してもすぐに届く訳では無いし、お茶やガリに後は回っている寿司でもテキトーに取って行こうと思った時だった。

 

「私は大トロお願いね」

 

 いつの間に俺の隣に座っていたのか、ツクヨミは当たり前の様にアクアに追加で注文していたが……

 

「君は誰?」

 

 こてんと首を傾げてアクアはツクヨミに聞き返した。

 

「私?……私はね……」

 

 アクアに尋ねられたツクヨミは俺の顔を一目見ると意地悪そうな笑みを浮かべ始めたかと思えば、俺の腕に唐突に抱き着いて来た。

 神を名乗っているのにやっていることは大分大人気ない

 

「君のお父さん……カミキヒカルの子だよ」

「ッ!そんな訳……そんな事ある訳が……あっ!いや、そんな事無いなんてとも言えないかも……」

 

 普段のアクアを知る俺からして、最初は物凄くアクアは動揺していたが……自分で言ってる内に無い事も無い可能性に思い当たったようだ。

 普段の俺を知っているアクアだからこそ否定する事は出来なかったようで……ツクヨミの言葉に喜んで良いのか嘆くべきか分からず複雑な表情を浮かべていた。

 

 まーアイみたいなケースは往々にして無いだろうけど……結果としてアクアとルビーが産まれたのは事実である訳だし、だからこそ否定をする事は出来ないのだろう。

 

 アクアの顔を満足気に見ているツクヨミは物凄く楽しそうだけど……

 

「アクア……騙されちゃいけませんよ」

「いや……でも……」

「そんな!私の事認知してくれないの!ママが可哀そうだよ!」

 

 俺の言葉にアクアはなお訝しみツクヨミは悲しむ演技をして追い打ちを掛けるように言って来たが……

 

「この子の年齢ですがどう見ても5,6歳くらいじゃないですか? その辺りの時期はもうアクアも知っている人ぐらいにしか手を出してませんし、そもそも今も一緒に居る訳ですから妊娠すれば分かりますよ」

「あ、あーそうなんだ」

「ぐっ……まさかそんなアリバイがあるなんて……」

 

 ツクヨミは悔しそうに言ってるけど……女たらしだからと言って誰彼構わず喰う訳では無いのだし、俺にだって手を出す明確な基準はあるのだ。

 まーその基準はガバガバであるが……

 

 そうこうしていると先ほど注文した炙りサーモンマヨがレールに乗って回って来た。

 

「まーおしゃべりはそこまでにして、炙りサーモンマヨも届いたみたいだし食べましょうか?」

「そうだね」

 

 回って来た炙りサーモンを取り俺とアクアは食べ始めたが……

 

「私の大トロは?」

「……食べたかったら自分で注文してくださいね」

 

 俺はツクヨミにタブレットを渡すとツクヨミは難しそうな顔をしていたが、俺とアクアは気にせず炙りサーモンを食べる。

 

「大トロぉ……食べたい……」

 

 この子本当に神様なのだろうか?

 あまりにも悲し気な声を出してツクヨミはそう言っていた。

 

「……ちなみにこの子の名前は?」

「ツクヨミって名乗ってますが……察してあげてください」

 

 俺がそう言うとアクアは思うところがあるのか、ツクヨミの事を暖かい目で見始めた。

 まー世の中にはアイみたいにネーミングセンスが終わってる人はごまんといる訳だし、アクアも他人事には思えないのだろう。

 

「……なんか私の事憐れんでないか?」

 

 ツクヨミはタブレットから顔を上げると難しい表情をしていた。

 

「えーっとツクヨミちゃんも苦労しているんだな」

「つ……ツクヨミちゃん!?」

 

 アクアからちゃんづけで呼ばれて物凄く驚いている様子からして、恐らくツクヨミに友達は愚か身近な親しい人物は居ないのかもしれない……

 いや、突然会わられたり消えたりすることが出来るのだから、超常の存在なのは確かなんだろうけど……

 

「ところで注文は出来ましたか?」

「うっ……まだだけど……」

 

