「最後に小口切りしたねぎを入れて……完成♡」
ニノと共同で作った……大根と牛肉を使った韓国風鍋は実に美味しそうで、満足の行く会心の出来であった。
テーブルをチラッと見ると勉強に集中している寿とアクアの2人を黙って見て居ることしか出来ないミッフィーみたいな状態のアイと我関せず本を読んでいるかなと中々な空気であった。
寿がアイとアクアが親子で有る事を知っているのであれば、アイもグイグイ行けたのかもしれないが、まぁ……知っている訳が無いし、まして中学生に勉強を教えられるほどアイは学力がある訳ではないので、ニコニコしてはいるもののお行儀よく座っていることしか出来ないのだ。
そしてかなはと言うと、役者としてのプロ意識が強く、暇さえあれば良く読書をしている。これだけ聞くと勉強熱心だと思われるが、今読んでいるのはアイドルをテーマにした小説なのだ。
……おそらくルビーの説得に何か思うところがあるのか、以前の様ににべも無く断っていないようだ。
そんな時だった。
『ピーンポーン』
「誰かな?ちょっと待ってて」
アクアはそう言うとすぐさま立ち上がり、玄関近くに設置してあるモニターを確認し受話器を取った。
まーこのタイミングで来る人物と言えば、カナンだろう
「……うーん、なんと言うか……やっぱり良いタイミングで来るんですよね」
「カナンはこういうタイミングは外しませんし、持っている側の人間ですよ」
仮にカナンが仕事で何時に帰って来るかは分からない……そんな状態でも夕食の時にはピッタリ帰って来るぐらいカナンの食に対するセンサーは凄まじいのだ。
勿論こっちも夕食を食べるか位連絡するが、仕事の都合などで遅くなったことは唯の一回も無いのだ。
「父さんカナンさん着いたって」
アクアがそういうと案の定相手はやっぱりカナンだった。
この様子だとすぐさま来るだろうし、先にテーブルにお鍋を運んでも問題無いだろう。
「じゃあ、先にお鍋をテーブルに運ぶのでテーブルを綺麗にしてくださいね」
「「はーい」」
アクアと寿は仲良く返事をすると勉強道具を片付け始めた。
「アイはテーブル拭いといて」
「まっかせてよー♪」
置物と化していたアイも役目を与えられた所為かウキウキしているが……まぁ、何であれやる気があるのは良い事だろう。
そうこうしていると部屋のインターフォンが鳴り始めた。
まーこのタイミングで来るのはカナンしかいないのだが……
「はーい今あけまーす」
アクアはそういうと嬉しそうに玄関を開けに行ってしまった。
「やっほーアクア久しぶりー元気そうだねー」
「カナンさんこそ元気いっぱいですね」
「そりゃそうだよー。元気が無いと仕事なんて続かないからねー。それにしても美味しそうな匂いがするねー」
「ニノさんと父さんが鍋を作ってくれたんだよ」
「ニノとカミキの合作なら間違い無く美味しいやつだー」
玄関からリビングまで近い事もあり、二人の会話は丸聞こえなのだが……寿と一緒に勉強している時と違いアクアはカナンとは楽し気に話している。
まー勉強中と会話では空気感が違うのは仕方が無いけれど……
「……あ、アカンこのままだとアクア君盗られてまぅ~」
「……ぅ……ぅぅ、カナンはなんでアクアとそんなに簡単に話せるの~」
片や同じ学年で気になる男子に片思いのような淡い感情を見せる寿とアクアといとも容易く会話をするカナンに嫉妬しているアイが居た。
二人とも近い距離にいるのに自分の世界に入っている所為か、お互いが爆弾発言をしている事に全く気が付いてないようだった。
「どうも初めましてYoutuber兼アイドルのカナンでーす。よろしくね♪」
カナンは寿に気が付くと人懐っこい笑顔で自己紹介をする。
「あ、初めましてぇ~うち寿みなみ言いますぅ~」
「うん?なんかイントネーションが若干違う気がするけど……本当に関西人?」
「う……生まれは神奈川県で関西弁は……ノリですぅ~」
「……生まれは神奈川県なのに関西弁って面白いわね」
カナンはそう言うとケラケラと笑い始めてしまった。
その様子を見て寿も安堵したのか、さっきまでと打って変わり空気が軟化したようだが……それはそれとして
「じゃあ、そろそろ鍋を運ぶのでテーブルを開けてくださいねぇ~」
「「「「はーい」」」」
「……かなも読書は程々にして食べましょうね」
「ん!」
俺がそう声を掛けるとかなは自身のカバンに読んでいた本を入れて、すぐさま俺の隣に座り始めた。
そうなれば当然……
「ずるい!私もヒカル君の隣に座る!」
「それは構いませんけど?」
そんなこともあり、俺から時計周りでアイ、寿、アクア、ニノ、カナン、かなの順番になり、ようやく俺達は鍋を食べ始めるのだった。
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アクアの家で一緒にごはん♡
……私が想像する家族の形とは違うけれど、それはそれとしてアクアの生活環境も見れる訳だし、ヒカル君とも一緒に食べれる訳なのでここは素直に喜ぶべきだよね!
「このお肉とっても美味しいよアクア君」
「ちょっと南落ち着けって」
……ちょっと南ちゃんとアクアの距離が近いのは気になるけれど、これはヒカル君の悪い影響が出て来たかも?
ま……まぁ、あかねちゃんとはまだ正式に付き合っている訳じゃないし?……でもでもここは大人として……親としてアクアに女たらしは良くない事を言わないといけないよね。
チラッとヒカル君の方を見ると髪を結湧いている為、普段は見えないうなじが見えてしまい私の視線がそこに吸い寄せられてしまう。
「どうかしましたか?」
「……ううん、何でもないよー」
私は咄嗟に誤魔化してしまったが、ニノやカナンはねっとりとした視線でヒカル君の首元を見ていた。
まさか隣の席に座っているのに外れなんてことないよね……?
ヒカル君の左側に座っているかなちゃんはどことなく嬉しそうにしているし……あれ、なんかかなちゃんぴくって反応してる?
もしやと思い、ヒカル君の手を見て見ると両手はちゃんとちゃぶ台の上にあるし……気のせいかなぁ~
「んぅ~♡このお肉辛味タレとも合うわね♡」
「うんうん、我ながら上出来な具合だよ♡」
「タレも色々と用意してますので、お好きなの選んでくださいね」
どうやら私の勘違いだったようで、余りのおいしさに体が反応しただけだろう。
それにしても鍋を食べている所為か私も体が熱くなって来たし、ヒカル君も胸元をはためいてって……流石にそれはエッチすぎるよ!