人生に置いて最も楽しかった時期は何時と聞かれれば、老若男女様々な答えが帰って来ると思うが、大体の人が学生時代の青春を思い出すはずだが……
「色々と私も手を出して経験して来たけれど……やっぱりヒカルか清十郎とのセックスがたまんないわね!」
「……まー人ってのはぶつかりあって初めて分かりあえると言うか理解出来ると言うか、分からせる事が出来るからな」
恍惚な表情を浮かべて愛梨パイセンはとんでもない事を言い出すし、上原パイセンに至っては一見まともな事を言ってるように聞こえるが、端的に言えばぶっ飛ばしてから掘るというストロングスタイルなのだ。
ヤられる対象が対象なので、通報なんかされる訳が無いので今も謳歌しているのだ。
結論から言えばやっぱりパイセン達は何処か頭のネジがぶっ飛んでいる。
じゃあ、なんでこんな事を答えているかと言えば……
黒川から学校の文化祭をアクアと一緒に過ごしたいとの事で、先人達の知恵と言うか……嬉恥ずかしい思い出トークを想像し、それに自分とアクアを当てはめようと思ったのだろう。
「……あかね?アンタ聞く相手間違えてるわよ」
呆れたようにかなはジュースをずずーっと吸いながらもダメだしをした。
「うぐぐ……そ、そーいうかなちゃんはどうなの!もう中学2年生なんだから好きな人とか居ないの」
「……呆れた。芸能界に身を置いてれば唯のクラスメイトに興味を持つ方が珍しいでしょ?ま、年が近いって意味も込めるとアクアは超優良物件だけど……私にはヒカルがいるし?」
黒川にそう答えたかなは俺の膝の上に座り俺の手を掴むと自身の頭に誘導した。
まーかなからのスキンシップだし、これくらいどうってことは無い……無いのだが……
「こんな人前でデレデレしてるかなちゃんなんて解釈不一致だよ!」
「あかねの解釈で私は生きてないわよ!」
これはかなの言う通りだ。
そもそも人間は得てして矛盾を抱えてる訳なので、常に最善の判断を行い生きてる訳では無く、時には不条理に身を任せたくなるものだ。
「いやーアクアも罪な男だねぇー。ねぇねぇあかねちゃん?私には何時でも相談していいからね?」
アイはそう言うと黒川にウィンクして可愛らしさをアピールするが……
「じゃあアイさんの学生時代はどうでしたか?やっぱり現役のアイドル時代だったから物凄くモテたんじゃ……」
「えーっとどうだったかなぁ~?その時はまだ『B小町』も地下アイドル程度だったからそこまでじゃ無かった気がするし、あんまり覚えてないよ~」
アイは可愛らしくこつんと自身の頭を叩きあかねに舌を出して謝る仕草をする。
ファンだったら『しょうがないね』で済ますかもしれんが……
「つまるところアイさんの学生時代はなんの面白味も無い灰色生活だったって事ですよ」
「「「「あっ!」」」」
俺の発言に他の人達も思わず驚いてしまい声が漏れ出てしまったようだ。
「ひ……ヒカル君!?流石にそれは言い過ぎじゃない?もしからしたら私にだって、思い出の一つや二つくらい……」
「断言します。アイさんにとって楽しいと思える学生生活はありません」
「だ……断言されちゃった」
「だからと言って苛められていたかと言えば、それは無かったでしょうね」
「……ちなみにカミキさんが断言出来る理由って何ですか?」
黒川は何を思ったのか踏み込ん出来た。
「私が中学2年生の時にアイさんと出会いまして……アイさんは私の1個上なので中学3年生ですが、肉体関係を持った時に当然お互い裸を見る訳ですので……」
「あっ……あ~そういうことかぁ~」
黒川は察したようで顔を赤く染めた。
まー中学生なので、そう言った話題は恥ずかしく聞こえるものだけど……
「「あかねは初心ね(だなぁ)~」」
パイセン達は暖かい目で黒川の事を見ていた。
「わ……私の反応が普通なんです! そうだよねかなちゃん!?」
慌てて黒川はそう反論し、かなに同意を求めるが……
「忘れたの?私の保護者は女たらしのカミキヒカルよ?その私が処女の訳無いじゃない」
「か……カミキさんの鬼畜!外道!ロリコン!」
かなの言葉に衝撃を受けた黒川は俺の事を睨むと一気に捲し立てた。
まー流石役者と言うべきか……噛まずにスラスラと良く言えたものだと思う。
「かなを抱いたのは事実なので言い訳をする気はありませんけれど……部外者の黒川さんにとやかく言われる筋合いはありません」
「うぐぅ!」
あの日疲れて眠っていた所にかなが俺のベットに入って来て、無意識とは言え抱いた以上言い訳なんて出来る筈無いし、勘違いだったとも言えない。
「ニノさんはその件をどう思っているんですか!?」
「あかねちゃんの言いたいことは分かるけど……好きな人としたいと思うのは自然だし、まーかなちゃんに関しては早いか遅いかの違いくらいかなー?」
「かなちゃんは良いのそれで!? そもそも複数の女性に手を出してしかも子供まで居る人なんだよ!」
「……その人の子供であるアクアの事があかねは好きなんでしょ?」
「そ……そうだけど、アクア君が可哀そうだと思わないのカミキさん」
「そう言えばアクアも言ってたよ。私と寄り戻して欲しいって」
「……アイさんとは今以上の関係に成る気はありませんので無しの方向です。……で、アクアには申し訳無いけれど涙を流して貰う事になります」
「わ……私は絶対にヒカル君の事も諦めないもん」
ゴローさんだけで満足して欲しいけど……誰も彼も愛したいアイにとって例外はと言うか……俺の事は特別視している。
別段アイに対して駆け引きをしている訳は一切無いが……離れようとすればするほどアイの中の独占欲がどんどん大きくなってきている気がする。
普段から追いかけられる側のアイにとっては効果的なんだろうけど……
「そんな事より今は黒川さんがアクアと文化祭を一緒に周る方法を考えるのがベストじゃないですか?」
俺が強引に話を戻すと黒川は難しい顔をしつつも納得し、アイは俺に黙っているものの熱い視線を送って来るが無視しよう。
そんな事を考えて5分が経過した時だった。
「……良い事を思い付いた」
上原パイセンが顔を上げて俺の事をジッと見たと思えば……
「気が合うわね! 私も良い事を思い付いたわ!」
愛梨パイセンは俺と黒川を交互に見始めた。
「「カミキとアイがそれぞれ黒川とアクアに変装して代わりに文化祭に出ればいいんじゃないか?」」
「「そ……そんなのずるい」」
パイセン達の言葉にニノとかなが反論するも……
「さっすが上原さんに姫川さん!伊達にヒカル君の先輩じゃありませんね。それじゃあ私があかねちゃんでヒカル君はアクアを演じて文化祭を行って問題解決だね!」
アイが我が意を得たりと思ったのか、物凄く勝ち誇っていたが……
「「アイちゃん何を言ってるの?あかねを演じるのはカミキでアクアをやるのはアイちゃんよ?」」
「え!?私がアクアを?あかねちゃんじゃなくて?」
目を白黒させて驚いているが……
「だってアイちゃんじゃあかねちゃんは務まらないし……何よりカミキがスカート履くんだぜ?そっちの方が興奮するだろ?」
「そ……それはそうだけど、スカート履いてるヒカル君って想像したら私興奮してその場で押し倒しちゃうよ♡」
「……ドラマでも散々女装している筈なんだがなぁ~」
……そこはバレないように発散させてるんだよ。