黒須東阿……元関暴連所属財務部門トップあり、朝風・雷門・麗民さんの兄貴分であった男だ。
喧嘩の実力もさることながら、理性的で話が分かる人間ではあるものの……やっぱりアウトローは何処まで言ってもアウトローなので荒事になった場合は上原パイセンに出張ってもらおうと思ったんだけど……
『……悪いカミキ。ちょっと今日は……野暮用でな……』
『お願い……もっと……もっと激しくしてぇ♡』
電話越しではあるものの……肉と肉がぶつかり合う音とそこから聞こえる知らない女性の声……珍しい事に上原パイセンが女性とお楽しみ中であった。
「……なら大丈夫です。ではまた~」
『おう』
通話を切ってスマホをそっとポケットにしまった俺を心配そうに見ている3人に俺は告げる。
「上原パイセンは女性とお楽しみ中なので、黒須さんとは争わない方向で何とか説得しましょう」
「くぅぅ上原さん……信じてましたのに……」
「カミキさん! 上原さんはゲイじゃ無かったのですか!?」
勘違いされてるようだけど……上原パイセンはゲイじゃなくてノーマルだった。
俺が劇団ララライに入った当初は常に女の尻を追っかけていたナンパ野郎だったけど……今と違い性に対しての探求心が強すぎた結果……開発を行い、そっちでもイケるようになっただけの話で別に男が好きじゃ無くて男もイケるバイになっただけなのだ。
「皆さん誤解してるようなのでハッキリ言っておきますけど……元々上原パイセンはゲイでは無くノーマルでした」
「そ……そんなの信じられないピヨ! 」
まー知らない人からすれば信じられないだろうし、麗民さんからすれば自身も対象であったと思えば恐怖以外の何ものでも無いけど……事実なのだ。
「……ある時間違えて突っ込んだ穴がアナルでそれから味を覚えたようで、今に至るだけです」
「で……でも、私や朝風に大門はやられて無いけど拳一とかは何度も犯されていたピヨ!……トーアくんは何とか逃げ切ったけど……」
あのパイセンから逃げ切ったとか凄いな!
「……でも、今はやり合ったら確実に黒須さんは犯されますね」
そう言えば一時期寝技や関節技にハマっていた時期があったから……恐らく逃げられた事が悔しかったのが原因だろう。
「……上原パイセンが男を……主にボコした相手を犯す目的はちゃんとあるんです。多分聞けば納得するしか無いですけど……」
「「「その理由って何(ピヨ)ですか」」」
3人はごくりと唾を飲み込んだ。
「まず半グレやヤクザと言ったOUTの住人なら殺しさえしなければ何をしても良いと思っているのと、OUTの住人達が警察にタレこむ事はそもそも出来ないからです。なので上原パイセンからしてみると大量の料理が目の前にあるのと変わりません。で、一番の目的は勝った負けたは喧嘩の常なので、その後復讐とか有り得ますけど……ボコられた後にレイプされればどんなにメンタルが強い相手も折れますから二度と関りあいたいとは思わないですよね?」
「「カミキさんの言葉を我々は信じます」」
朝風・雷門はコクコクと頷きだした。
しかし、そこで麗民さんは神妙な顔して俺の事を見始めた。
「……言っておきますけど、私はノーマルなので性の対象は女性のみですから、上原パイセンと肉体関係はありませんよ」
「「勿論信じております」」
「だから麗民さん今度ホテルにでも行きませんか?」
「冗談が過ぎるピヨ!?」
顔を真っ赤にしてあわあわさせてる麗民さんは物凄く可愛らしかった。
「私は冗談なんか言いませんよ?」
「……分かったピヨ! その件に関してはトーアくんを確保出来たら考えるピヨ!」
「……約束ですよ」
良し……反応的に脈ありと見て良いだろう!
黒須東阿待ってろよ! 必ず説得して見せるぜ。
「ここがトーアくんの働いてるコンビニピヨ」
現在褐色肌の青年が外のごみ回収をしていた。
「今ゴミ回収してる褐色肌の人ですか?」
「そうピヨ」
ふむ、見た感じは暴力的な人間には見えないし、逃げ道を塞いで塞いでドン! よりも情に訴える方が良いかもしれん……
「……分かりました。ちなみに連絡は出来ますか? こう言った事はアポが肝心ですからね」
「……でも、もし出てくれなかったらどうするピヨ?」
「その時こそ直接会って話す良い機会です。本当なら、自宅に手紙を送ったりして、時間を掛けるべきですが、こっちも時間を掛けて居られませんし黒須さんには悪いですけど今回は都合を押し付ける方向で行きます」
「……分かったピヨ」
「とりあえず、今は場所を確認するだけで、接触するのは夜にしましょう」
「では……私と雷門はジムの仕事がありますから失礼します」
「カミキさん……信じてますからね」
……あまりプレッシャーを掛けないで欲しいけど、彼らが関暴連を抜ける羽目になったのは原因は俺にもあるので……ケジメを付けないとな。
「必ず黒須さんを確保して見せます」
「……じゃあ私も行ったん帰るピヨ」
麗民さんもそう言って帰ろうとしたけど……黒須さんの事を俺は知らないから逃がす訳には行かない!
