カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第32話

「本読みOKでーす。それでは後日各シーンの撮影行って行きますので今日は解散して貰って大丈夫です」

 

 演出の人も満足していたようだし、今日の仕事はこれで終わりだから……荷物を纏めて帰る準備をして、後は登校までどこかで時間でも潰そうと考えて居た時だった。

 

「ちょっと待ちなさいよ!」

 

 振り向くとそこにはほっぺを膨らませて怒っている有馬かながいた。

 うん……何故この子は怒っているのだろうか?

 

「……有馬さんどうかしましたか?」

 

 俺がそう尋ねると有馬は一気にまくしたてながら俺の傍まで駆け寄って来た。

 

「『どうかしました?』じゃないわよ! 何よさっきの演技は! かなが今まで見て来た中で一番すごかったわよ! アンタモデル上がりの役者じゃないの!?」

 

 俺何かやっちゃいました? みたいな感じで有馬は受けとったようでイラついてるのは分かるけど……俺はプロの役者として結果を出しただけだが、どうやら俺はモデル上がりの役者と思われていたようで、さっきの演技に度肝を抜かれたようだが……言葉はアレだけど、褒めてるつもりなんだろうなぁ~

 

「……いえ、本業は役者ですけど?」

「役者なの!? じゃあ何でモデルやってるのよ!?」

 

 打てば響くようなリアクションをしてくれるから、バラエティ番組とか出ても人気が出そうだなって思いつつもモデルをやってる理由は別段隠す事は無いので素直に答える。

 

「モデルは単純に収入が良いですし、何より時間もそんなに取られませんからね」

 

 ドラマが何日も拘束されるのに比べれば高々2~3時間ぐらいなもんだし、実入りは断然こっちが良いのだ!

 

「……ね、ねぇ時間ある? 良かったらまだ話したいんだけど?」

 

 有馬はそう言うと縋るような目で俺の事を見て来たけど……後ろに居る有馬のマネージャーさんが時間を気にしてるようなので辞めておこう

 

「いえ、私はこの後学校なので……」

「……そ、そっかー」

 

 有馬はそう言うと肩をがっくりさせてあからさまに落ち込んでしまった。

 流石に俺もこんな小さい子を悲しませるのは不本意ではあるし、LINE位は交換しておくか……

 

「良かったら交換しますか?」

 

 俺がスマホを取り出して提案するとさっきまで落ち込んでいた有馬はまるで花が開いたような笑顔を見せた。

 

「交換する!」

 

 有馬も自身のスマホを取り出してお互いすぐさま交換し合った。

 それにしても……アクアとそう年が変わらない子とLINEとは言え、連絡先を交換するなんて思いもしなかった。

 

 

 

 

 それからと言うもの、ドラマの撮影中は有馬と一緒に居る事が多く、また連絡も頻繁に送り合う中になってしまったけど……まぁー芸能界だと大人と子供の差はあれど年の離れた人とのやり取りは全然有り得るので気にしては居なかったし、ドラマが終われば関係も切れるだろうと思っていたけど……

 22時を過ぎた辺りで、毎日電話がかかって来るようになった。

 

『もぉー仕事が全然途切れなくてすっごい忙しいわ! カミキはどうなの? 暇ならうちの現場に呼んであげようか?』

 

 有馬は疲れ気味な声音ではあるものの、どこか充実してるような感じだが……年齢が年齢なのでこの感想は凄いと感心してしまうし……キャスティングにも口出し出来る程の権力を持ち始めたと思えば末恐ろしいものを感じてしまう

 

「……そうですね。今の所はスケジュールがいっぱい詰まってますので、空きが出るようになったら有馬さんに真っ先にお願いしますね」

 

 俺がそう言うと頼りにされたと思っているのか嬉しそうな声で返って来た。

 

『全く……私みたいなおこちゃまに頼るなんて情けないわね! 分かったその時になったら遠慮く無く呼んであげるから覚悟してなさい!』

 

 ……やっぱり言葉はアレだけど滅茶苦茶嬉しそうな有馬だった。

 

 仕事に学校と追われており、暇な日は全く無いけれど……それでも俺自身充実した日々を送っていた時、アイはアイで個人の仕事が多くなっていたようだ。

 具体的に言えば、ラジオに番組にも出演するようになっただけで無く……ドラマにも出演するようになったとはニノからのタレコミだが……ニノはニノで苺プロからも許可を得て劇団ララライにも所属する形になった。

 まーまだ、未経験なのもあって、B小町の活動が暇な日はこっちに入り浸って稽古を見たりとか色々とチャレンジしてる状態だ。

 

 そして、アイが出演するドラマには俺も出演する訳である。

 アイドル業だけで無く、役者としての才能があるのは分かっていたし、いずれは共演する事も有るだろうって思っていたが……

 

 ドラマの撮影現場に向かうとそこには有馬もおり……

 

「カミキ~!」

 

 俺を見つけるやいなや、赤い弾丸よろしく結構なスピードで飛びついて来た。

 

 

 

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