アヤセに連れられて入った『食事処やりたい放題』
店名のインパクトも凄いが、やたらと広い店内と色々な国の国旗が天井から吊り下げられているのだ
やりたい放題って……もしや、様々国の料理を食べられるって事なのだろうか?
まーお店の主人なら確かにやりたい放題出来るし……そう言ったコンセプトの飲食店は真似など出来るはずが無いから実に面白そうだ。
しかし、何故かキッチンが中央にも存在しており、まるで料理対決でもするかの様な配置になって居るのが気になってしまう
「カミキこっちに座ろ?」
アヤセに手を引かれるがままに奥のボックス席に座るとそこからは中央のキッチンが良く見える位置であった。
「それにしても他のお客さんが居ませんけど……ここ大丈夫なんですか?」
俺の疑問を聞くとアヤセはきょとんとしながらとんでもない事を言い出した。
「うん? ああ、それならまだ準備中だからだよ」
「駄目じゃないですか!?」
いや、お前開店前に客が入ったら駄目だろうが!
「ここのマスターとは知り合いだからへーきだよ~だからカミキは心配しなくても大丈夫だよ」
アヤセの言葉で俺は安心し始めたが……ここでようやく俺は違和感に気が付き始めた。
そうだ……この手のやり口は俺と似ているのだ。
喫茶店の支払いに関しては序の口だし……映画に関しては定番を選ぶのでは無く、相手と楽しめる物を選ぶ……その結果つまらなかったとしても、それはそれでお互いが話合える訳なので結果的には問題無いし……そしてこういった特別な対応をして貰えるってのは気分が良いものだ。
これで気を悪くするやつは……そもそも縁が無い人なので以降は付き合わないでいい人にカテゴリーされるだけだ。
アヤセの事を内心評価し始めた時だった。
店内にBGMが流れ始めてスタッフの方たちが続々と食材を持って中央のキッチンに運び始めた。
食材が運び終わるとお店の準備も終わったようで、お客も入って来たけど……なんか見た事がある人もちらほらおり、その内の一人の女性と目が合うと物凄い形相で俺の事を見ていた。
はて……どこかであった事があるような気がするけど……誰だっけなー?
髪の色も長さも違うから……俺の記憶上該当するはずが無いのに……顔と胸が一致してる人物が居る。
しかし、彼女は滅茶苦茶忙しいので、こんなところに来ている余裕など無いハズ……?
そんな事を考えて居ると件の人物が近づいて来て……胸倉を掴まれた。
「カミキ? ひ・さ・し・ぶ・りぃ~」
その声を聴いて思い出した……
「YURIKAさん……お久ぶりですね……お元気そうで……何よりです」
「何よりじゃないわよ! 私がカミキに会えなくてどんなに寂しい思いをしているのか知ってる訳!?」
いや……お互い忙しい芸能人なんだからしょうがないじゃん!?
それにYURIKAは二十歳超えてるから遅い時間までお仕事で忙しいだろうから……ってのは良い訳だな。
メールをするくらいは問題無いだろうし……返信するかどうかはYURIKAが判断するのであって俺が判断する内容じゃなかった。
「……YURIKAさんすみません。今後は毎日メールを送りますから」
「……もう、絶対だからね! もし忘れたら……カミキの手足の骨ぶち折って一生監禁しちゃうんだからね!」
監禁されるのは別段良いけど……手足折られるのはヤダし、後アクアに一生会えないのも寂しいからたまに出かける位は許してくれないかな?
「……いい加減カミキを離してください!」
そんな事を考えて居たらアヤセが見かねて割って入ってくれた。
「……カミキこの女誰よ?」
しかし、邪魔されたと思っているYURIKAはギロリとアヤセの事を睨んでいるけど……アヤセの思考はどちらかと言えば俺と似たよった思考なので……俺から紹介しようと……
「ええ、こちらの方は……」
「私は片寄アヤセよ!」
出来なかった……
「へぇーアンタが歌舞伎の現女王ね……私はカミキの女よ! あんたはどうなのよ?」
「クッ……今の私はただの高校の同級生よ!」
「え!? 高校の同級生? カミキ私聞いて無いんだけど……あんた今高校生なの!?」
「……ええ、定時制ではありますがれっきとした高校生です。芸能人だからと言って学がないなんて言われるのは腹が立ちますからね」
「うぐぅ……カミキが教えてくれていたら私も同じ高校に通ったのに……」
いや、通ったところでYURIKAは忙しいから同じ年数で卒業は出来ないと思うぞ?
「ふっふっふ……私はYURIKAさんとは違ってカミキとの高校生活を楽しめるわ」
いや、俺も忙しいから……放課後だって仕事だし、生活の為には働かないと行けないから……
「頭くるわね!」
「アンタこそ!」
はぁージョセフ・ジョースターじゃなくても、次に言われる台詞は分かる。
「次のセリフは『カミキアンタはどっちの味方なの!?』という」
「「カミキアンタはどっちの味方なの!?……はっ!?」」
グリンと首を回して二人は息ピッタリに聞いて来た。
初対面なのに息ぴったしだな!……と考えつつもこれは俺の責任で有るのでどうにかしないとな……
「まー二人の敵では無いですけど……YURIKAさんはどうしてここに? 私はアヤセさんとデートですけど?」
「私は仕事よ。久しぶりにカレー料理人がお店をやるって言うから口聞いてあげたの」
「え!? カレー料理人ってもしかして元エディブルガーディアンの……?」
YURIKAは得意げな表情で語り、そしてアヤセは驚愕の表情を浮かべていたけど……いや、カレー料理人って何よ!? そんなジャンルの料理人っているのか?
俺の感想とは裏腹に中央のキッチンに二人の男がいつの間にか居た。
片方は真っ赤なバンダナを頭に巻いた金髪の男性でもう片方はちょび髭の壮年の男性だった。
「さあ皆さん! 始まりました! 『カレー料理人』高円寺マキトとそのお義父さんであるカレー店『ガネーシャ』の店長曽根崎総一郎とのカレー対決! 果たして高円寺シェフはお義父さんに勝利して娘さんとの結婚を認めて貰う事が出来るのでしょうか!?」
「「じゃかわしいわ!!」」
いや、いやいやこんな公開処刑みたいなプロポーズ初めて見たぞ!
こんなんやりたい放題にも程があるし!!