カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第3話

「じゃあ早速本読みからスタート」

 

 監督の声がスタジオに響くとスタジオ内の雰囲気が一気に変わった。

 それまで俺の事を険しい顔で見ていた男性陣も俳優って事もあり、切り替えて演じ始める。

 しかし……

 

 YURIKAが俺の隣どころか体を密着させて来ていた。

 いや、俺も男だから美少女にこんな事やられたら物凄く嬉しいし、今は本読みだから良いけど……今回の現場は本当にピリつくなぁ~

 

「……!!」

「……!!」

 

 あ~あ、せっかく良い役貰っているのに……男性陣がYURIKAに演技力のアピールし始めた。

 いや、その勢いでやると後半はもっと大変になるけど大丈夫なのか?

 まさか……最初っからクライマックスとは言わないよな?

 チラッと監督の顔を見るとため息を吐いて、俺に視線を投げた……

 ……お手本を見せろって事ね。

 

「一旦ストップ! カミキちゃんお手本見せてあげて」

 

 台本は丸暗記しているから大丈夫だけど……本読みの段階でこれは正直だるいけど、チャンスなのも確かである。

 

「わかりました」

 

 やるからには本気でやらないとな!

 

 

 

 

 

 

「いやー本読みの段階からこれだとまいっちゃうねカミキ」

 

 ケラケラ笑っているYURIKAは置いといて、本当に参ってしまうよ

 上原パイセンは気を利かせて先に帰っちゃうし……いや、こういった気遣いが出来るからあの人は老若男女関わらずモテるのだろうけど……

 

「……そうですね。しかも、撮影が長引くのは確定しましたし……」

「そうだ! 今から家来ない? 私が料理作ってあげるよ。今人気上昇中の美少女タレントの料理なんて中々食べれないんだからカミキは私に感謝した方が良いよ」

 

 まー確かに美少女の手料理は中々食べる機会は無いから、感謝するけど……

 

「……料理得意なんですか?」

「私一人暮らしだから自炊位するよ!」

 

 YURIKAは得意げにそう答えたけど……自炊する=料理が得意とは限らない

 

「じゃあ何か買ってから向かいますか?」

「あ~そうだね~。そう言えば冷蔵庫空っぽだったかも……」

 

 まずは買い出しからスタートになった。

 

 

 

「いやー色々買ったね~」

「そ、そうですね」

 

 確かに色々買ったけど……材料無さすぎじゃないかな?

 それに出来合いものに手を伸ばしていたけど……男飯みたいな感じになりそうな気がしてならなかったし、その予想は案の定当たっていた。

 

 包丁の持ち方もそうだけど……切り方も見ていてハラハラするレベルだし、何を作ろうとしているのか分からないから違う意味でドキドキしてしまったから、思わず声を掛けてしまった。

 

「あの~YURIKAさん? 私が作りましょうか?」

「ええ!? カミキ料理作れるの?」

「……私も一人暮らしですから、節約の為に自炊してます」

 

 一応上原パイセンや愛梨パイセンに大輝君にも何度か作った事あるし、概ね高評だった。

 

「もう夜遅いですし、あんまり時間が掛かるのは難しいですけど……簡単な物であればすぐに作れますから、YURIKAさんは待っててくださいね」

「カミキがそこまで言うなら良いけど……私味にはうるさいからね」

 

 何故そこで美食家を気取るかなー?

 

 内心頭を抱えたくなったけど……YURIKAの手際から見るに普段は出来合いの物ばかりで食べる専門な気がしてならなかった。

 

「ちなみにカミキは何を作るつもり?」

「YURIKAさんが肉も野菜も切っちゃったから野菜炒めになりますけど……後は味噌汁と……ご飯は炊いて無いですもんね」

「うっ!」

「ま~4、50分位で作りますからちょっと待っててくださいね」

「わ、わかったよぅ」

「ちなみに笊とボウルとキッチンペーパーは何処ですかね?」

「笊とボウルはキッチンの下でキッチンペーパーは上の戸棚に入ってるけど……背届く?」

 

 ……ギリギリだな。

 

「何か台座ってあったりしますか?」

「私が取ってあげるよ!」

 

 なんか妙に生き生きし始めたけど……ま、良いとしよう

 

 

 

 

 とりあえず、時間はかかったけど何とか料理を作り終わった。

 

「カミキさぁーちょっと時間かかり過ぎじゃない? 私がお客様だったら怒って……何この味噌汁滅茶苦茶美味いんだけどー!」

「昆布だしとカツオだしの合わせダシで作りましたからね」

「……ご飯も炊きたてだし、この野菜炒めも美味しいよ」

 

 いや、野菜炒めは焼き肉のタレで誤魔化してるから俺の実力では無いんだ。

 とりあえず、余った豆腐に生姜とネギ乗っけてそこに醤油たらして一品完成

 

「ハイ、最後の一品冷ややっこです」

「え!? 木綿豆腐ってそうやって食べるの? 味噌汁に居れるんじゃだめなの?」

「いえ、入れても良いですけど……こっちの方がおかずになるかと思いまして」

 

 個人的には絹は崩れやすく食べずらいから冷ややっこに向いてるとは思えないのだが……実際は絹の方が冷ややっこに使われているようだ。

 ま、こればかりは俺の趣向の話になってしまうので仕方がないが……

 

 そんな事を考えつつも箸を動かして俺も食べ始めた。

 

 夕食を終えた所YURIKAは満足出来たようで、終始ニコニコしていたが、突然立ち上がり……

 

「あー美味しかった! 私お風呂入って来るからちょっと待ってて」

「……じゃあ、その間に洗い物してますね」

「お願いね」

 

 ドラマの撮影期間中の楽しみが増えたけれど、俺明日も学校なんだよな……どちらにせよ一旦は家に帰らないと行けないから、今度からは金曜の夜に設定しないと厳しいかも……

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