 どうやら超常の存在と言えど、文明の利器には疎いようだった。

 しかし、このままツクヨミがタブレットと睨めっこされると俺達も注文出来ずにこまってしまう。

 

「……タブレット貸してくださいね」

「うん」

 

 ツクヨミからタブレットを受け取り、とりあえず大トロを注文するが……

 

「アクアも大トロ食べます?」

「食べる!」

「じゃあ6皿注文しますね。他に何か食べたい物ありますか?」

「じゃあ私チョコレートケーキ」

 

 俺はアクアに聞いたんであってお前には聞いてねーよ!って言いたかったが、それは流石に言い過ぎだと思い飲み込んで、ケーキの画面を開いたらルビー率いる『2代目B小町』と期間限定のコラボケーキが書かれていた。

 

 この間の放送が良かったおかげでこういった仕事も増えているのであれば、やって良かったと思う。

 まー今も昔も無名のアイドルはこういったコラボをして、地道にファンを増やして行くのが近道なのかもしれないが……

 しかしやっぱり俺にはアイドルの良さがさっぱり分からないのだ。

 

 アイに関して言えば外見は花丸付けて120点ではあるし、良い身体をしているのは理解しているが……どんなにお金を注ぎ込んでもファンで有る以上はアイと繋がる事は無いのだ。

 これに関してはアイと関係を持っている俺が言うのだから間違いない。

 

 詰まるところキャバ嬢の方がまだマシな可能性がある。

 ……とは言えよっぽど容姿が良いのと札束でぶん殴るレベルの事をしないと彼女達だって靡く事は無いのが現実だ。

 

「……そう言えばこの前事務所でルビーがコラボの話を延々と自慢して来たんだよ」

 

 アクアはそう言うと届いた大トロを食べながら話始めた。

 

「……ルビーも容姿は良いですからね」

「モグモグ……見た目は確かに良いかもしれないけど、頭が絶望的なんだよね」

「……アイさんに似て楽天的ですからね」

「「はぁ~」」

 

 思わず同じタイミングでため息を吐いてしまった。

 ……とは言え実力で掴み取った物とは断言出来ないので、他の事務所のアイドルからは目の敵にされてそうだし、実際にそういった事があるのが芸能界なのだ。

 まーアイドルと言えば歌と踊りで魅了するしか無いだろうけど……それ以外って何があるだろうか?

 そもそもテレビ受けするトーク力なんてものが高々中学生の子にあるかと言えば……ハッキリ言って無いと断言せざる得ないのだ。

 俺の個人的な主観からも特異な環境でルビーは育っているとは思うが、アイドルの子で有る事を隠してしまっている以上そのエピソードは封印されたも同じだし、そもそもの話小学校・中学校で得られる経験はほぼほぼ変わらないのだ。

 そんな訳で芸能界で成功した子供なんてのは大抵性格が悪くなる。

 

 まーかなが悪い例みたいになっちゃうけど……なまじ大人と一緒に働いていれば否が応でも現場の裏側を見てしまう。

 そうなれば当然増長してしまうのは仕方が無いのだ。

 

「アクアにはそう言ったコラボのお仕事の声はかかってるんですか?」

「グッズとか出さないかって斎藤社長からは言われてるけど……正直売れる気はあんまりしないから断ってるんだよね」 

「……グッズに関してはある程度ギャンブルみたいな部分がありますし、下手にコラボするとそのグッズ先の企業のファンから敵視される場合もありますから難しいですね」

 

 ルビーに関してはきっかけは与えたから後は実力でどうにかしてくれないかと思いつつ、横で涙目になっているツクヨミを観つつそう思うのだった。

 

「ふぐっ……け……ケーキ……ケーキ頂戴!」

「……ワサビの辛さをチョコレートケーキで中和は出来ないと思うけど」

 

 アクアはツクヨミにチョコレートケーキを渡すとツクヨミは慌てて食べ始めたが……どうやら超常の存在もワサビには勝てなかったようだ。

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