カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第38話

「僕パパに会いたい! どうすれば会えるのアイお姉ちゃん!」

 

 アクアからとうとう恐れていた言葉が出て来た。

 正直言うとアクアにヒカル君を会わせることは私の今の状況的にかなり難しいのだ。

 私の仕事が増えれば増える程知名度も上がって来ており、街中を歩けばB小町の曲が聞こえて来るぐらいには浸透している。

 その所為も有って、この間偶然出会った中学生の同級生と僅かな時間話した位で『B小町のアイに恋人が!?』なんてネットニュースになってしまい少しばかり炎上したのは記憶に新しい……変装すれば問題は無いけれどね。

 

 なので、今ヒカル君に会うと言うよりも……子供を連れて一緒に出掛ける事がそもそも自殺行為みたいなものだ。

 一応ミヤコさんや佐藤社長が一緒に付いて居れば大丈夫だけど……二人にはヒカル君の事を話して無いから、やっぱり会わせるのは危険だ。

 

「そうだねぇー今ヒカル君すっごく忙しいみたいだから難しいよ」

「あぅぅ」

 

 私がそう言うとアクアは落ち込んでしまったけど、落ち込んだアクアきゃわ…… はっ! いけないいけないこういう時はちゃんと抱きしめて慰めてあげないと……ママらしい事しないとアクアに何時まで経っても認めて貰えない

 

「ほらーアクアこっちおいで?」

「うん」

 

 私が両手を広げるとすぐさまアクアは抱き着いて来た。

 ルビーもそうだけど抱き着くの好きなのかな?

 そんな事を考えてつつも私はアクアの頭ヨシヨシと撫でてあげるとアクアは物凄く気持ちよさそうにしていた。

 うんうん、これが続けばいずれママ呼びもしてくれるだろう!

 アイドルとしてはお姉ちゃん呼びが正解なんだけど……やっぱり私は母親である訳なのでママって呼ばれるのが一番良いのだ!

 

 そんな事を考えならも不意にテレビを付けると丁度ヒカル君が出てるドラマが放送していたから、アクアに教えてあげよう。

 

「アクア……ヒカル君に会うのは難しいけど、今ヒカル君が出てるドラマやってるから一緒に見よう?」

「パパが出てるの!?」

 

 アクアはそう言うとすぐさま私から離れてテレビの前で正座をして見始めた。

 私のママ呼びはまだまだ遠いなぁ……

 そんな事を考えつつも私もドラマを見ている時だった。

 ヒカル君とじゅ……重曹を舐める天才子役だっけ? その子がヒカル君の膝の上に座って幸せそうな表情で抱き着いており、ヒカル君もそれに応えるようその子をあやしてるシーンが流れていた。

 

「パ……パパが知らない子に盗られちゃった!? アイお姉ちゃんどうしよう! パパ盗られちゃうよ!」

 

 子供ってこんなに想像力豊かなんだと内心笑いながら思っていたけど……アクアは物凄く真剣に私を見ていた。

 

「いやいや、アクアこれはヒカル君の演技だから大丈夫だよ。ヒカル君がアクアを捨てる筈無いじゃない」

 

 ……いや、でも確かにヒカル君の演技って物凄いリアリティがあるんだよね。

 演じてるとは違う……まるで現実に存在するかのような『本気』が見える。

 私の様な嘘を信じさせるのではなく……感情をダイレクトに伝えるのが圧倒的に上手いのだ。

 

 そんな風にヒカル君の演技を分析しながらドラマを見ていると……今度は今話題のマルチタレントのYURIKAも登場して……なんでそんなにヒカル君に抱き着く必要があるんだろう? スマホでドラマを調べて見ると恋人同士って設定みたいだけど……そんなにベタベタ触れ合うなんて、ちょっとやり過ぎじゃないかな? ほら、ヒカル君も……何でまんざらでもない顔してるのかな? ちょっとドラマでもやりすぎじゃない? うん……今度あったら文句言ってあげないとね。

 別れたとは言え元カノだし……何より公共の電波でいちゃつくなんて、ちょっと おかしいよね!

 

「……アイお姉ちゃんどうしたら僕もドラマに出れるかな?」

 

 元気をなくしたアクアからそんな声が聞こたえた。

 うーん、正直な所子役になればヒカル君と共演出来るチャンスはあると思うけど……苺プロって子役の育成ってやって無いから……正直難しいと思うけど、子供の為にも頑張るのが親の役目だし……頑張って佐藤社長を説得してみよう

 

「一番はアクアが子役になって今映ってる子よりも人気になれば大丈夫だよ」

「……僕やって見たい」

「わかったママに任せてね」

 

 

 

 

 

「いや、無理だろ……」

 

 佐藤社長に相談した結果……吟味も何も無く否定されてしまった。

 いや、私とヒカル君の子供だから寧ろ才能に溢れてるとおもうんだけどなぁー

 

「そんなこと無いよー演技なんてちょっと練習すればアクアなら出来るようになるってば」

「……いや、その練習云々よりもそう言ったノウハウが無いからな。それにミヤコはB小町のマネージャーだからそっちまで面倒みれないし、俺もアイの仕事のスケジュールを組むので大変なんだよ」

「B小町のマネージャーって言ってもそもそもライブなんて2週間に一回ぐらいでその間も個人の仕事なんてニノ位しかないじゃん!」

「うっ! 痛いところ突くなぁ~……確かにアイの言う通り今現状はそんなに忙しくは無いが……分かった。そこまで言うならアクアの演技を見てやる」

「佐藤社長……演技とか分かる?」

「佐藤じゃねー斎藤だって言ってんだろうがこのクソアイドル! はぁ~演技に関しては俺だって素人だけど一応は芸能プロダクションの社長だから少しぐらいはアドバイス出来る」

「……ふーん。わかった、じゃあ今度アクア連れて来るね。後私も何か役者の仕事って無いかな? 具体的にはドラマの仕事とかバンバンやるよ!」

「ドラマ関係の仕事は今の所は無いな……今は番組関係が多くなってるが……ドラマ方面も今度取ってきてやる」

「流石佐藤社長よろしくね~」

「だから斎藤だって言ってんだろうが!」

 

 とりあえずアクアのお願いもこれで何とかなるし……うん、後はヒカル君に会うだけだね。

 

 ……とこの時は簡単に考えて居たけど、この時代の子役が如何に過酷で競争率が高いものか私は知らなかった。

 

 

 

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