「麗民さんは駄目です! ご飯でも食べながらゆっくり黒須さんの事を教えてください」
身長が高い麗民さんの肩を掴むのはちょっとキツイから後ろからお腹を抱きしめる形で止める
「ひぇ!? 離すピヨ~」
俺も失敗すればどうなるか分かったもんじゃ無いからな……ここは気合の入れどころだ! ってのは良い訳だけど……あわあわしてる麗民さんはマジで可愛い
その後無理やり麗民さんを引っ張りファミレスに入って作戦会議を行った。
「麗民さん……俺を信じてください」
「うぅぅ~そんなキラキラした目で見ないでぇ~」
とりあえず、夕方になったので、黒須さんの職場であるコンビニに突撃する。
「良いですか? 作戦は極めてシンプルです。まず謝罪してその後に黒須さんにお願いをします」
「それは分かるけど……お願いを聞いて貰えなかったらどうするピヨ?」
「そこから先は……私が何とかします!」
ではいざコンビニへ!
「フーミン?」
「トーアくん」
丁度入口の所でばったり会ってしまったけど……まあ良いか!
「すみません黒須東阿さんですよね? ちょっとお話よろしいですか?」
「君は誰だい?」
「私はカミキヒカルと申します。今回お願いがございまして……不躾で大変申し訳ありません」
「……一体俺に何の用だ?」
「実は黒須さんに仕事をお願いしたくて……」
「断る」
「早いピヨ!?」
全く悩む素振りを見せずに断られてしまったが……
「すみません理由を聞いてもよろしいですか?」
「カミキさんの事は知らないけど……フーミンが居るって事は関暴連の関係者だろ? 俺はもう関暴連を抜けた身だし……抜ける時に今後一切関暴連の仕事はやらないと言ったハズだ。それは現在組織の頭である拳一にも伝えてある」
「ああ、そういう事なら大丈夫です……私はそもそも関暴連の関係者では無いですし、麗民さんと今は居ませんが朝風さんに雷門さんも昨日強制的に関暴連を抜ける事になりましたので関係はもうありません」
「そ、そうなのか?」
「そうピヨ。だからトーアくんにやってもらいたい仕事は関暴連とは全く関係無いけれどトーアくんが居ないと私達拳一にいずれ何らかの形でケジメを取らされるかもしてないピヨ」
「……状況が全く分からないが、俺に一体何をさせる気何ですか?」
「黒須さんにやって欲しい事はアイドル事務所の代表取締役になってもらいたいのです」
「え!? アイドル事務所の代表取締役? 俺がか!?」
あまりの事に驚きすぎてしまいフリーズしてしまった黒須さんだが……まぁーこればっかりは仕方が無い。
上原パイセンは無条件で俺の味方になってくれるけど……麗民さん・朝風・雷門に関しては正直な所分からない。
そうなると兼平拳一に対して唯一対抗できる黒須東阿を味方に入れなければ……あいつは必ず何らかの形で邪魔をしてくることになる。
なので獅子戸丈一郎が奴を殺害するまでの間だけでも居て欲しいのだ。
「……それは関暴連を抜けた事に関係が有るのか?」
「そうです。兼平拳一が関暴連を抜ける事を認めはしましたが……だからと言ってそのまま放置するなんてことはあるのでしょうか?」
「……」
「絶対に無いですよね? そうなれば黒須さんを慕ってる三人はいずれ何らかの形で責任を取る事になるでしょうね。……それを防げるのは黒須さん貴方だけです。彼らを守る為に助けてください」
「助けて欲しいピヨ」
俺と麗民さんが頭を下げてお願いした。
「……はぁ、分かった。その件……引き受けるよ」
ため息交じりではあったものの黒須さんを落とす事に成功した俺は……
「麗民さん良かったですね! これからはカナンの事も支えてくださいね」
とりあえず、カナンの生活面は面倒を見るけど、仕事面は押し付けようとしたが……
「カミキも手伝うピヨ! 私達そもそも芸能界に伝手なんて無いから普通に考えて無理ピヨ……」
「じゃあ……麗民さん約束守ってくださいね」
「うぅ~何でこんなことになったピヨ~」
それは麗民さんが俺のドストライクだからとしか言えないな