上原パイセンと兼平がトイレに消えて1時間が経過し……二人はようやく出て来た。
上原パイセンはスッキリした表情をしていたが、兼平は案の定尻を抑えた状態で涙ぐんでいた。
「すまん遅くなった。あと拳一……カミキに何か言う事あるんじゃねーか?」
上原パイセンにしっかりと教育されたようで兼平は俺を見るとすぐさま土下座した。
「先ほどはカミキさんに対して誤った態度を取ってしまい大変申し訳ございませんでした。先ほどの事務所の件に関しては我々がすぐさま対応しますし『死華裏終』も自由に使って頂いて構いません! だから……上原さんと一緒にカミキさんも関暴連に入ってくれませんか?」
「嫌です」
「何でですか!? カミキさんなら幹部待遇で迎え入れますし……お金だって椅子に座っているだけで年間億を超えるんですよ!」
いや、そんなこと言ったって……危ない橋は渡りたく無いし、前世ならいざ知れず今の俺は荒事に向いてないのだ。
「だって……何かあったらけじめ付けないといけないじゃ無いですか?」
俺は自分自身が破滅するだけなら嫌だけど……納得は出来る。
しかし、アクアが居る以上俺は破滅する訳には行かないし……兼平拳一はいずれ死ぬのだからそうなった場合後ろ盾の無い俺は真っ先にケジメを取らされることになるだろう。
「ほら……言った通りだろう」
「カミキさんが入ってくれれば……上原さんも入ってくれたのに!」
「拳一良いじゃねぇか……お前風に言うなら、俺の代わりもカミキの代わりもいくらでも居るんだから諦めろ」
「……分かりました」
「後『死華裏終』とカナンも連れて行く以上は関暴連から抜けて貰うぞ」
「それは……!」
「拳一……お前が無茶な追い込みかけてるのは知ってるぞ? そんな事ばっかりしてるといずれお前消えぞ?」
上原パイセンがニヤっと笑いながら兼平にそう言うと兼平も諦めたようだ。
「じゃあ、今日を限りに『死華裏終』とカナンが抜けるのを兼平拳一が認めます」
兼平はそう言うとバランスがぁ~っと言いつつ店から出て行った。
「な、何かあの人変わってるね」
「ちょっ……ニノ滅多な事言わないでよね! 拳一がその気なら殺しも厭わないんだから……ああ、なんだって私はこんな目に合わないといけないのよぉ~」
カナンはそう言うとテーブルに突っ伏して泣き始めてしまったが……これには流石に同情してしまう。
アイドルをクビになって、キャバ嬢になったと思いきやヤバい半グレの所にいつの間にか入っていたようで足抜けも出来ない状態で、トップの兼平拳一はバランス云々言って責任=死だし……こんなの泣きたくもなるわなぁ~
「とりあえずそろそろお店出ようぜ? カナンちゃんも荷物取りに行かないといけないだろう?」
住む場所も関暴連が面倒見ていたのならば何時までもそこに居る訳には行かないだろうしな。
「こ……こうなったら私カミキの家に住む!」
「だめだよヒカル君の家は!」
「だったらどうしろって言うのよ! 私お金なんて無いんだから、公園で寝泊まりしろって言わないわよね!?」
「……それなら私の家に来なよ。そっちの方が良いよ」
「嫌よ……ニノってなんか執念深いから怖いもん」
「なっ! そんな事言ったらカナンなんて暴力的じゃない!」
「……途中加入だったから最初は気を遣ったけど、もし過去に戻れたなら全員ぶん殴ればよかったって今じゃあ後悔してるわよ」
「なんでよ!」
「なによ!」
そこからニノとカナンの言い争いは1時間程続いたが、言葉だけで終結して暴力沙汰にはならなかっただけマシだが……
「「ヒカル君(カミキ)はどっちの味方なの(よ)!?」」
何故俺にと思わなくも無いが……カナンの面倒を見ないといけないのは確定だし、かと言ってニノのフォローもしない訳にも行かないし……
「……二人とも纏めて面倒みますからそろそろ行きましょうか?」
「「……わかったわよ」」
渋々ではあるものの二人は納得してくれたけど……
「じゃあ俺は車取って来るから……後ここは拳一の店だから支払いは気にしなくて良いぞ」
あ、だから兼平の奴ここに来たのか!
その後先輩の車に乗って……カナンの荷物を取りに行ってから、俺の家に向かって貰った。
カナンは勿論もニノも当然の様に居る。
「じゃあカミキまた明日なー」
先輩はそう言うと鼻歌を交じりに帰って行った。
さて、そうなるとこの部屋に3人いる訳だけど……そもそもお客様用の布団なんて無いし……ベットは大きいとは言え3人で寝るには……俺もカナンもニノも小柄だしいけるか?
「流石に3人で生活するには狭いですよね」
「じゃあ、ニノは帰りなさいよ!」
「むぅぅ~」
「……二人とももう遅いのでシャワー浴びたら寝てください」
「「わかった(わよ)」」
二人はそう言うと一緒にシャワーを浴びに行ったけど……いや、一人づつ入れば良くねぇか?
などと思いつつもこの奇妙な3人生活がスタートした。
カーテンから漏れる朝日が眩しくて俺は起きると、カナンとニノが可愛らしく寝ていた。
流石にあったばかりの子とすぐさま性交渉ってのも……やる時はやるけど、生憎とニノの知り合いなので、すぐさま手を出すのは気が引けたので、昨日は普通に寝たんだった。
そんな事を考えて居た時だった。
ピンポーンと家のインターホンが鳴り響いた。
時刻は8:00であり、こんな時間に何の用だとイラっとしながらも出て見ると……
「「おはようございますカミキさん! 出てくれると信じてました!」」
下半身がえげつない筋肉の人と上半身の筋肉が凄まじい人がニコニコしながらドアの前に立っており、その真ん中には……
「おはようピヨ♡」
長身・黒髪ロング・美人系と俺のドストライクが居た。
「……初めましてカミキヒカルです。お名前を伺っても?」
「カミキさんから名乗って頂けるなんて……ええ、信じておりました。私は朝風道也です」
「勿論私も信じておりました。私は雷門大治です」
上半身の筋肉は朝風道也さんで下半身の筋肉が雷門大治さんね……知ってた。
でも、どちらかと言えば風間麗民の方が知り合いたいなぁ~
「私は風間麗民。皆からはフーミンって呼ばれているピヨ」
かーわーいーいー
「麗民さんってお呼びしても良いですか?」
「ピヨっ!?」
「おお! 早速ナンパするとは……」
「調べた通り」
「「流石女たらしですね」」
そんなに褒めても何も出ないぞ!
「……ところで『死華裏終』は3人だけ何ですか?」
「その事でカミキにお願いがあるピヨ」
「何でしょうか麗民さん?」
「~~!? ……こほん、実は私達には兄貴分がいるピヨ」
嫌な予感がした……
「黒須東阿……彼も誘って欲しいピヨ」
「……ちなみに黒須東阿さんって物凄く強いですよね?」
俺の言葉に3人共冷や汗を流して頷いてくれたので、俺はすぐさまパイセンに電話した。