カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第42話

 映画『それが始まり』は有馬や俺の影響もあり……低予算ながらも興収は大分良くてギャラもプラスアルファされていた。

 映画は一人で作るものじゃなく……みんなで一つの良い作品を作るものだからこそ俺も普段以上に力を入れた甲斐があった。

 まー最後はめった刺しにされたんだけど……それは良いとしよう。

 しかし、それとは別にニノが『ヤンデレアイドル』って新たなジャンルを切り開いたようで、仕事がわんさか来るようになり……

 

「ヒカルさーんもう疲れましたー」

 

 ニノは慣れた手つきでキャリーケースをもって我が家に入って来た。

 いや……疲れたんなら自分の家に帰って休みなさいよ!って思いつつもニノの為にお茶位……あっ! アイスティーしかない! 

 

「……アイスティーしか無いんですけど良いですか?」

「なんでアイスティーしかないんですか?」

 

 当然の疑問だけど……買いに行く暇が無いからだよ。

 今から買いに行くも……22時を回ってるからスーパーは閉まってるし、コンビニは高いから出来れば避けたい

 

「ちなみに冷蔵庫の中は?」

「……タルタルソース……ケチャップ……ご飯ですよ……ぐらいですね」

「調味料しかないじゃないですか!? 一体どうしたんですかヒカルさん」

 

 ニノは信じられないって顔してるけど……最近は付き合いが多くなってきて外食が多くなっているのだ。

 まー今日は夕食はまだ食べてないからこれから作るんだけど……流石にお米ぐらいはあったからご飯ですよでも良いかなって思ったけど……

 

「……そんな事だと思って私がちゃんと買って来てますよ!」

 

 ニノはそう言うとキャリーケースから食材が入ったビニール袋を取り出して慣れた手つきで冷蔵庫に入れ始めた。

 もはや俺の家は俺だけの家でなくなってしまったようだ。

 

 とりあえず、邪魔にならない様にテーブルにアイスティーを二つ持って行って、ガムシロップと角砂糖も用意した。

 

「ところでヒカルさんはご飯食べましたか? 私まだ何で一緒に食べませんか?」

「お願いします」

 

 ニノからの提案を断る理由が無いので俺は一も二も無く飛びついた。

 

 

 

 手際よく料理を作るニノの後ろ姿をぼ~っと眺めている。

 ニノは年齢的には一歳年上なので、そんなJKみたいな子が可愛らしいフリルが大量についたエプロンを付けて料理を作ってるってのは大分……いや、かなり嬉しいものだが、しかし今日に関しては非常に残念だった。

 今日のニノはスカートじゃ無くてジーンズを履いてる為……いや、これはこれでアリなんじゃないか?

 決して大きい訳では無いけれど……ムチムチっとした風に見えるし……いや、これは良いぞ!

 

 そんな事を考えて居た時には料理が出来たようで二人分の大皿を持ってニノはテーブルに置いた。

 料理を見るとカルボナーラで出来立ての為湯気が出ており、半熟卵とチーズがベーコンが上手く配置されていた。

 

「頂きます」

「召し上がれ♡」

 

 ニノお手製のカルボナーラは大変美味しかった。

 

「ヒカルさん……本当に良く食べますね」

「……ええ、最後の財産はやっぱり体ですからね。しっかりと食べないといけません」

「……ちなみにヒカルさんの体重ってどれくらいですか?」

「体重ですか? ……確か46位だった気がしますけど?」

「ええ~!? そんなに食べてるのに何で私よりも痩せてるですか!」

 

 いや、ニノの方が身長高いんだから体重は重くなるのは当たり前ではあるけれど……俺から言わせて貰えば運動量が食事の量と伴えば問題ないんじゃないかな?

 とは言えアイドルなので体重には気を遣っているし、何なら普段から走り込みや筋トレにダンスなどもやってるから運動量も凄い事になってるから痩せない事が気になるのだろう。

 

「ニノ……ちょっとここに座ってください」

 

 自身の膝を指さすとニノは一瞬で顔を赤く染めた。

 

「え? そんなぁ~……でも……うぅ……わかりました」

 

 葛藤はあるようだけど……行動と伴っておらず、フラフラと立ち上がりながらも俺の傍に近寄り俺の膝の上に座った。

 

「ヒカルさん……重く無いですか?」

 

 恐る恐る尋ねるニノだけど……ジーンズ越しに感じる感触が寧ろ良い!

