ニノの話を聞けば聞く程……B小町の闇が相当深いものだと理解できる。
ニノ個人で言えば自身の事を応援してくれた一番の理解者である恋人リョースケがアイの魅力にやられて推し変しており、それを知った他のメンバーがアイに嫌がらせを決行したのは理解出来るが……
何故カナンがアイに恨みを持つことになったのか……
「ニノの言い分は分かった! ……だけど私は別だよ。だってあんな無責任で口を開けば”アイドル辞めるー”ってず~っと言うから全力で引っ張たいて『じゃあさっさと辞めろ!』って言ったら私がクビになったのが一番納得いかないのよ! 第一アイが辞める辞める言ってた理由なんて後から知った訳で私なんか体のいいとばっちりじゃない!」
カナンはそう息巻いてコーラを一気に飲み干した。
うん、カナンの話を聞いたら、アイに同情は出来ないな。
いや、実際に誰が一番悪いかで言えばリョースケが一番悪い。
アイドルと付き合って居ながら別のアイドルを応援するなんてファンとしてどうかと思う!
「……もうリョースケが一番悪いで良いんじゃないですか?」
リョースケみたいなもやしは一人の女性で満足していれば良いものをアレもコレもと手を伸ばした結果がB小町爆発未遂まで起きたって事だし……もう、本人死ん……行方不明だからどうしようもないしな!
「で……じゃあ今度は私の鬱憤はどうすれば良いのよ! B小町の所為で私の人生滅茶苦茶になってるし、誰に復讐すれば良いのよ!」
「……カナンごめんね。私がリョースケなんかと付き合わなければカナンが辞める事も無かったのに……うっう……」
これ……アイはただ単に巻き込み事故喰らっただけのような気がするけど……
そんな事を考えて居る時だった。
カランと入口を開ける音がしたから他のお客が入ったと思いチラッと入口を見ると左目の下に天秤の刺青を入れており、長髪で明るい髪色の細身の男性が物凄い笑顔でこっちに来た。
「か……兼平拳一!」
カナンはガタっとテーブルを叩き驚いた表情で立ち上がりながら細身の男性を凝視しているけど……こいつが兼平拳一か!?
ああ……なんだってこんな危ない奴が向こうからホイホイ来るのだろうか?
「やぁカナン元気そうだね。……ああ、楽にしてもらって良い。今日は上原さんに会いに来たんだ。……上原さん言ってくれればお迎えにあがりましたのに……今日はどういった用件で?」
この場の男性で面識があるのなんて上原パイセンしか居ないから……というかレイプされた相手に懐くとかストックホルム症候群じゃね? と思いつつも俺達がカフェに入ってまだ20分位しか経過してないのに、何故関暴連のボスがここに?
「……ああ、後輩の頼みでな。邪魔したか?」
「後輩?」
チラッと俺の方を見るに観察してるようだけど……
「上原パイセンの後輩のカミキヒカルです」
「……ふーん。カミキさんね。僕は兼平拳一って言うんだよろしくね」
出来ればよろしくどころか関わりたくないけど……
「ところで……カナンはそろそろ仕事の時間じゃないか? 遅刻をしたら責任取ってもらうよ?」
兼平拳一に言われたカナンは顔を青くしてしまったが……
「悪いな拳一今カナンちゃんとお話し中なんだ」
「そ……そうなのかい! じゃあ、カナン仕事は休んで良いからここに居てくれ」
「あと……拳一お前もついでに残れ」
「勿論それは構わないよ!」
兼平拳一の情緒がおかしい事になってるぞ!
兼平拳一を交えての話合いが再開したけど……
「え~とりあえずカナンはこれからどうしたいですか?」
結局の所カナンの気持ちに決着を付けないといけない訳だけど……
「アイに……いえ、苺プロに復讐したい」
カナンが涙ながらに答えたそれをあっさりと叶えられる人が目の前に居るのが一番問題だった。
「そうですね。それぐらいなら一日もあれば……」
「兼平さん……まさか関係者全員拉致って死身抜きするって事じゃ無いですよね?」
「ええ……そっちの方が手っ取り早いですよね」
ですよね? じゃねーよ! このサイコパスはイカレてやがる
「兼平さん……しばらく黙っててくださいね」
「あ”あ”」
「拳一黙ってろ……あと今後カミキの言うことにケチをつけるな」
「っ……分かりました」
不満たらたらな顔してたけど……上原パイセンが居る以上は文句を言って来る事は無いだろう。
「……カナンさん復讐方法なんですが、真正面から戦いに行くってのはどうでしょうか?」
「無理よ……今更アイドル事務所に入れる訳ないじゃない」
アイドル事務所に入れる訳無いか……カナンとしては出来ればそうしたけど受け入れる事務所が無いってのが問題だな。
「拳一……麗民ちゃんのチームで芸能プロダクション作ってカナンを売り出せ」
「え!?」
「え!? いや、『死華裏終』は今別の仕事……」
突如上原パイセンがとんでもない事を言い出した。
俺も兼平も驚いてしまったけど……
「そっちは俺がやってやるから『死華裏終』は今後芸能プロダクション兼カナンの護衛だ」
「は、はい分かりました」
上原パイセンのおかげで有無を言わさずに話が進んでしまった。
「あと……拳一ちょっとこい」
「え……あの……上原さん?」
上原パイセンはそう言うと兼平の手を掴みトイレに向かって行った。
さっきの俺に対しての態度で思う事があったのだろう……
上原パイセンはそう言った上下関係厳しいからなぁ~
「えーっとカナンさんとりあえず話は纏まったようですけどどうしますか?」
「……どうしますも何も私に選択権なんて無いじゃない! 良いわよやってやるわよ。その代わりカミキアンタ私の面倒を見なさいよね!」
「!?」
「いえ……私はそもそもフリーで仕事してますから事務所に所属はあまり……」
「カミキが来なかったら私殺されちゃうかも知れないじゃない!」
……その可能性があるから出来れば行きたくないんだよ。
「私も……苺プロ辞めてそっちに行きたいです!」
ニノの気持ちも分からんでもないけど……ゆうて関暴連の立ち上げる芸能プロダクションなんて危ない事この上ないとおもうんだけどなぁー
とりあえず……上原パイセンと兼平が戻って来るまでの間俺達は何か食べれるものを注文した。