カミキヒカルアナザールート   作:だめねこ

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第67話

 競馬で儲けてから数日が経った。

 何とか3人の誤解は解けたが……ニノとカナンはあまりの大金に浮かれてしまったようだが……この金に関してはちょっとばかし役目があるから勘弁して欲しい。

 

 正直な事を言えば、今から向かう場所もそうだけど……これから会う人物に対して俺はかなりムカついていた。

 

 何せかなの問題はまだ解決していないのだから……

 

 あの時俺はまだ未成年と言う事もあり、法律的に親権を得るのは無理だった。

 本当ならば成人した段階ですぐに家庭裁判所に申し立てて解決するべきだと思っていたが、母親からとある条件を出されてしまい……俺はそれを飲むしかなかった。

 

 だが……それも今日でおしまいだ。

 

 歌舞伎町のホストクラブで今日も今日とて豪遊しているかなの母親と決着をつける。

 その為にわざわざ探偵や弁護士にも相談した結果……結構な金額が飛んでしまい、貯金も切り崩すしかなかった。

 

「それでは先生お願いします」

「ええ、カミキさん任せてください」

 

 弁護士の人を連れて俺はホストクラブに乗り込んだ。

 

 

 

「あ……カミキさんいらっしゃいませ。本日はどういった用件で?」

 

 ホストクラブに入るともう顔なじみとなってしまった黒服の人に声を掛けられた。

 

「あーあの人は今どちらに?」

「……奥に居ますので、今代表をお呼びしますので少々お待ちください!」

「分かりました」

 

 黒服の人はインカムを使用すると奥から身なりが整った若い男性が慌てて来た。

 

「カミキさんお待たせしました。それではこちらへ」

「ありがとうございます。後で伝票も回してくださいね」

「分かりました」

 

 俺と弁護士の先生は代表の人に案内されてかなの母親が遊んでる部屋に通された。

 

「あら、カミキ君珍しいわね。お店の支払い日はまだ先だけど今日はどうしたのかしら?」

 

 かなの母親はワイングラスを回して高そうなお酒を飲みながら若いホストを侍らしており、実に気分が良さそうだけど……今の状況が当たり前じゃない事をようやく教えてあげる事が出来る。

 

「ええ、かなの親権を貰いに来ました」

「ふーん。じゃあ1千万用意出来たんだ?」

 

 お前がホストに狂って無ければもっと早く用意出来たんだよ!

 

「勿論です……ここに1千万あります」

 

 俺はそう言うとカバンを開けてテーブルに札束を積んで見せた。

 

「……あは♡ 本当に用意するなんて……凄いわねカミキ君。ま、これなら安心してかなを任せられるわね」

 

 ニヤニヤ笑っているところ申し訳ないけど……俺が口約束何ぞ信じると思うか?

 何で俺が弁護士をわざわざ連れて来たのか分かって居ないだろうな

 

「……ところでカミキ君の後ろに居る方は?」

「ええ……こちらは弁護士の方です。 色々と相談に乗って頂きましてね。めんどくさい手続きなんかもこっちで行いますので、家庭裁判所までご同行して貰いますよ」

 

 俺がそこまで言ってようやく事のかなの母親は事態を認識し始めた。

 

「え? 家庭裁判所? ちょっとどういうことよ……なんで私がそんなところに行かないといけない訳!」

「親権の譲渡を認めて貰う以上は家庭裁判所に行かないと行けないからです。あなたの所にももうじき呼び出し状が届きます」

「なっ! 何勝手な事を!」

「嫌なら来なくても良いんですよ? 別段何ら問題は無いですからね」

 

 俺に問題は無いし、寧ろ来ない方が都合が良いのだ。

 何せ居ないと言う事は反論も証拠も出す事が出来ないので、必然的に裁判官の心証は悪くなり俺が勝つ可能性が極めて高くなるし、時間もそんなに掛からないのだ。

 

「……あれ……そ、そうなの? 必ず行かないといけない訳じゃ無いの?」

「最終的な判断は自分でするものですけど……今回の場合は親権を決める為のモノですからね。あなたが居ても居なくても何ら問題はありません」

「ふーん、なら私は構わないわ」 

 

 仮に来て反論しようにも……こっちにはお前がやって来た証拠がバッチリあるから絶対に負けないしな

 

「なので……今日が最後です。思う存分楽しんでくださいね」

 

 俺がそう言った瞬間代表の人が申し訳なさそうにして伝票を渡して言って来た。

 

「いえ……カミキさん実はラストオーダー過ぎてるので……お会計お願いします」

 

 代表から受け取った伝票を見ると300万と結構な金額だった。

 いや、他のホストのお店より大分安いからまだましだが……それでもバカ高い酒を飲まれて無くて本当に良かった。

 毎度の事ながら伝票を見るのが嫌になるレベルだし、通帳の残高が悲しい事にもなっていたから……本当に良かった。

 

「とりあえず、一旦出ても良いですか?」

 

 俺が目くばせをすると代表も気が付いてくれた。

 

「……ええ、勿論です。ではこちらへ」

 

 俺は代表に着いて行こうとしたが……

 

「カミキさん支払いが終わりましたら”伝票”くださいね」

「分かりました」

 

 弁護士の人も待っている事だし、俺は違う部屋で札束を出して支払いを終えた。

 

「これとは別にドンペリ3本瓶で買っても良いですか?」

「すぐ用意しますね!」

 

 まだ片が付いた訳では無いけれど今日ぐらいは飲んでも許されるだろう

 

 そんな事を考えていたら、代表がドンペリを持って来てくれたが……これってゴールド?

 

「カミキさん3本で100万になります」

「……分かりました」

 

 白で良かったのに……ちょっと恨めしく思いながらもちゃんと指定しなかった俺も悪かったし泣く泣く100万を払う事にした。

 

 

 

 そんな訳でひと段落ついた事もあり、弁護士さんと別れて俺は家に帰ると既に2人の靴があるので帰宅していたようだ。

 

「ただいま」

「ヒカルさん……大金持って何処に言っていたんですか?」

 

 リビングから首だけにょきっと出してニノはハイライトが無くなった目でこっちを見ていた。

 

「ええ……ちょっと野暮用でですね」

「野暮用ってホストクラブ?」

 

 横からカナンが現れて俺の肩をがっちり掴んでいた。

 しかし何故カナンは俺がホストクラブに言っていた事を知っているんだ? 名刺なんてそもそも貰って無いからそんなところからバレる訳無いし……?

 

「カミキは知らないかも知れないけど、カミキが行っていたホストクラブってバックに関暴連が付いてるところだから拳一から連絡があったんだよね~」

 

 拳一の野郎! 余計な事しやがって……いや、でも考えようによってはまだマシな方かもしれないな。

 あいつがその気なら攫って行方不明にしててもおかしく無かったし……いや、そもそも何で歌舞伎町もテリトリーになってんだよ!

 

 出来ればニノとカナンにも知られたくは無かったが……ここは言うしかないよな。

 内心ため息を吐きながらかなの母親の事を話す事に決めたが……流石にこれは飲まずにはいられないな。

 

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