 

「いえ……軽すぎもせず重すぎもせずに丁度良い具合です」

「ひゃあ! ちょ……ちょっとヒカルさん」

 

 ニノの胸からお腹……そして太ももと撫でて答える。

 

「やっぱり思った通り……ニノは太ってなんかいませんよ」

「それをわざわざ確認する為に触るなんて……ヒカルさんのえっちぃ♡」

 

 とは言え抵抗する素掘りは全く無く、ニノは俺にされるがままだった。

「ニノは嫌ですか?」

「もぅ……意地悪しないでください♡」

 

 さて、ここから先はお楽しみタイムと行くかと思った時だった。

 ニノのカバンから着信音が流れ始めた。

 

「ちょ……ちょっと待っててくださいね」

 

 ニノは慌ててカバンからスマホを取り出してすぐさま電話を取った。

 

「もしもし、カナン? ニノだけど……うん……カナンの気持ちも分かるよ。でもね……もう、アイの事は忘れてさ……この先の事を考えようよ……だってこのままじゃカナンが報われないよ! ね、一回会って話そう? 私だって変わったんだもん。カナンだって……うん、分かった。じゃあ明日のこの時間に六本木でね」

 

 ニノはそう言うとスマホの通話を切ったようだが……そこには目に涙を貯めていた。

 

「……ニノ大丈夫ですか?」

「ヒカルさん……今更ですけど私達が宮崎であった日の事覚えてますか?」

 

 正直言うとあんまり思い出したくないけど……

 

「……ええ、覚えてますけどそれがどうかしましたか?」

 

 とは言いつつもさっきの電話でおおよその事は予想が付く……

 ニノから言われたカナンって子が裏で糸を引いていたって訳だけど……それとは別にカナンって子の状況を何とかしないといけない訳なんだろうな……

 ……って事はアイの死亡フラグってまだ折れて無いの!?

 

「……実は今電話があったカナンって子は『B小町』の元メンバーで私達の所為でクビになっちゃったの」

 

 私達の所為? なんかヤバそうな感じになって無いか?

 

「……続けてください」

「……それで、特にアイと斎藤社長に恨みがあってね。ほら……アイってあーゆー性格だからメンバー全員から嫌われていたの……だけど才能も実力もあるからアイだけが仕事が増えて……当然の様に結果も出すものだから……その……色々とみんなで意地悪しちゃって……」

 

 ニノはそう言うけど……その後の意地悪の内容を聞いたら……結構な陰湿さがあった。

 いや、まー俺が思う最悪よりはマシだけど……こんだけメンバーが居てムードメーカーが誰も居ないのとリーダーがまさかのアイだったのが問題だったのだろう。

 

「……流石に今はやってないですよね?」

「……うん、私も含めて皆やってないとおもう」

 

 役者の世界なら多少の個人主義は問題無いけど……アイドルでましてやグループなんだから飯でも奢ってやれば解決出来たんじゃないかなって思わなくも無いけど……アイの気質的に自分さえ良ければどうでも良いって部分があるし、何なら才能の塊所以に見た事・教えた事は一回で覚える事が出来るから、他の人が何で出来ないのかが理解出来ないし、もっと努力すれば良いのにって思ってそうな気がした。

 このタイプで一番厄介なのが変に優しさがある場合だ。

 人は優れたものを攻撃するし、出る杭は打たれるって諺がある位だけど……これでアイが突き抜けて嫌な奴ならここまでこじれることは無かったハズだし、それか母性の塊って位に優しければ上手い事纏まったはずだけど……

 アイがやったのは中途半端だった。

 突き放す事もせず、慰める事もしない……まぁーそこまで求めるのも酷な話だし、ましてや10代の少女がそんな事出来たらうすら寒い事この上ない……

 となれば……これはなるべくしてなったのだろう。

 

「明日でしたっけ? 私も六本木に行ってカナンって子と話してみたいですね」

「でもヒカルさん……危ないよ」

 

 いや、そんな危ない橋を渡る必要が出て来るの?

 

「……じゃあ、上原パイセンも呼びますのでララライの稽古が終わったら行きましょうか?」

「……上原さんが居れば大丈夫だね!」

 

 困った事に上原パイセンが居れば荒事はどうとでもなる。

 しかし……頼りきりも良くないんだよなぁー

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